どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「エクソシスト信じる者」…比べてゴメンなダメダメ映画

アメリカで評判が悪かったそうで観るかどうか迷っていたのですが、近隣の映画館で回数多めで上映してくれていたので観てきました。

オリジナルとは別物と覚悟、あまり期待せずに臨みましたが…それにしても後半が酷くて、残念ながら大変ガッカリな作品でした。

◇◇◇

ハイチの地を旅行中のヴィクターとソリーンの夫妻。妊娠中のソリーンは地元の祈祷師の祝福を受けますが、その後地震の被害に遭って重体になってしまいます。

夫ヴィクターは赤ちゃんの命か、妻の命かどちらかを選ぶことに…

その13年後、ヴィクターは成長した娘・アンジェラと2人で暮らしていました。

亡くなった母に対し複雑な想いを抱いているアンジェラ。ある日キリスト教徒のクラスメイト・キャサリンと共に森で降霊術を行いますが、その後2人とも行方不明に。

3日後、無事発見された2人でしたが、奇妙な行動をするようになり、悪魔じみた言動がどんどんエスカレートしていきます…

 

(以下ネタバレ)

異国の地で始まるオープニングはオリジナルリスペクト!?

元々信仰心の薄い主人公が宗教的なものを嫌うようになった理由もしっかり描かれていて、序盤は悪くなかったように思います。

今回は取り憑かれた少女が2人というのが話のポイントですが、キャサリンの親である白人一家は毎週教会に通う信心深い人たち。

主人公や地元警官に強く当たるあたり「汝の隣人を愛する」人たちにはとても見えず、欺瞞的な感じもするのですが、如何せん描写が中途半端でいい印象も悪い印象も残らない。

それでも、

・何の接点もない黒人と白人のファミリーが共通の危機に立ち向かう

エクソシストなのに神父が全く活躍せずご近所さんパワーで乗り切る…!!

…というストーリーは意外性があって個人的には着眼点は面白いと思いました。

信仰の消滅、共同体の不在、家族崩壊などはオリジナルにもあったドラマ要素だと思います。

厳しいこの時代、絶対的に頼りになる存在なんてない…いざという時に頼れるのは近くにいる人たち…個人主義まっしぐらの時代に地域社会の重要性を訴えるストーリーが逆に新鮮!?

作りようによってはもっと見応えのあるドラマになったと思うのに、主人公のジム仲間やお隣のおばちゃん達が何の過程もなくいきなり協力してくれる流れなので、感動もへったくれもありません。

パンフを読むとキリスト教の複数の宗派の人たちとアフリカの土着信仰の人が協力してくれていたみたいですが、仏教徒イスラム教徒もここに加わったらアウトなんですかね…

 

そして「過去に同じ体験をした人」としてエレン・バースティン演じるクリスが再登場します。

特別ゲスト的立ち位置かと思いきや、前線にでてきて悪魔祓いしはじめるからびっくり(笑)。

リーガンの事件の後に本を出版し、世界に悪魔祓いを啓蒙してきたのだといいますが、あなたそんな人でしたっけ…??

フリードキンの公開版のラストは神父に助けてもらったあと信仰の象徴であるメダルをクリスが拒絶。それがなんとも言えない寂寞感を残したものでした。

成長したリーガンがエクソシクトになっているならまだ分かる気がするけど、クリスはそんなキャラじゃないんじゃないかな…

その上「リーガンとは本が原因で喧嘩して絶縁状態」なのだと言いますが、よその子救う前に自分の子大事にしたれや!!と思わずにいられない(笑)。

クリスの登場シーンは要らなかったから、その分の尺を他メンバーのドラマに割いた方がよかったのではないかと思いました。

 

さらにしっくり来ないのがラスト。

妻の思い出の品を娘にかけて許しを乞う主人公。ハイチの地で受けていた祝福が生きたのか、母の愛を信じたことが悪魔を退けたのか、なんでか全く分からんけど主人公の娘は助かる。

そして悪魔の誘惑に負けて「お前が助かる方を選ぶ」と宣言したもう片方の白人一家の娘は亡くなってしまいます。

これがタイトル通り「信じる者は救われる」ってことなのか…??

娘を大事に思う気持ちは一緒のはずなのに 2人のうち1人だけが助かるってとてもハッピーエンドとは思えず、地獄に堕とされたキャサリンちゃんがひたすら可哀想でした。

これならいっそ「自分達だけよければいい」と2家族が罵り合いまくる地獄絵図を描いて、悪魔勝利の超絶バッドエンドにしてくれたらそれはそれで胸糞映画としてありかなと思ったけど、無理矢理全て美談のように語られるのがキツい。

ラストに刑事さんが「辛いことも人は乗り越えられる」とか言ってたけど、子供を亡くした人に掛ける言葉じゃないよ…と唖然となりました。

 

