狙撃手映画といえば、これか「ジャッカルの日」というイメージですが、なんと来月14日からシリーズ最新作が劇場公開予定とのこと。
8作も続いているということに驚きですが、しょっ中この作品を放映している気がするテレビ東京が先週からシリーズ7週連続オンエアを開始。
自分は1作目しか観てなかったのですが、録画して久々に鑑賞。
本作の主人公はアメリカ海軍最高のスナイパーと呼ばれるトーマス・ベケット。
実際にも狙撃手は”撃つ人”と、それをサポートする”観測手”と2人1組で行動するケースが多いようで、ベケットも常に相棒を連れて行動しているのですが、とある任務の帰還中、バディを失ってしまいます。
狙撃手にとって、撃ったあと敵陣から帰るというのもまた困難な任務。
この作品では救助ヘリが誤って日の暮れないうちに来てしまうという大ポカをやらかすのですが、救助隊に掴みかかるベケット…冒頭から引き込まれます。
しかしまた新たな任務が与えられて、今度の相棒はなんと元オリンピック銀メダル選手の肩書をもつミラー。
(ミラー役は「タイタニック」のフィアンセ役が思い出されるビリー・ゼイン。)
お坊ちゃんオーラ&出世目的で任務を受けた甘ちゃんのミラーと、ベテラン現場主義のベケットが反発しつつ絆を深める姿、バディものってとこもまたいいですね。
エンタメに振り切ってる本作ですが、駒として扱われる狙撃手、無理解な上層部に反抗心あって指示を無視するベケットと、主人公が任務を盲信する熱血漢タイプでなく、あくまでドライな仕事人として描かれているところが格好いいです。
大変なのは最初の1人、本当の苦痛は何も感じなくなることだ…といったセリフは哀しみをたたえています。
またミラーが他の兵士たちと交わる僅かなシーン。基本単独or少人数のため任務の実情を理解されず、「遠くから確実に人を殺す」役割の狙撃手たちは部隊の中で嫌われ孤立しがち…ということも読みとれて、リアリティを感じさせます。
本作で1番ドキドキするのは前半、ターゲットの所在地まで迂回し徒歩で密林を行く場面。
派手なアクションのない隠密行動ですが、発見されるのを危惧してヒルのたくさんいるという沼で仮眠をとる姿が強烈。
「山猫は眠らない」という秀逸すぎる邦題(原題:Sniper)から思い浮かんでくるのはなぜかこの場面で、ここからフラッシュバックに飛ぶところも含めて印象的な名シーンです。
傭兵となったかつての弟子が現れるという狙撃手対決もみせてくれ、スコープ越しの敵視点でのアングル、向かってくる弾丸のスロー映像はアニメ的な感じがします。
目的地に辿り着いてからはいよいよ作戦実行となりますが、相棒ミラーが飛んでもないポンコツぶりを発揮して、肉弾戦ありの隠密の緊張感はどこへな展開に(笑)。
でも前半の狙撃手対決での立ち回りを意趣返しのようにしてミラーが挑んでくるところ、ミラーの成長と喪失を現したかのような撃ち抜かれた銀メダル。
男臭いベタな演出ですが、100分という短い作品で伏線のように回収してくる構成が上手い…!
クライマックス、狙撃手は捕虜になると拷問され殺されてしまうというのが必然という中、仲間が助けにくる…ラストにほっと胸をなでおろします。
リアリティのあるミリタリーアクションでは全くないと思うけど、おそらく実際にあった狙撃手エピソードを拾いながらアクションに上手くいかしていて、今日までの人気ぶりに改めて納得。
今回のテレビ放送の吹替は青野武で、もう渋みが増し増しになってました。テキパキしたおじさんにすごいお説教されてる感じ(笑)。
2作目は予告見て密林じゃないのかーとちょっと気になりますが、なによりトム・ベレンジャーとビリー・ゼイン交代でほぼこのシリーズに出続けてるってことにビックリです。