「なんかさー、ラッセル・クロウがガラス食べて戦う映画なかった?」
「???」
「白人と黒人が戦うアクション映画で…」
「デモリションマン?」
「違う、それスタローンとウェズリー・スナイプス。思い出した、もう1人、デンゼル・ワシントンが出てたわ。」
「あー、あの取り憑かれるやつ」
「それ悪魔を憐れむ歌。あれめっちゃ怖かった~!!違う違う、ラッセル・クロウがガラス食べたら身体再生する映画、昔あったよね??」
なんだこの不毛な会話…ネットで検索して、それバーチュオシティや!!とようやく答えが出せました。
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウという2大オスカー俳優が激突する95年のSFアクションムービー、しかし色々残念!!
今日はこの憎めない90年代おバカ映画を軽く振り返りたいと思います。
近未来の設定かと思いきや意外と舞台は現代。
今後起こりえる凶悪犯罪に備え、アメリカ政府はあらゆる犯罪者のデータをコンピュータにインプットし、それをバーチャル・リアリティの世界で擬人化。犯罪者の行動を分析と撃退法を研究するというシミュレータ装置を完成させました。
この実験に協力しているのが元警官の囚人・パーカー(デンゼル・ワシントン)。
しかしとある研究員の裏切りにより、歴史上の凶悪犯罪者187人のデータをインプットしたシド6.7がアンドロイドとなって、現実世界に逃げ出してしまいます。
真っ裸でこの世に誕生するラッセル・クロウ。ターミネーターというかここがデモリションマンと被るか。
まずよく分からんのがシド6.7の設定。
「ナノ細胞のベースはシリコンなので、ガラスがあれば身体が再生できる。」→???
現実世界で次々凶悪犯罪を犯すシドが銃撃されても、ガラスをボリボリ食べながら身体を修復するシーンはとてもシュールで、ここだけすっごい印象に残ってました。
また追いかけるデンゼル刑事には暗い過去があり、なんと自分の家族を殺した爆弾魔・グライムズがシドの人格を形成する凶悪犯の1人だということが判明します。
因縁の対決…だけど187分の1って構成要素小さすぎじゃない!?
とにかくこの映画の見所は最っ高にハイなラッセル・クロウに尽きます。
クラブハウスに立て篭もり、人質の叫び声を音楽に見立ててコンサート。カメラが大好きで、殺人シーンを中継させる。サタデーナイトフィーバーをBGMに街に繰り出す。
対するデンゼルは全編地味。しかし前半なぜかドレッドヘアーだったり、右腕が金属製だったり、設定だけはてんこ盛りです。
しかも囚人なので頭に探知機が埋め込まれ、逃亡すると毒が流れる仕掛けが施されます。「ニューヨーク1997」かい!!
クライマックスの対決シーンでは、残酷なれしたイタリア人も度肝抜かしそうな、そこそこグロいシーンがでてきます。シドの血が青色じゃなかったらゾッとするよ…!
もう製作者がガラスフェチでガラス食べるシーン入れたんじゃない!?と言いたくなるほど、気合いの入れどころがなんか変なんだよなあ。
監督はブレット・レナートという人で、これ以外何撮ってるのか分かりませんでした。一瞬ブレット・ラトナーかと思った。ややこしい名前だな。
設定がしっちゃかめっちゃか。ボーカル入りの洋楽がジャカジャカかかって全体的にやかましい。
もう点数をつけるとしたら60点くらいの映画なのですが、製作陣が思い切り好きなことをやってやったという熱意は伝わってくる、不思議な作品です。
邪悪なAIが現実世界に飛び込んだら??
登場するコンピュータ機器も今見るととても古いものですが、ここに逆に味があり、SFの夢(悪夢)が詰まった作品かもしれません。
それにしてもデンゼル・ワシントンも90年代は変な映画に出ているなあ。
ラッセル・クロウは改めてみたら思ったよりガラス食べてなかったです。でもこんな映画だったわ~と思い出せて心スッキリ!!