悪魔とのやり取りにドキドキハラハラが皆無だったのも残念で、唯一中絶した看護師さんのエピソードが印象に残りましたが、本人がまた普通に悪魔祓いを再開するのでドラマ性が一切ない。

「悔いているけど私は看護師としてたくさんの人に出会えた」とかそういう台詞があるならまだしも…

壊れていく我が子をみて家族が疲弊する描写も圧倒的に欠けていて、娘が酷いことになってるのに、仏頂面で腕組んでる主人公に違和感しかない。

オリジナルのエレン・バースティンのあの変わりよう、家にいる者全てが擦り切れていく感じ、そういう冷徹さ、怖さがまったくなかったなーと。(比べないでみると言いつつめっちゃ比べてますね)

申し訳程度に登場した神父さんが全く頼りにならない人で、ポッと出てきたと思ったら「できません」と居なくなって、また出てきて…の流れには笑いました。

 

褒めるとこどこにあるんやろ…と気になって、鑑賞後にパンフレットを買ってみましたが…

高橋ヨシキさんの解説が載っていたけれど、作品については絶妙に褒めてないような(笑)。

監督インタビューやキャストプロフィールなど内容はしっかりしていてパンフとしては〇でした。

 

3部作の予定らしく「エアベンダー」かよっ!!ってびっくり(笑)。

ゴーストワールド」か「鬼太郎」にすればよかったよおお…と絶叫しながら劇場をあとにしてきました。

 

「回転」…亡霊か妄想か、危ないエロスのゴシックホラー

ジャック・クレイトン監督、デボラ・カー主演の61年のホラー映画。

TSUTAYA名盤復活コーナーで借りて以前観たのですが、心理的にゾクゾクくる怖さでとても面白かった。

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上品な白黒映画なのにアブノーマルなエロスを感じてしまう…

善悪が曖昧な登場人物、幽霊は本当にいたのか考察の余地があるところなど、底知れない冷たさの残る作品でした。

◇◇◇

家庭教師として古い屋敷にやって来たミス・ギデンス。

愛らしいマイルスとフローラの兄妹にすっかり夢中になりますが、ある日塔から見知らぬ男が自分を見下ろしていることに気付きます。

次第にギデンスは自分にしかみえない幽霊の存在と兄妹の奇怪な言動に脅かされていきますが…

 

主人公が婚期を逃したガバネスというのがおそらくこの物語のポイント。

女性家庭教師が主人と結婚する「サウンド・オブ・ミュージック」のようなお話もあるけれど、貴族の叔父に好意を抱いた様子のギデンス。

子供たち2人には気に入られようと躾そっちのけで甘やかせてばかり。

自分に次いでの地位にいるグロースさんとは会話するものの、身分の低い他の使用人のことは眼中にないのか一切登場しません。

厳格な田舎の牧師の父親に育てられたというギデンス。人生のモットーは「困っている人がいたら助けなさい」…

拗らせたヒーロー願望がありそうで、何か大きな危機から子供たちを救ったことになれば自分は貴族の叔父の目に止まるに違いない…

「あなたのためを思って」といいつつ独善的、実は子供たちを利用していて霊も彼女の妄想なのかも…そんな風にも受け取れる欺瞞的な感じのする主人公にドキドキさせられます。

 

幽霊が本当にいたのかどうか最後までハッキリしませんが、静かな登場シーンが印象的。

塔の上から見下す男の霊の姿は「俺がこの家のボスだ!」と威嚇&誇示しているようにも映ります。

その後の出現は「窓の外」「池の向こう側」など隔たりのある場所。

「あんたたちの身分は私より下なんだからね!!」主人公の高い自意識が彼らを遠ざけているような…乗り越えられない階級差的なものも感じさせます。

 

やがて亡霊は教室にも出現、前任者・ジェセルの霊が泣いて手紙をしたためている様子でしたが(後追い自殺のための遺書を書いていたのかも)、身分違いの恋の切ない想いには主人公の胸にも迫るものがあったのでしょうか。 

ジェセルは自分より身分の低い世話係のクイントに夢中になっていたのだといいますが、「彼に叩きのめされても求めるように這っていった」って相当ですね…

隠れんぼしていたマイルスがおふざけでギデンスの首を絞める場面がありましたが、力の入れ具合が子供のそれじゃない。

もしかすると大人がやっていた首締めプレイを真似してやってしまったのかも(そういう言動が退学の原因だったのかも)…

従者たちと子供たちの間に複雑な関係があったのは本当だったのではないかと思われて、妹のフローラが獣の鳴き声を「聞かなかったことにする」などと言っていたのも意味深に聞こえます。

クイントとジェセルは子供の目の前で過激なプレイをしたり、ときには巻き込んで性的虐待を加えていたのかもしれません。

そもそも叔父が子供たちを異常に退けているのも不自然で、虐待を公認していたのか、クイントの死が子供たちの手によるものだと知って関わりたくないと恐れをなしたのか…

親切そうに見えるグロースさんも都合のいいものしか見ようとしない人なのかもしれず、幽霊が見えないのは彼女の鈍感さによるものなのかも…

観ているとあれやこれやと想像を掻き立てられること不可避。

愛らしくも異様に大人びた顔を時折みせる子供たちの存在がまた一層不安を煽ります。

 

