半地下の家族じゃない方のパラサイト。
1998年のロバート・ロドリゲス監督作品ですが、当時の若手俳優が揃っていい味出したりしてて、なにげにTSUTAYA名盤復活コーナーにもある作品。自分も大好きでした。
お話としては、「ボディスナッチャー」や「遊星からの物体X」を想起させる、エイリアン侵略&寄生モノ。人間にエイリアンがひっそりと寄生し、侵略をはじめてようとする…というストーリー。
しかしながら、舞台が高校で青春モノ要素が強く、ホラー苦手な人でも観れそうな、エンタメ度の高い作品になっています。
何よりスクールカーストを超えて団結し、エイリアンに立ち向かっていくキャラクターたちの個性がイイ!!
●ケイシー(イライジャ・ウッド)
オールAの優等生だけど、いじめられっ子。だだっ広いアメフトの観客席で一人お昼を食べる姿が切なくうつる…。文化系かと思いきや、意外に足が速い!!
●ジーク(ジョッシュ・ハートネット)
「その知性の5パーセントでもいいから勉強にまわせばいいのに。」と教師に評されるほど頭がいいのに、なぜか不良。
オリジナルドラッグ密売疑惑があったが、成分はカフェインで、なんとこれがエイリアン撃退の特効薬に!?
●スタン(ショーン・ハトシー)
アメフト部のキャプテンだけど、そのことを理由に教師からエコひいきされることを疑問視し、「ちゃんと勉強したいから部活やめるわ」とか言い出す、超真面目っ子でいい奴。
●デライラ(ジョーダナ・ブリュースター)
有名男子と付き合うことにステータスを感じるチアリーダー。性格はどうかと思うけど、可愛いです。親がアル中みたいにさり気なくボヤいてて悲しいよ!!
●ストークリー(クレア・デュヴァル)
ロバート・デュヴァル並みの貫禄を漂わす女子高生。全身黒ファッションにパンダ目メイクと、近寄りがたい雰囲気。しかし実は誰よりも繊細で、一途な乙女。SF小説に精通し、チームを導いていく。
●メアリーベス(ローラ・ハリス)
清涼感ある美人転校生かと思いきや、転校早々イケメンとキス!?しかし他人を見た目で人を軽々しく判断しない一面もあるようで、ストークリーにも積極的に話しかけて、彼女の本質を見抜く。あだ名はミス・アトランタ。
タイプの違う生徒たちが団結して立ち向かう!!…これだけでも面白いんですが、「もしかしてこの中の誰かもう寄生されちゃってる?」とお互いを疑いだすところなんて、非常に物体X的でドキドキさせられます。
また最初に寄生されるのが教師陣というのも面白いところ。(本作の原題The Facultyは教職員の意。)
学校が生徒を意のままに操ろうとする…本当のことを言っても大人は信じてくれない…思春期あるあるな不安感を描きつつ、「疑うことを学んだはぐれ者の生徒だけが寄生を逃れる」…と、SFと青春ものの話のリンクがとても上手いです。
青春ホラーといえばな「キャリー」のオカン役、パイパー・ローリーが無表情で睨んでくる姿にゾゾーッ。また非人間的キャラを演じたら天下一品のロバート・パトリックがアメフト部コーチ役でダッシュで追いかけてきて、パロディ的なキャスティングに笑ってしまいます。
さらに寄生された人間が案外生き生きとしていて、寄生後の学校が平和そうに見えるのも面白いところ。
クライマックスのエイリアン親玉との対決シーンでは、親玉が「ユーも寄生されちゃいなよ。」と猛烈な勧誘をしてくる(笑)。
寄生されてしまえば、イジメもないし、痛みもない。皆んなおんなじ仲良しだよ。…って「自分だけ異質に思えて悩む」というのもティーンエイジャーあるあるですかね。
痛み・苦しみがあっても、自分らしくいたほうがイイ!…と立ち向かっていくオタク主人公の姿に胸が高鳴ります。
脚本家のケヴィン・ウィリアムソンは、「スクリーム」も手掛けた人。
エイリアン=学校に居場所を感じない若者…こんなに上手く話がつくれるのは、ご自身きっと青春にイチモツ抱えた方に違いない…。少なくともアメフト部には絶対恨みがありそうだわ~。
特殊効果は今見るとチープだし、そんなにお金のかかった映画とは思えないけど、学校という舞台装置を最大限に生かした画づくりも迫力があって、最後まで飽きさせません。
オタク役だけど10代のイライジャ・ウッドが美形…!今も面白く観れるライトなSFホラーの秀作かな、と思います。