「プラトーン」と「山猫は眠らない」のせいか軍人役のイメージが強いトム・ベレンジャーが教師役に挑戦…!のB級アクションムービー。
プロの傭兵・シェイルは麻薬組織の殲滅ミッションから解雇され次の仕事を探していた。
そんな折、高校教師の恋人が何者かに暴行を受けて休職してしまう。
荒れた学校に疑いの目を向けたシェイルは身分を偽って代理教師として赴任、やがて学校と麻薬組織とのつながりを掴んでいく…。
結局兵士役なんかーい!なトム・べレンジャー。
不良生徒たちとぶつかりあって心を通わせていく感動作への道は険しく、学校の荒れっぷりがなかなかにすさまじいです。
生徒がナイフや銃で襲ってくるというハードモードな洗礼をアクションで蹴散らしていく、グレート・ティーチャー・ベレンジャー。
一見ハチャメチャに思える作品ですが、意外にアメリカの暗部にスポットを当てた社会派ドラマな一面もあるように思います。
マイアミの公立校と思われるこの学校ですが、
・学校はフェンスで囲われ、入り口には金属探知機が設置されている。
・高校生なのに子持ちの生徒がたくさんいる。
・学力が極端に低い。
自分はアメリカに住んだこともないしアメリカ社会のこともよく分からんのですが、本作の学校は昔読んだこの本のイメージと重なりました。
ニューヨークの荒れ果てた学校に赴任した教師のドキュメント。
この先生も身の危険を感じて学校に銃や防弾チョッキを持って行ったりしていて、その上貧困層の生徒の学力は驚くほど低いと語っていてショッキングな内容でした。
「ベトナム戦争の敵はヒトラー」というギャグのような台詞も、「不良になって麻薬がらみの仕事をしなければ最低賃金で働くだけだ」という生徒のつぶやきも、格差をあらわしたリアルなものに思えます。
開始早々バレバレで話が進んでいきますが、学校の治安を悪化させていた黒幕は校長先生。
この悪徳校長は黒人で、元警察官から教育の道に進んだ人物なのですが、(警官時代は)「家が焼かれたり、友人が逮捕されたりした」という台詞が重たい…。
暴動の際にはときに仲間を逮捕しなければならず、挙げ句には身内から恨まれる…
努力しても簡単に報われず、ダークサイドに堕ちるだけの何かがあったんだろうなー思わせる、なかなか味のある悪役なのもよかったです。
大人は更生しないけど、生徒たちの中にはベレンジャー先生と心を交わし慕う子たちも出てくる…。
ボンクラ映画のようでいて意外に浮ついてない、真面目さを感じる作品。改めてみても良く出来ているなあと思いました。
クライマックスには、ギャング団vsベレンジャー率いる元傭兵団のミリタリーアクションが炸裂!!
夜の学校を疾走、校舎を軽く破壊しながらドンパチをやって終わるというここはスッキリした仕上がりになっています。
96年公開のこの作品、ずーっと国内DVD化がなされておらずVHSのみしか存在していなかったのですが、この夏U-NEXTでめでたく配信が開始されました。
(今月公開の「山猫は眠らない」のプロモーションだったりするのかな)
TSUTAYA名盤復活とかに入れるほどの名作かといわれるとビミョーだけど、なんかヒカるもんがあるアクションドラマ。
久々にみれて嬉しい限りです。