「美人に眼鏡は似合わないよ」と颯爽と言ってのけ、突然のチューで先生を骨抜きにしてしまうマイルスの恐ろしいことといったら…

妹のフローラが去ったあとギデンスはマイルスに迫りますが、本気で子供を救おうとしていたのか、貴族の叔父への思いが叶わないことを悟って代替としてその血をひく子供に欲情してしまったのか…どっちにもとれて何が何だかわかりません。

クライマックス、2人がなぜかずっと汗だくなのもイケない感じがしてしまいます。

最後にマイルスはショック死してしまったようでしたが、「眠れる森の美女」のように彼に口付けするギデンス。真実の愛で少年は蘇るのでしょうか…

 

映画の冒頭とラストは「子供達を救いたい」と祈る主人公の手を映して終わりますが、途中のシーンでは主人公は礼拝に参加せず教会から背を向けていました。

見方によっては純真無垢な子供を握り潰した独り善がりな女性を映したエンディングに思えます。

けれどマイルスとフローラの振る舞いにこの子たちは虐待にあっていたのかも…と思わせるものがあるのも事実。(罪悪感を抱えている、自分は人と違うと言う、不安定で突然残虐な一面をみせる)

中年女性の欲望が少年を追い詰めたのか、信仰者の献身が悪魔祓いを成功させたのか、あるいは感受性豊かな教師が虐待のトラウマを持つ子供をショック療法で治療したのか…

如何様にも受け取れて、なんとも言えない余韻が残りました。

 

原作も以前読んだのですが、「信頼できない語り手」の3重構造で映画より遥かに難解。

中編小説なのに苦戦してなかなか読み進められなかった憶えがあります。

ギデンスはより病的な印象でしたが、欺瞞的な主人公、性的な匂い、善悪の曖昧さなど、映画は原作に概ね忠実で上手く要を拾っているのではないかと思いました。

 

原作との大きな違いに主人公の年齢がおよそ20歳ともっと若いことがあげられますが、映画は年の増したデボラ・カーを主演に据えたことでより味わい深くなったように思われます。

上品な美しさの彼女が「ああ、汚らわしいっ!!」と慌てふためいているのを見るだけでなんだかドキドキ。

(唯一ケチをつけるなら冒頭に登場する貴族の雇い主。主人公が一瞬で夢中になる人なので、もっと魅力のある人がよかったかも…ローレンス・オリヴィエだったら言うことなしだったと思いますが…)

幽霊ものとしても心理サスペンスとしても楽しめて、上品なのにエロい。

今みても全く古びれないこのジャンルの傑作だと思いました。

 

「神の左手悪魔の右手/影亡者」…無情な宿命のスタンドバトル

空想の世界を行き来することができる不思議な能力を持った少年・想の活躍を描く楳図かずお先生のオカルトホラー。

5つのエピソードから成っていて「影亡者(かげもうじゃ)」は最後に収録されているお話。

他エピソードの方が心理的な怖さやストーリーの奥行きは深かったように思いますが、こちらはシンプルな設定と圧倒的画力で強烈なインパクトが残ります。

なんでこんな怖い話思い付くんだろう…こんな風にいきなり世界がみえるようになったらどうしよう…思わず想像してしまい、童心に返らされるような恐怖がありました。

◇◇◇

ある日突然「人の後ろにいる背後霊」がみえるようになった少年・想。

病院に行くと、死期が近い人たちの背後霊は皆苦しみのたうち回っていて、医師である自分の父親の後ろには3人の立派な医者の霊が佇んでいました。

運の強い人には強い霊が、ツイてない人には弱い霊がついている…自分はこの冒頭部分が震えるほど恐ろしかったです。

背後霊(ご先祖様)に嫌われていたため背中を押されてホームに転落してしまう人など理不尽の極みなのですが、「人のさだめはもう決まっていて本人の意志でどうこう出来るものではない」…絶望の運命論みたいなものが究極的に絵で表現されていると思いました。

 

この話を読んだ時に思い浮かんだのが「オーラの泉」というテレビ番組。芸能人に対してこんな守護霊が憑いているとかこんな前世だったとか占いめいたものが行われる企画がやっていました。

根拠がなくて胡散臭い、それらしいことを語って相手の心を動かすスピリチュアル系の怖さを感じるとともに、一方的に他人から「あなたはこういう因果があるからこういう人間なんだ」と上から目線で決めつけられることに対する不快さみたいなものを感じて自分はあまり好ましく思えなかった記憶があります。

