どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」はイヤホンして日本語吹替で観た

ひどい映画だとボヤきながら結局3作全部みてしまった…。

若き女子大生アナはサディストの性的嗜好を持つ若き大富豪と恋に落ち、SMの世界へと足を踏み入れる…。

こういう作品、振り切ってエロシーンを思いきりよく見せてくれるならそれはそれで需要があると思うのですが、SMという割にやってることが案外普通!?で、ちょっと手足縛ってるか目隠ししてるか位。

ジャカジャカ洋楽BGMが流れる中カットが細かく切り替わるベッドシーンには官能のかけらもなく、張りつけの鞭打ちに身悶えする主人公とか期待してしまった日には不完全燃焼なことこの上なし。

 

エロが控えめなら、ツンデレ彼氏とのラブロマンスを楽しみたいところ、それもキャラクター造形がめちゃくちゃすぎて感情移入しにくいです。

恋人となるクリスチャンは、物事の判断ができない若い女性たちに奴隷契約を結ばせて支配してきたという病的な男…設定だけは生々しくてやたらハードルが高いなー。

みてて1番気持ち悪いのは、主人公の自宅や職場に何の予告もなくいきなり現れて干渉してくるところで、プレイは個人の趣味としても行動全部束縛してくるモラハラにドン引きです。

そしてこのクリスチャン、超エリートCEOらしいのですが、その割に仕事中も主人公とイチャイチャメールしていてバカンス三昧、やたら暇そうにみえるのがなんか腹立ってきます。こち亀の中川父に「72時間働けますか?」と言われてみてほしい。

 

しかし主人公のアナもかなりの女で、高そうな服もアウディも平気でポンポン受け取っちゃう。

貰えるものは貰っておいて奴隷契約には粘り強く交渉するタフネスには感服です。

そもそも冒頭の出会い…風邪ひいた友達の代わりにインタビュアーの仕事をするというのに、資料も読まずに突撃してるところからしてかなりのうっかりさん。


シリーズ3作で完結となっているのですが、スカスカのストーリーを簡単にまとめると…

 

1: 出会いから別れまで

付き合い始めたものの、クリスチャンにそっちの趣味があると分かって躊躇いまくる約2時間。

契約とかいいつつ無視してイチャつきまくるので緊張感ゼロ。

でもラストがお別れで終わっている点は評価したいです。官能映画の先輩「ナインハーフ」も女性の方から去っていき、多分それから成長するのだろう…と思わせる終わり方が良かったと思うんですよね。

 

 

2:よりを戻して結婚とか言い出す

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前作で「将来?知らんわ、そんなもん。」だった主人公がちゃっかり出版社に就職して女編集者にのし上がる展開に唖然。

しかし上司のジャックはセクハラ野郎という本当にどうしようもない男運のアナ。ライバル男キャラはもっと普通の人にして、どっちをとるか悩ませた方が盛り上がると思うんですが…。

クリスチャンの元カノ(元奴隷)に襲われるというショッキングな展開もありますが、この元カノが何だかとても可哀想でした。自分のやったことが他人の人生を壊しているということを一切省みないクリスチャンとそれに平気でついていく主人公が怖すぎます。

1番面白かったのは唐突にクリスチャンの乗ったヘリコプターが墜落する場面。記憶喪失展開キターと思ったら、ちょっと血を流しながら普通に帰宅してくる。ここだけは全く予想できず笑わせてくれました。

サブキャラが出てきただけで、クリスチャンの過去と向き合うような場面も一切なく、話が1ミリも進まないので観なくてもオッケーな2作目。

キム・ベイシンガーの無駄遣い!

 

 


3:そのうち殺されそうなバカップルと化す

フィフティ・シェイズ・フリード [Blu-ray]
 

盛大なウェディングとハネムーンで幕を開けますが、しかしその直後に子供は欲しいか、夫婦別姓はどうするかと大モメする主人公夫婦…先に話し合っとかんかい。

そんな中、前作でアナにセクハラした上司ジャックが自宅周辺をうろつき、襲撃する事件が発生。

2人はボディガードやらメイドやらに囲まれながら隙あらばイチャイチャで、大した仕事もしてないのに会社で出世する、気に入らない建築士には夫の威を借り喧嘩売るとアナがどんどん調子に乗っていきます。

知らないところで人の恨みを買っていると思いますよ、この2人。今回はたまたまジャックだったけど、次はマジで殺されるかもしれない…。

最後は出産して旦那は子供可愛がるタイプで何もかもハッピーという凡庸極まるエンド…非日常を求めてこのコンテンツを視聴したであろう全ての中年女性にケンカを売るラストに愕然です。

 

 

2と3は本当に酷かった。クリスチャンの子供時代とかやってトラウマ克服の展開を期待してたんですが、そういうのもなし。

1はもうちょっとキャラクターの日常や駆け引きをきっちり描いてくれてたらなー、俳優さんがあれだけ脱いで頑張ってるのになんか勿体ないなーと惜しい気もしました。

 

元々原作があって、原作と映画で大分違うらしいですが…翻訳の方が有名で自分も1作目だけは原作何年か前に読んだんですけど、つまらなかったという記憶しか残ってない。

大して分厚くない本を上中下にスライスするという中々アコギな売り方…!

 

そんなボロクソに言ってしまった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」、1つ特別な楽しみ方が残っておりました。

それは…日本語吹替で観ること!!

クリスチャン役の吹替担当は津田健次郎さんというイケボ声優。

そして津田健次郎さんといえば「遊戯王海馬瀬人役が頭に浮かんできます。(海馬くんは現役高校生社長)

社長に社長を持ってくるというなんと粋なキャスティング!!

映画でクリスチャン役だった俳優さん、スタイル良くてすごいイケメンなんですが、なんかちょっと影が足りんなー、若い頃のジェームズ・スペイダーとかが良かったなーとか思ってみてたんですが、日本語吹替の方が暗くミステリアスな感じがして個人的にはよかったです。

 

クリスチャンは子供の頃に虐待を受けていて、グレイ家には養子で迎え入れられたという背景があり、映画では「私は飢えを知っている」と語るシーンがありましたが、実は優しくて??アフリカの農業支援に力を入れているようです。

海馬社長も施設育ちで養子として引き取られ、そこで虐げられた子供時代を送り、傲慢な性格となりましたが、実は恵まれない子供たちのために世界中に遊園地をつくるという夢を持っていました。

あれもしかして共通点ある??

クリスチャン社長は罵倒してくれず甘ったるいですが、「君は僕のものだ。」「またな、ベイビー。」のセリフに笑わずにいられるのは、イケボの為せる業かと思いました。

 

アナ役の声優さん(白石涼子さん)の方は知らなかったのですが、すごく上手…!

ダコタ・ジョンソン、普通にグラマラス美人で”キスを知らん女〟にはとても見えんなー、後半バンバン自分からトップレスになるのが有り難みないなーとか思ってみてましたが、吹替の方があどけない感じが出てて、天然小悪魔的というか、可愛らしく思えました。

 

そんなわけで夜中にイヤホンして1人で観るのに最適な映画として認定!

真面目にみるとイライラする映画ではありますが、映画にイライラする分日常のイライラを忘れさせてくれるという点でも貴重な作品、文句言いつつ結構楽しんで観てしまったかも。