1985年のスチュアート・ゴードン脚本&監督作品ですが、同年には「死霊のえじき」「バタリアン」も公開と、ゾンビもの大豊作な年だったんでしょうか。
ラヴクラフト原作らしいけと、ラヴクラフトを全く読んだことがなくて、これのせいで誤ったイメージになってるかも(笑)。
原題は「Re-Animator」(死体蘇生者)。でもゾンバイオという言葉のセンス、響きがいいですねえ。
初めてみたときには、「ヒロインがどえらい目にあってるー!!」と衝撃でした。
まずはヒロイン、メグ(バーバラ・クランプトン)を囲む存在として!?各男性キャラを追いかけてみたいと思います。
ロクな男がいない!?メグの悲劇
まず論外のサイテー男は、もちろんこの方、ヒル博士。
親子ほど歳の離れたメグにのぼせていて、ダン曰く「ヤツはメグのナプキンや髪の毛を集めてた。」(←通報しろよ)
首だけになっても元気いっぱいすぎて困ります。
おっぱい揉んでの感触、ちゃんと頭部に伝わるんですね、よかったですね。
他人の研究を堂々と盗作するなど、医学者としてもゲスの極み。
しかし自分の首をのせたトレイを持って動き回る姿はシュールで爆笑です。
次はメグの父、ホルジー学長。
娘想いの父にみえますが、過保護気味。いい歳した子供の交際相手に口出し。
奨学生のダンとの付き合いを応援せず、そのくせヒル博士には「うちに来ないか、メグと3人で食事でも。」となぜか大サービスな、人を見る目なしオトン。
自らもゾンビと化しますが、生首ヒルに迫られてのメグの絶叫に、ほんの一瞬反応する姿が哀れを誘います。
そして、そもそもお前が来なければこんなことにはならなかったんだよ、な、ハーバード・ウェスト博士。
一目みてサイコパスだと分かる、ジェフリー・コムズの素なのか分からないような名演技。
目上の教授に対しても全力で煽る傲慢さですが、女性のことは特に見下してそうでイヤな感じ。
ただ「周りを省みず、自分の好きなことだけやるで!!」という一心不乱の姿はちょっと魅力的に見えてしまったりして…。
でも動物(猫ちゃん)、あれは多分やってると思うので、うーん、やっぱり許せん。
最後は、ザ・好青年、メグのボーイフレンドのダン。
冒頭、患者の蘇生に必死になる姿から、真面目な医学生だと分かって心をギュッと掴まれる…と思いきや…
冷静にみるとダンもなんだかなー。
無鉄砲にメグに「結婚しよう」といったり、ヒル博士がやばいの放置してたっぽいし、ウェストに丸め込まれてばっかりだし…。
イケメンだけどちょっと頼りない彼氏ですね。続編ではただのサイテー男でしたね。
一応本作の主役はダンといってもよさそうで、蘇生ではじまって蘇生で終わる幕引きがビシっとキマっています。
患者が死ぬのをみたくない優しい医者という面もありますが、ダンは苦学生でもあるので、ウェストみたいに狂気じみてはいなくても、「功績をみとめられたい」という欲は人一倍あったのかもしれません。
野心に溺れて恋人を失う…いうストーリーの軸は、エロとグロにまみれながらも案外オーソドックスで、血の通ったドラマのあるホラーではないかと思います。
おバカなホラーは短いに限る!?
今月このゾンバイオの4Kレストア版が発売されました。
自分は2013年に発売されたBlu-rayを持っているのですが、今回のレストア版は、以前別個でリリースされてたインテグラル・バージョンという104分版も収録されてるみたいですね。
未公開シーンは旧版Blu-rayにも特典収録されていたので、途切れ途切れですが改めて観たところ…
・メグとダンのイチャイチャがやたら多い
・ヒル博士が強力な催眠術者ってことになっている (だから学長は操られてダンのこと嫌がるようになっちゃったのかーとここは納得)
イチャイチャはかなりダレそうで、催眠術の設定はてんこ盛りすぎて混乱するような気もします。ラストはどうせカタストロフ、あえて説明なく進む方がかっ飛ばしててgoodなのかも。
本作がデビュー作だったゴードン監督も「短くてよかったー」「いらんとこばっかりやったから編集が神で助かったわー」みたいにニコニコ語ってたので、勢いよくグッとまとまってる86分オリジナル版がイイのではないでしょうか。
今回1作目は4Kレストアになり、2作目はノーカット版Blu-rayになり…だけど3作目は完全スルー。
3は刑務所ものと無理やり合体してて結構面白かった記憶があるんだけど、今も旧DVDのみなんですね。
鑑賞後はあのノリのいいテーマ曲もしばらく頭から離れない…!案外今も全然古くない、時代を超えて楽しく観れるホラーじゃないかと思います。