しかしこの「影亡者」では背後霊の描写にあまりに迫力があって、無慈悲な宿命論が真に迫って襲いかかってきました。

その人の後ろに何かが付いているという構図はジョジョのスタンドにも似ていて「楳図先生は遥か先を行っていたんだ」と感動していたのですが、あとから「うしろの百太郎」という作品が背後霊という設定をさらに前の年に描いていたことを知りました。

ただ「うしろの百太郎」では自分が良い人間になることで良い霊たちが引き寄せられるという少年漫画らしい設定があったのに対し、影亡者では”持っているものが全て”な冒頭の描写が心底恐ろしく思われました。

ジョジョに似ていると思ったのはこの作品も意外にバトル漫画していて、中盤からまさにスタンドバトルとも言うべき様相をみせていきます。

 

ある日昭和の大女優・大森世津子に憑いていた邪悪な背後霊が善良な女子高生・みよ子にのり移ってしまいます。

押し出されて居場所のなくなったみよ子の元々の守護霊〈さぶろうた〉が想に取り憑き、想の姉・泉とともに影亡者に立ち向かうことに…

(取り憑いた霊が禍々しすぎてビビる)

協力を仰いだ霊媒師の先生が除霊しようとするも手が引き裂け内臓が飛び出し…とグロ描写が炸裂。

敵の恐ろしい姿を一目見て主人公がガタガタ震えて逃げ出す…などまるで「HUNTER×HUNTER」な〝バトル漫画的表現〟が今読んでも鮮やかです。

取り憑かれたみよ子は突然芸能界に興味を持つようになりスター街道を駆け上がっていきますが、やらせ・出来レース・利用し合う男と女…煌びやかな世界の裏の部分を覗き見しているよう。

邪悪な守護霊のついたみよ子はその中でも一際ドス黒く、他人を従わせることに長けていました。

みよ子のように側にいるだけでなぜかドッと疲れてしまう人、逆らえない圧のあるような人って現実に周りにもいるよなあ…と思ったりして「背後霊が食われてしまう」本作のグロテスクな描写は妙なリアルさも感じさせます。

「大運のついた敵にはより強大な運の持ち主をぶつけるしかない」…霊媒師の策略でときの大スター、兵藤タケルとみよ子が引き合わされることに。

兵藤タケルについている守護霊は”子供の大群”。

表向きは「感動のやらせ」の場面、裏では背後霊たちが血みどろの闘争を繰り広げる阿鼻叫喚の地獄絵図。

この見開きページは強烈で1度みたら忘れることができません。

 

神の左手悪魔の右手」はアシスタントさんの不在が原因で連載が終了してしまったそうですが、もっと他のエピソードも読んでみたかったなあと惜しまれます。

すべては想像の産物だったということなのか「影亡者」のラストは唐突で謎が残りますが、ホラー映画を1本観終えたような余韻が残りました。

ギリシャ神話の運命の三女神だったり、逃れられない死が迫ってくる「オーメン」やフリードキンの「恐怖の報酬」のような映画だったり…「絶望の運命」を感じさせる作品は他にも色々あると思いますが、本作のオカルト的恐怖の表現は激烈。怖くて堪りませんでした。

 

「処刑教室/クラス・オブ・1984」…不良高校生vs教師、衝撃の全面対決

コマンドー」のマーク・L・レスター監督による高校を舞台とした82年のバイオレンスアクション。

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荒れまくりのアメリカの高校、おっかなさすぎる…!!

同系統の作品としてトム・ベレンジャーの「野獣教師」が思い浮かびますが、あちらほどアクションに振り切っておらず、主人公が強すぎない普通の教師なのがGOOD。

未成年ゆえ生徒がたやすく刑罰を逃れ、教師の方がジリジリと追い詰められていく展開にドキドキ。

スプラッタ映画ばりのクラマックスの〝処刑〟には仄暗いカタルシスも感じてしまいます。

◇◇◇

荒廃したリンカーン高校に赴任してきた音楽教師のノリス。

金属探知機で生徒を検問する朝の登校風景、自衛用に銃を携帯する同僚、麻薬の密売会場と化したトイレ…どこまでリアルに寄せてるのか目を疑う衝撃の教育現場最前線。

ノリスは事なかれ主義の校長たちに同調せず、学びを求める生徒に熱心に授業を実施。クラスをオーケストラのコンクールに導くことに成功します。

しかしそれを面白くない思わない不良グループのリーダー・ステッグマンはノリスの自宅にまで嫌がらせをしにやって来るなどその行為はどんどんエスカレート。

ステッグマンたちの売ったドラッグが原因で事故死する生徒まで現れ、堪忍袋の切れたノリスは彼らと対立を深めていきます…

 

