CGなしのロボット対戦！！俺たちが「ロボ・ジョックス」だ！！

スチュアート・ゴードン監督がつい先日、72歳で亡くなられたとのこと…。

全ての作品を観ているわけではないのですが、なかなか外れのない、エンタメホラーの名職人監督だったのではないかと思います。

自分が初めて観たのは「フォートレス」でしたが、ザ・ホラーな作品以外に、SFアクションもいくつか撮っているんですね。

今回振り返ってみたい作品はこれ。

人類の多くが死亡した核戦争から50年余り。

生き残った人々は、「連合」と「共和国」の二派に分かれて対立していました。

しかし環境汚染でこれ以上の戦争はもう出来ない。

代わりにお互いの技術を総動員したロボットをつくり、パイロットを乗せ、一騎打ちさせることで、領土問題を解決していました。

1990年公開の作品ですが、「人間の動きがロボットと連動して動く」の実写に大きな夢を感じます。

模型と、合成と、ストップモーションと…朝8時の戦隊もののような特撮感ですが、子供の頃に戻ったかのようにドキドキさせてくれます。

ロボのごつい足がガシッと地面についてるのがいいですね。AT -ATみたいな感じもする。

こういうロボットは陸駆けてるときが1番カッコいい！？を貫くかと思ったら、まさかの宇宙へ…！！しかもクライマックスはガンタンクに変身！？

どうやらゴードン監督は「マクロス」ファンだったそうで…アメリカ人に人気だったらしいマクロス、自分は知らんのですが、ロボットの変形ってなんだか心躍りますねえ。

ロボットだけでなく、人間のキャラクターも皆個性があってなかなか魅力的です。

なぜかパイロットたちはギリシア神話の名前で呼ばれるという世界観。

主人公のアキレスは叩き上げパイロット。10回戦ったら引退すると決めている。

ヒロインのアテナは、女性であることと、試験管ベビー出身だということから差別を受けながらも、戦う候補生。

”ロボットに乗ることだけが自分の存在証明”・・・ちょっと強化人間的な！？綾波レイとアスカ足して割ったようなヒロインがエキゾチックで、力強くてイイ。彼女に恋して主人公が自分を取り戻す展開もアツい。

そして味方ロボの最新兵器の情報が敵に漏れててスパイが！？の展開もあって飽きさせません。

戦争を避けるための正々堂々としたロボ勝負のはずが、やはり人間、弱さにつけこまれたりして、一筋縄で行かなくなってしまうのですね。

明らかに連合側は旧ソ連、共和国側は西側諸国にみえますが、冷戦時代、両国が競って宇宙開発／核開発を行っていたことなど、当時の不安感を上手くSFに転換した作品のようにも思えます。

一見、からっとした感じの明るい未来にもみえるのに、「優秀な過去パイロットの遺伝子を利用」「産めよ、増やせよ」…敵味方ともにディストピア感、毒っけもみせているような気がします。

さんざんバトルして、最後はなんと肉弾戦！？

いやいや、そこはロボットで決着つけなアカンでしょ…と思ってたら、意外に最後はホロッ。

「・・・第四次世界大戦が起こるとすれば、そのときに人類が使う武器は石と棍棒だろう。」・・・かのアインシュタインの遺した言葉を彷彿させるようなバトルに突入して、ふとその不毛さに我にかえる。

国と国との争いは絶えないけど、人と人とは分かち合えるものがあった…！！

ラストがまたカッコいいです。

ゴードン作品は、幕引きが上手く、案外後味が優しい／バッドエンドでも後味が悪くないのが多いかな、と思います。

加えて〝この予算で好きなことができた！〟感が伝わってきて、観るとハッピーな気分になれます（笑）。

途中観客が死んでしまう描写がやたらリアルなところや、ロボの股間から武器が出るところなんかは、やはりホラーのノリを感じてしまいますね。

愛妻家だからなのか、製作陣の一員という立ち位置だったからなのか、ゴードン監督の奥さん（キャロリン・パーディ＝ゴードン）がよく出演していて、いつもは意地悪な役が多い気がするけど、「ロボ・ジョックス」では珍しく普通の人！？

他にも「この人何かにでてたよね、どっかで見たことあるよね。」というホラーつながりの面々が結構いたりして…。

そんなところもあったかい感じのする監督でした。

面白い作品をたくさんみせてくれてありがとうございました！！

どうながの映画読書ブログ