どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「デビルスピーク」…犬に手を出すいじめっ子はヤッチマイナー!!

陸軍士官学校を舞台にした男の子版「キャリー」ともいうべきいじめられっ子の復讐劇ですが、悲壮感なく楽しくみれるB級ホラー。

81年公開作品とは思えないほどアイデアに溢れスプラッタ描写も秀逸、個人的には大喝采したくなる傑作です。

 

学園モノかと思いきや、中世のキリスト教異端審問という意外すぎる場面からスタート。

f:id:dounagadachs:20200830211348j:plain

 

サタンを信仰する黒衣の男がいけにえの半裸美女の首を跳ねると、いきなり舞台が現代にとんでサッカー試合の場面になるのですが…

吹っ飛ぶ生首→宙をとぶサッカーボール・・・の場面転換が神がかったセンスで、「2001年宇宙の旅」みたいでかっちょいい!!

もう冒頭から傑作の予感しかありません。

 

主人公のスタンリー・クーパースミスは両親を交通事故で亡くした孤独な男の子で、同級生からいじめられる毎日を送っていました。

とろくて空気が読めないすんごい独特のオーラの持ち主ではある。

f:id:dounagadachs:20200830211338j:plain

演じるのはロン・ハワード実弟、クリント・ハワード。

「キャリー」は環境が違えば違う人生があったのに、と悔しい思いになりますが、クーパースミスは3回生まれ変わってもクーパースミスなんだろうなと思わせる底力があります。

でも病気の子犬を可愛がる優しい心の持ち主でもあって、どこか憎めない応援したくなる系男子…!

 

陸軍士官学校なのにミッションスクールだというよく分からんこの学校、生徒はみんな覇気がなく、先生は差別的で感じの悪い人ばかり。

なんと実は冒頭にでてきたサタニスト、エステバンが建てた学校で、チャペルの下には人知れず悪魔崇拝の墓標が…というとんでもない学校です。

偶然チャペルの地下から悪魔の古書をみつけたクーパースミスはコンピュータでその内容を解析するのですが…

f:id:dounagadachs:20200830211355j:plain

 

ラテン語を打ち込んだら即英語に翻訳!!ってそんなエキサイト先生みたいな技術が81年にあるんかい!!

…ってどうやら悪魔がコンピュータを介して交信してきた模様。

次第にいけにえ召喚を要求する悪魔コンピュータ。女神転生っぽい悪魔召喚システムが時代の先を行っててすごくいいですね。

 

そんな中いじめっ子たちが暴走してクーパースミスの飼っていた子犬が殺されてしまいます。

なっ!何をするだァー!!ゆるさんッ!!

クライマックスは惨劇へと一気に突入…!

 

意外にも犬の殺害シーンはほとんど映らず、犬好きも耐えれるやさしめなつくりなのは嬉しいところ。

しかし人間には一切の容赦がなく、豚に食べられる、内臓掻き出される、首チョンパ、脳天直撃などスプラッタ描写がハデに炸裂。

低予算映画のはずなのにチープさをさほど感じないほど撮影や音楽の出来栄えがよく、とくに悪魔がクーパースミスに憑依する場面…CGのない時代なのに鏡を反射させて撮ったという見事な工夫で、エステバンの顔が浮き上がってくる演出は秀逸です。

そして、炎の中宙に浮いたクーパースミスが剣を持って迫ってくる場面も圧巻で、ヤッチマイナー!!と叫びたくなります。

f:id:dounagadachs:20200830211324j:plain

ここはワイヤで吊ってるの丸わかりだけど、スススーって来るのが逆に神々しい。

いじめっ子の生徒たちは皆たるんだ顔つきで、教員陣の面々はまるでナチスドイツものに出てきそうな強面連中というキャスティングも面白いですね。

食堂の裸エプロンのおじさんが癒し…!

 

 「キャリー」とは違って娯楽に振り切っているけど、とにかく楽しいホラーです。