面白いのは不良リーダーのステッグマンが暴力一辺倒の馬鹿では全くないところ。

ピアノも弾けて意外なことに裕福な家庭の育ち。

頭が切れて立ち回りが上手く、未成年という立場を存分に利用して悪さをしてくるのが嫌らしい。

ノリスが家庭訪問すると「うちの子は天才なんだから…!!」などと喚きながら門前払いする母親がモンペでなんだかリアル。

あるよね、こういうオカンが過保護でなんかグレちゃう家庭も…

「この世は苦痛」「一緒にくたばろうぜ」などと呟くステッグマン、破滅願望がありそうです。

どこぞのグレートティーチャーなら彼に寄り添ってくれる展開もあったのかもしれませんが、本作は主人公も中々破天荒、生徒の車ぶっ潰したりやられたらやり返すのが凄い。

不良グループも明らかに度を越していて簡単に更生するような輩にはとてもみえず、生徒を守っても教師のことは一切守ってくれない学校の対応が理不尽。

ハートフル学園ドラマしないまま対決に突入する展開がリアルであります。

 

密売を目撃しつつも怖くて証言できない気弱な生徒役にブレイク前のマイケル・J・フォックス(ちょっとぽっちゃり)。

事なかれ主義で生徒と距離をとっていたけれど、静かに溜めていたストレスが爆発する生物教師役にロディ・マクドウォール

銃を片手に不良生徒どもに口頭テストをしていく場面は緊迫感たっぷり、内心「やったれ!!」と思ったりもして、観ているこちらも暴力に魅入られてしまいます。

 

わらの犬」ような展開を辿っていく怒涛のクライマックス。

妻を凌辱されたノリスは生徒を1人ずつ〝処刑〟していきます。

地獄の門」の電動ドリルさながらのアイテムが登場したり、まるで「サスペリア」な強烈な死に様が待ち受けていたり…ほとばしる暴力描写に絶句。

処刑の間、真面目に先生についてきた生徒たちがコンクールの発表をしていて、それが最後に台無しになってしまうのが悲しいですね…

カタルシスを感じさせつつ、暴力の代償を突きつけられたようなラストですが、「目撃者いなかったのでヨシ!!」となる最後のテロップには閉口(笑)。

アメリカおっかなさすぎます…

 

荒削りなとこもありつつ、守るべき存在の子供から牙を剥かれて追い詰められる大人の姿がなんだかリアル。

スカっとアクションとシリアスドラマが両方しっかりあって良く出来た作品でした。

 

「日の名残り」…自分を抑圧してきた執事の人生回顧が切ない

真面目で鈍感な堅物執事と女中頭の感情を表に出さない静かな恋。

貴族の邸宅にて繰り広げられる外交会議。

2つの大戦の間で揺れ動いた激動の時代、時代遅れの遺物ともいえる執事の姿が去り行く時代への郷愁を感じさせる…

有名な作品ですが、初見。

歴史ドラマも含んだ奥深く重厚なストーリーでしたが、自分としては年取ってから人生を回顧することの恐ろしさみたいなものがひたひたと胸に迫ってきました。

 

執事・スティーブンスの″精一杯努力しているようで実は楽な方に逃げているところ”、自分にもあるかもと思ってグサグサと突き刺さるキャラクターでした。

お父さんを看取ることをせず自分の仕事を優先させたところ…「職務を全うした仕事人」と誇らしく振る舞っているけれど、もしかしたら弱った父親の姿をみるのが怖くて逃げてしまっていたのかも。

色恋沙汰からは距離をとりつつも、気になる女性を追う目線はしっかり持っていて、本当はセンチメンタルな恋愛小説がお好き。

「要人たちに会ったことがある」と世界の重要人物であるかのように振る舞う場面は痛々しいこと極まりないけど、苦労話をいささか盛って武勇伝めいたものにしてしまうのもあるあるかも…

垣間見える主人公の虚勢が決して賢明な人物でないことを示しつつも、仕事にひたむきな様は本物で執事姿がこの上なく絵になるスティーブンス。

しかし想いを寄せてくれていたミス・ケントンにとんでもない塩対応をして、好きな人と結ばれる機会を永遠に失ってしまいます。

それでも自分は仕事に生きたのだと胸を張れればまだいいけれど、盲目的に崇めていた主人は実はそれほどの人物ではなく社会から非難される存在に…

本人の掲げていた高邁な理想と現実の自分がかけ離れていることに、歳をとってようやく気付き始めるの、めちゃくちゃキツいなーと思って切なくなりました。

 

ミス・ケントンにここで好意を伝えなければ関係が終わってしまう…ダーリントン卿はもしかしたら悪い取り巻きに利用されてるのかもしれない…

本人も心の中ではうっすらと気付いていたのかもしれませんが、現実と向き合うのが怖くて思考を放棄。

自業自得ではあるけれど、それがこの人の精一杯だったというのもきっと真実で、1つのことしか追えない不器用な主人公のことがどうにも嫌いになれませんでした。

愚かな主人公を好ましく思えてしまうのは、人間利他的であるためには自分を殺さなければならないような場面があって、そうした人の献身が組織や社会を支えて助けられていることがあるのは確かだと思うから…

