祝!!「死霊のえじき」HDニューリマスター・スペシャルエディション発売!!
昨年ゾンビ40周年公開記念版を鑑賞後、どうしてもえじきも観たくなり、久々にみたら、やっぱりえじきもイイ!!と再熱。
改めてなんですが、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ3部作と呼ばれる作品といえば…
●ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/Night of the Living Dead(1968年)
●ゾンビ/Dawn of the Dead(1978年)
●死霊のえじき/Day of the Dead(1985年)
の3つ。(夜から昼になっちゃうタイトルが粋…!)
世界観が共通しているだけで物語は完全に別モノなので、どれから観てもオッケーな作品だと思います。
絶賛された2作目「ゾンビ」に対し、えじきは公開当時評価がイマイチだったよう…。
自分も初めて観たときは、「ゾンビ」(2作目)の方がスケール感あったよ、コッチはごちゃごちゃしててイマイチだよ、などと思っていたのですが、鑑賞後、1週間、2週間経って、「悪くなかったな。」「いややっぱり良かった。」とジワジワくる、とても不思議な作品です。
見所を少し振り返ってみたいと思います。
ここがたまらん!!えじきの見所
ゾンビの数が圧倒的にヒトを上回り、40万対1 の比率になっているという絶望的な世界。
そんなえじきの舞台は、巨大シェルターともいえる地下施設。ここがまず魅力的です。
とにかくシェルターがデカい、デカいけどめっちゃ暗くて無機質で、長くいると気が狂いそうな感じ。
しかしこんな広い割りに、確認できてる生存者はたった12人とめちゃくちゃ少ない。
えじきには、当初ヨーロッパからの資金援助でかなりの大作になるはずだったのに、それが得られず大幅に物語を縮小した経緯があるそうです。
でもねー、世界滅亡的状況を、少人数でコソコソなんかやってるっていうのが閉塞感マックスで逆にリアルなんですわー。
唯一外の世界をきちんと映したのが冒頭、フロリダ州フォートマイヤーズを封鎖して撮ったというシーンですが…
ここはかなり迫力があります。冒頭で「外はこんだけアカン!」ときっちり描いてくれてるので、シェルター生活の陰鬱さにも説得力バツグンです。
また、2作目「ゾンビ」では、ゾンビたちの動きはかなりノロノロでしたが、えじきのゾンビはもうちょっと動きが機敏というか、より暴力的、主体性を感じるようなゾンビになっている感じがします。
ここも最初はどうしても「ゾンビ」の続編として観てしまい、「あの超遅いゆったり感に迫力があったのに。」「知能のない無個性な集団に追いやられるところに狂気を感じたのに。」とイマイチに思ってしまいがちです。
しかしゾンビを人に近づけたことで、また別のドラマ性をえじきは持っている気がします。
ラスト、ヒスパニック系のミゲルが大量のゾンビを引き連れなだれ込むところは、移民問題がよぎったりするし、バブが元軍人という設定は、精神に傷を負ったベトナム兵を思わせたりして、改めてみても色んな受け止め方ができる作品のように思いました。
好きなキャラクターベスト3
魅力的な登場人物が多いえじき。
個人的に好きなキャラを3人ピックアップしてみたいと思います。
●ビリー/無線技士
ジョンよりもパッと見、弱そうな感じに惹かれます。そんな彼がビシバシ啖呵切ったり、最初にサラを家(リッツ)に招待する優しさを見せたり。
日本でリメイクするならきっと滝藤賢一さん(笑)。
●スティール一等兵
男尊女卑のクソ野郎もここまで来ると清々しい!?頭からっぽで何にも考えてなさそう〜なんて思ってたら、最後にみせる哀しい男気にまさかのギャップ萌えです…!
●ローズ大尉
【冒頭】人を人とも思わぬ最低パワハラ野郎・・・(好感度0)
【途中】「部下まで危険な目にあわせやがって」「我々は5人を失った」・・・(もしかして仲間想いでこうなっちゃったのかもしれん!!とやや好感度アップ)
【後半】まさかの仲間見捨てて自分だけ逃走・・・(好感度だだ下がり)
【ラスト】「俺の肉で窒息しやがれ!!」・・・(好感度爆上がり)
…と印象を次々と裏切っていくローズ大尉。
軍人チームと科学者チームが争って派閥争いをしているという状況で、独裁政権で人権無視の軍人は悪!!…ではあるんですが、一方の科学者チームも全然結果を出せていないと問題はある。研究に必要なゾンビの個体を用意するのは軍人チームの役割で、仲間を失って怒って焦っている…。
こういう背景が丁寧に描かれているので、スティールやローズ大尉は憎いだけの悪人じゃない、味のあるキャラでした。
協力しあえればもっといい関係になれるはずなのに、お互い譲り合えない大人たち…。これほど空しいものはなく、ジョンの言う「世界の縮図」という言葉がまさにピッタリきます。
そういえば主人公の女性が恋人役の男性よりメンタル強いのは「ゾンビ」と一緒…!軍人や男性が弱さをみせられない社会の厳しさ!?こういうキャラの配置もロメロらしいです。
Blu-rayの日本語吹替がすごい!!
今回のBlu-ray最大の特典ともいえるのが日本語吹替。
クラウドファンディングで資金を募集し、全く新しい日本語吹替版を制作して付けたそうです。
吹替文化に強い愛着がない自分だけど、コレはすごかった!!
大塚芳忠さん演じるローガン博士の楽しそうにも思える狂気っぷり(笑)。山路和弘さんのローズ大尉の迫力ある恫喝にドキドキ。
個人的ビックリは、Fateのアーチャー役などでおなじみイケボな諏訪部順一さんがリックルス役で出演。
諏訪部さんといえば、「ハイスクール・オブ・ザ・デッド」で主役を演じていた際、大のゾンビ好きだと語られてた記憶があって、きっと嬉々として演られたに違いないと嬉しくなりました。
映画作品も配信がメインとなりつつある昨今、便利で有難い面もありますが、反面こういうモノが売れにくいだろう時代なんだろうなあと思います。
愛のあるものを作って好きな人の手に届けるというメーカーさんの心意気がアツいです…!
豪華特典も含め、じっくり堪能したいと思います。