どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「サスペリア」オリジナル版、やっぱり面白い!!

行きつけのレンタルビデオ屋さん、ずーっと「サスペリア」のリメイク版がほぼ借りられているので、自分もとうとう手を出してしまった。

・・・・・・。

どうしても、オリジナル版が観たくなり、7年ぶりくらいに鑑賞。

サスペリア 4K レストア版 Ultra HD Blu-ray 通常版

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元々の「サスペリア」自体、好き嫌いがキッパリ分かれる作品だろうし、自分自身、オカルトの世界にドップリ浸れるタイプの観客ではない。

しかしそれでも、やっぱり面白い!!と心が洗われるような気分になったので、少しだけ語ってみたい。

 

何の映画かはっきりしない序盤が怖い

サスペリア」が怖いのは、あたまから、「これはオカルトものです。ドーン!!」と来ずに、何の映画かはっきりさせないまま、堂々と突き進むところなのかな、と思う。

自分は小学校の頃に親と一緒にVHSで観ようとして、怖くて途中で鑑賞を挫折している。初めて全編観たのは、高校生になってから…。

落ち着いてみれるようになるとストーリーの面白さに気付く。魔女の存在が明かされるのが少しずつ…というのがいい。

「バレエ学校の人たちがどこかおかしい」というのは序盤から段々と分かってくるが、迫力のある人たちばかりで、もう単純に”人”として怖い。

スージーが精神学の学会に行き、精神科医たちの話を聴く場面。
ここだけ落ち着いた、日常空間にみえるが、繰り広げられる話は最も不気味だ。

自分は、オカルトの世界観に100%のっていける気質ではない。

最近観た映画だと「ヘレディタリー」は怖かったけど、オカルト物としての恐怖では全く観れなかった。
子供の頃に観た映画だと「オーメン」が怖かったけど、悪魔の子うんぬんより、死の描き方そのものが怖かった。

しかしそんな人間がみても「サスペリア」の世界観はすごく迫力がある。

本当に魔術を行なっている人たちがいる。そういう歴史が確かに存在している。

脚本にも携わったダリア・ニコロディのおばあさんがオカルト好きで、その人の昔の体験から着想を得てつくられた…というのはファンの間で有名な話。

信じるか信じないかは…の世界の、信じる方の世界。

作り手側がそっちに完全に〝のっている〟からこそ描けた怖さがあるように思う。

 

恐怖と映像の美しさのギャップがすごい

不気味な大きいサウンド、ナイフやガラスの突き刺さる描写…今までに観たアメリカのホラー映画と全く異なる描写がどぎつく映って、最初観たときはショッキングだった。

●人の意志とは関係なく動く自動ドアの無機質な感じ。
●窓ガラスに顔を突きつけられてゆがむ顔の苦しい表情。
●単純な、尖ったものへの恐怖。
●洗面台が赤いシミがついたみたいに汚れる、なんともいえない嫌悪感。
●虫の気持ち悪さ。
●コロコロと転がっていくボールを止めることができない妙な不安感。

日常生活で自分が想像/体験したことがあるような、怖さ。

それが非日常的な、とんでもなく美術的な空間の中で繰り広げられるというギャップ。

アートそのものな室内の装飾の数々…。美しいといえば美しいんだけど、あんなところには住んだら気がおかしくなりそうだ。

 
スージーが扉をみつけて、廊下を歩き、「魔女たち」を覗き見るところがとても怖かった。主人公が助かる気がしなかった。

ほんの少ししか出てこないマルコスに迫力があった。

スージーがまさか勝利して、笑顔で去っていくのが謎の解放感だった。

 

サスペリア」は内容がないとか非難されることもあるようで、リメイク版の監督も「物語としては意味をなしていない」と語ったそうだ。

でも「サスペリア」に熱狂的ファンがずっといるのは、案外、現実的なメッセージを感じない、純然たる恐怖の世界だからのように思う。

まるっきり童心にかえれるような世界観のある作品って実は少ないのではないだろうか。

オリジナルの「サスペリア」は完全に乖離した世界でいてくれるからこそ、楽しめる作品のように思った。

 

オリジナルの「サスペリア」を観た後、「インフェルノ」が観たくなったけれど、手元にDVDがないし、ビデオ店にもないので、「サスペリアPART2」を鑑賞することに。

dounagadachs.hatenablog.com

 好みでいえば自分は断然こちらなのですが、「サスペリア」も久々に観て、単純に、物凄く面白かったです…!