執事という特殊な職業。自分を抑圧するのが常だった主人公が自分の感情に気付かなくなってしまう…気付いても直視できず自分を取り繕うばかりになってしまう…

真面目で献身的なはずの人が陥ったジレンマが悲劇的に思われました。

 

映画→小説の順で手に取ってみたのですが、「信頼できない語り手」スタイルの原作は主人公の自己欺瞞がより痛々しく、おそらく相当美化されているだろう記憶から一体何が真実なのだろう…と想像するのにドキドキハラハラしました。

アガサ・クリスティの「春にして君を離れ」と印象が重なりましたが、あちらは中年女性が実は自分が独り善がりな人間で家庭を不幸に陥れていたかもしれないと疑うストーリー。

「春にして…」は絶望と嫌悪感で胸がいっぱいになりましたが、こちらの読後感はそこまで悪くないのが不思議。

最後にスティーブンスが大きな心の痛みを伴いながら自分の過ちを認めるところ、変化に適応していくしかない厳しさに打ちのめされつつも、過ぎたことは仕方ないと明日に向かっていく姿…一筋救いのようなものも感じました。

映画の方のラストはより物悲しい印象で、自由に飛び立つ鳩と不自由な主人公の対比。古く美しい英国の景色の一部として埋没していく主人公がどうにも切なく、こちらはこちらで余韻が残りました。

 

なんとなく映画は感傷的でロマンチックな印象。原作はドライで捉えどころがなく奥深い印象。

こういう時系列が入り乱れる独白スタイルの小説は映像化が難しいものだと思いますが、映画も虚飾まみれの主人公の内面をしっかりと描写できていて凄いと思いました。

昔はよかったと過去の記憶を歪めながら自己満足に浸るのも、すべてが空虚に思えて絶望するのも、どちらも有りそうで怖い。

痛々しいけれど人間らしい、心に染みるおじ様執事でした。

 

海外ドラマ「フレンズ」の思い出

1994年から2004年に放送されていたアメリカのシットコム

自分は完結後にレンタルで追った勢なのですが、最初こそ面白くても脱落してしまう海外ドラマが多い中、これは珍しく10シーズンを完走。

映画1本観る時間も気力もない疲れ切ったとき、アイスクリームを食べながらフレンズを観ると元気が出る…自分の心の友だった時期がありました。

各回22分で1話完結。6人のキャラクターを動かしながら複数のエピソードが同時進行、オチまで見事に構成されたシナリオが見事で毎回大爆笑。

今みると時代を感じるところも多々ありそうですが、下ネタも多く意外と辛辣でキツいところも含めて「フレンズ」の魅力だったのではないかと思います。

そして何より捨てキャラのいない6人のバランスが奇跡的…!!

 

世間知らずのお嬢様レイチェルはハイスクールのカースト上位女がそのまま大人になった感じ。

自分勝手でリアルでは友達になりたくないタイプですが、自分1人で何にも出来なかった人が自立していくドラマがベタだけど胸にきます。

ブラピがジェニファー・アニストンと結婚した時は誰!?と思ったけど、この人は写真で見るよりも表情や声も含めて魅力が深い人だと思いました。

レイア姫の奴隷ビキニのコスプレ、ノリノリでやってくれるの可愛いかったです(笑)。

 

長男ばかり可愛がる母親から冷遇され、潔癖症、異常に負けず嫌いな性格になったのはモニカ。

ゆるゆるテキトーなレイチェルと好対照なコンビ。

チャンドラーと結ばれてから少しずつ穏やかになっていった感じがして、このカップルの足りないものを補い合って成長していく姿が大好きでした。

セブン!!セブン!!は「恋人たちの予感」を超える名演(笑)。

 

6人の中でダントツで面白かったのはフィービー。

スピリチュアルキャラが新鮮、他のメンバーと比較して圧倒的に過酷な幼少期を送っているのに、それが笑えてしまう不思議。

「写真立ての中に見本で入っている写真を本物のお父さんだと思っていた」エピソードが強烈で笑いました。

ロシアの科学者から消防士まで…レイチェルやモニカよりも付き合う男性のストライクゾーンが広かった気がします(笑)。

エキセントリックな相手じゃなかったのが意外だけどマイクとはなぜかお似合い。苦労人の彼女の結婚スピーチは胸に沁みていい人に出会えてよかったなーと思いました。

 

男性メンバーの中であまり人気がないらしいのはロス。

しつこくて理屈っぽくてめんどくさい性格…でもオーバーな表情や挙動がいちいち面白くて、全然似合わない革パンを履いて酷い目に遭う話とかゲラゲラ笑いました。

エミリーとの電撃婚含め付き合う相手の趣味が1番悪かったような…タイミングが合わずレイチェルとすれ違い続ける10年の軌跡。

変人だけどオモロいお兄ちゃんでした。

 

夢見る役者の人生がいかに過酷か、他にはない職業設定が抜群に面白かったジョーイ。

初期の頃はそこまでお馬鹿キャラしてなかった気がしますが、どんどんアホの子になっていった気がします(笑)。

チャンドラーとの友情もいいけど、フィービーとの謎の深い絆も好き。

大家族で度々ファミリーが襲来していた記憶がありますが、英語を話せないジョーイのおばあちゃんがテレビを見て「サム・ウォーターストーン、カプリコン1、ウッディ・アレンの重罪と軽罪」と言い出すのにめっちゃアメリカ映画に詳しいやないかーい!!と爆笑しました。

 

メンバーの中で最も穏やかで誠実、男性キャラの中で1番人気がありそうなのはチャンドラー。

イジられキャラ且つツッコミ担当と何気に1番忙しい役どころ。ジョークを連発して茶化してごまかしてしまうのも自己肯定感が低い裏返しだったりして、色々こじらせてるところがリアル。

モニカと付き合ってから成長、プロポーズの場面は飾らない率直な言葉が感動的で、決めてくれるときは決めてくれる男、カッコよかったです。

 

ブラピやジョージ・クルーニーなど豪華ゲストが出演している回も見所ですが、自分が印象に残っているのはブルック・シールズがジョーイのストーカーを演じていた回。

「昼ドラのキャラクターをリアルな人間と勘違いしている」…ヤバい女の人の役がハマっていてオモロかったです。

ベン・スティラーも記憶に残っていて「みんなの前では愛想がいいけど実はキレやすいヤバい奴」を演じていたのがリアルでなんだか怖かった。

ジャン・クロード・ヴァン・ダムはなんと本人役で出演。馴染んでるようで馴染んでない、ヴァンダムの周りだけなんだか異空間(笑)。

ゲイリー・オールドマンが好きだったので、ゲストに出てきた回にはびっくりしましたが、「オスカー俳優ですよね」とジョーイに言われて「違う」と答えていたのが、晴れて本物のアカデミー俳優に。

モニカの彼氏役の1人がトム・セレックだったり(シブい)、お父さん役がエリオット・グールドだったり(このテキトーで大らかなオトン大好き)…

”友達の恋人が最高にウザい奴だったら…”の悪夢をみせてくれるジャニスは出る度に爆笑でしたが、改めて女優さんをみると普通に美人だったりして、たくさん笑ってくれる楽しい女性だったのかも!?

準レギュラーのキャストも皆印象的でした。

 

「フレンズ」は英語の教材に良いと言われることも多いようですが、医療ドラマや法廷ドラマのように専門用語が出てくるわけでもなく、6人全員の英語が聞き取りやすいというのも凄いところ。

モニカが「I’m engaged!」とウエディングハイになってベランダから叫んでいるのをロスが「I’m gayって言ってる」っていう場面があって、今だとこういうのも怒られそうですが(笑)、英語に親しみを持たせてくれるところもこのドラマの魅力の1つだったのではないかと思います。

 

ずっと面白かったけど、シーズン3までの勢いと切れ味は抜群。

シーズン8くらいからダレてきて、ジョーイとレイチェルの恋愛エピソードにはいよいよネタ切れな感じがしてしまいました。

チャンドラーが転職したり、子供を望んでも授からなかったり…9・11以降、なんとなくドラマに暗いトーン、現実的なムードが漂い始めていたように思います。

でも最後はすごく綺麗に終わってくれたなーという印象があって、ずっと一緒だった6人がそれぞれの人生を歩む…とても寂しいけれど現実に返されたようなラストの幕引きも自分は美しかったと思いました。

 

先日チャンドラー役のマシュー・ペリーが亡くなられたとのこと…私生活で色々問題を抱えていたらしいというのはうっすら知っていましたが、突然の悲しいニュースに驚きました。

www3.nhk.or.jp

大きな代表作がキャリアの大部分を占めてしまうことって俳優にとっては複雑な思いもありそうですが、誰一人欠けることなく10シーズン続いたの、すごいことだったんだよなー、と今更思って、6人揃っていてくれてありがとう、と改めて思いました。

「アイルビーゼアフォーユー」のオープニング曲も大好きでしたが、フルで聴くと歌詞がまた良い♫


www.youtube.com

アメリカにパワーがあった90年代の雰囲気が懐かしい。

破茶滅茶な6人が自分の悩み事なんてくだらないと大らかな気持ちにさせてくれて、元気をもらった海外ドラマでした。

 

「刑事マルティン・ベック」…スウェーデン製激渋サスペンスアクション

スウェーデンの傑作ミステリを本国で映画化した警察映画の金字塔だそうですが…

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ドラゴン・タトゥーの女」のような犯人探し系ミステリを想像していたら後半全然トーンの違う作品になってびっくり(笑)。

フリードキンばりのリアリティある映像をみせてくれたかと思いきや、アメリカの刑事ものとは一味も二味も違う光景が可笑しかったり、他にはない雰囲気が面白い。

地味なのに人間味溢れる激シブの役者陣も素晴らしく、個人的にはブッ刺さる映画でした。

◇◇◇

脂汗を掻きながら見知らぬ天井をじっと見つめる中年男…冒頭の病院の雰囲気がもうイイ。

入院中の男・ニーマンは謎の人物の襲撃を受け、銃剣で刺されて床は血の海に…

署内きっての名刑事マルティン・ベックが捜査にあたりますが、ニーマンは実は悪名高い警察官で、被疑者への虐待・パワハラなどを行ってきた問題児だったことが判明。

ベックたち捜査官は恨みを持っていると思われる人物を洗い出していきます。

原作では40代らしいマルティン・ベック、映画ではメタボ体型のおじいちゃん。

現場で見せる冷静な仕事人姿とは裏腹に家庭では居場所がないよう。

妻は顔を合わせるや否やそそくさと寝室に引っ込んでしまい、ソファにマイ布団を持ってくる主人公のなんと切ないことか…

その他の同僚もキャラクターが立っていて、寝ている妻を起こさずに息子のオムツを変えるフルチン刑事・コルベリは温かい人柄が滲み出ています。

そのコルベリと衝突しつつも共に働くラーソンは俺様オーラが漂う血気盛んな刑事。

地味ながら1番働いてそうなルンは、死体見てゲロった若者にハンカチを差し出すさりげない優しさが素敵。

終始眠たそうなのが気の毒、警察の人たちの激務を側で観察させられているような臨場感があります。

 

前半はこの激シブ面子がひたすら会話&地味な聞き込みをするドラマが続きますが、出てくる人がホンモノ感溢れる人ばかりでドキドキ。

心理描写がしっかりしていて緊迫感があり、どこか薄暗い北欧ならではの景色に趣があって全く退屈しません。

問題児警官ニーマンも家庭ではよき夫・父親だったようで、元同僚が「警察には彼のような存在も必要だ」と庇う発言をするのには複雑な気持ちにさせられます。

このサンドイッチマン富澤さん似の元同僚が「非番の日もずっと制服を着ている」というのも何だか切ない。それだけ仕事に殉じてるってことなのかもしれませんが、私生活に全く幸せがなくてどこか壊れてしまっているような…

地道に捜査を続けるうち、ニーマンが糖尿病の女性を拘留し適切な対応をしなかったため女性を死なせてしまっていたことが発覚します。

故意ではないけれど、警察はニーマンを庇ってミスを隠蔽していました。

亡くなった女性の夫もなんと警察官で、妻を失ってから業務に支障を来たし退職していました。

ベックたちが男・エリクソンの自宅を訪れると証拠としか思えない品が発見されます。

ストーリー的には伏線とかどんでん返しとかがあるわけでなくミステリらしくないのが意外でしたが、ここから一気にアクションに変わる切り返しが凄い…!!

 

映画の原題は〝屋根の上の男〟だそうですが、高性能銃(アメリカ製の自動小銃ジョンソン)を持って屋上を陣取る犯人。

大通りに面した広場めがけて突然警官を狙撃しまくる…!!

一般市民の反応といい、臨場感ありすぎの映像に釘付けとなります。

そうは言っても相手は1人だしすぐにやっつけられるだろうと思っていたら、かなり手強い犯人。

ヘリコプターから特殊隊員が突撃しますがあっけなく帰らぬ人に…

突撃隊の人がヘリから降りるのに援護がゼロだったり、降りた人もガスの残り香を吸ったのか突然咳き込みはじめて間が抜けたような佇まいにはちょっと笑ってしまいましたが、死体をぶら下げて旋回するヘリコプターの画がシュール。

エキストラ多数の市内での撮影はハリウッドのパニック映画にも負けないド迫力です。

警察の腐敗を描いた作品は当時珍しかったのでしょうか…「警官以外は撃たない」犯人の強い意志が切ないです。

コーヒーに浸して角砂糖を食す一瞬の小休止に、長期戦覚悟な鋼の意志が見えて実にカッコいい演出でした。

 

マルティン・ベックが最後に大活躍するのかと思いきや予想の遥か斜め上行く展開に唖然(笑)。

突撃に一般市民のボランティアが参加するのもアンビリバボーなスウェーデン警察。

幕引きもアメリカ映画では考えられないようなエンディングでしたが、犯人が一言も発さないまま終わる圧倒的クールさ。ヒーロー不在の寂寞感に余韻が残ります。

 

原作は未読ですが、どんなものなのか非常に気になりました。(これがシリーズ7作目らしいけど読むなら1作目から読みたい気がする)

メイキングをみると警察を批判する内容なのに警察官がエキストラで多数出演してくれた上、撮影地も貸してくれたようで不思議な国スウェーデン(笑)。

でもあのリアリティ感溢れる人たちは本物だったのかと思うと納得。

中東っぽい雰囲気の笛の音!?の音楽も格好良く、ひたすらシブい映画でしたが、70年代らしさと北欧ならではの独特の薄暗い雰囲気に魅せられました。