コミックに小説と山程ある「スターウォーズ」のスピンオフの中で自分が唯一読んだ作品なのですが…「帝国の逆襲」と「ジェダイの帰還」の空白を描いたノベライズ版が面白かった…!
ジョージ・ルーカスが書いたわけではないものの、97年の特別編公開の際に公式から認められて出版されています。
「ローグ・ワン」と同じでポジション的においしい位置というのもあるかもしれませんが、昔図書館にあったのを見つけてたまたま読んだらかなりよく出来てるなーと。
お話としては「帝国の逆襲」の半年後ぐらいという時系列。
散々な痛手を負ったルークですが、凍結されたハン・ソロを連れ去ったボバ・フェットの行方を全力で追い、救出作戦を開始。
ルーク、レイア、ランドに加え、ヤヴィンの戦いでハンに大きな恩義を感じていたウェッジとローグ中隊が戦いに参加するのが胸熱です。
結局作戦は失敗するけれど、Xウイングで宙を舞うパイロット、ルークの姿がみれるのは嬉しい展開。
今作の敵はベイダー…というより、皇帝に取り入っているマフィアみたいな組織、ブラックサンという第三勢力が登場し、これとルークたちとダースベイダーの三つ巴的争いになっています。
この人がブラックサンという組織の首領、プリンス・シゾール。↓↓
人間じゃなくて爬虫類を祖先に持つファリーンという種族ですが、作中では超イケメン設定らしくて、ゴージャス、ハンサムだと連呼されます。
何とこの人がレイア姫に一目惚れ。種族ならではの特異体質…異性を惹きつけるフェロモンを発散するという能力を持っていて、レイアを誘惑…!!
あの気丈なレイア姫がフェロモン攻撃を食らってクラクラするのに何だかドキドキ(笑)。
エンダァァァァー!!・・・と叫びたくなる大人な「帝国の逆襲」の名場面もレイアの心の中で何度も再生されます。
「彼を失うと思った瞬間〝愛してる〟って言葉が出てしまったけどハンも同じ気持ちだったのよね?」…ってちょっと不安に思ってるレイア姫、意外に乙女な姿がギャップ萌えで可愛いです。
銀河中の女性を虜にするというフェロモンを跳ね返すレイア…多分それはフォースの力だけど、私が好きなのはハン・ソロよ!!とトカゲ男の股間蹴り上げるとこ、最高にシビれます。
敵キャラ以外の味方サイドではダッシュ・レンダーというオリジナルキャラが登場。
↑↑この小説をもとに作られたという任天堂64ゲームの主人公はこのダッシュだったみたいですね。
密輸を生業にするはみ出し者でパイロットの腕は一流…とまさにハン・ソロを思わせるキャラですが、より男臭くアウトローな感じがします。
彼がルーク&ランドのチームに加わって憎まれ口叩きながら協力している様子は楽しく、汚水にまみれた下水管を辿って皆で敵陣に突入するところ…
エピソード4のゴミ捨て場っぽくてめちゃくちゃスターウォーズしているなあと読んでいて嬉しくなります。
その他にも、
・タトゥイーンに戻って緑のライトセイバーを製作するルーク
・エピソード6で賞金稼ぎに扮したレイアが持っていた小型爆弾の出どころを伏線として回収する
…など、細かい部分も「おっ!」と思わせるサービスがあって、5と6のつなぎとして良く出来ているなあと感心します。
独裁国、帝国軍の卑劣っぷりとレジスタンスの抵抗というドラマもしっかりある。
個人的にこのキャラ惜しい!!と思ったのは、シゾールの部下の美人アンドロイドです。
ジェダイにも負けない格闘戦をみせる強化人間みたいな女性なのですが、主人に見捨てられた上、敗北。
「プログラムを書き換えてあげるから一緒に来ない?」とルークが誘うのですが、シゾールに忠実で死を選ぶ…切ない…。
ルークと美人アンドロイドの恋が始まらないかなあ、とアホなこと考えて読んでいました。
◆この小説陣での続3部作がみたかった
ちなみにこの「帝国の影」(シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア)を出してる出版社さんは、エピソード6以降の世界を描いた続編シリーズも出しています。
ガンダムみたいにずっと戦ってて長い…。
この続編シリーズはちゃんと読んでいなくてあらすじだけ子供の頃拾い読みしてたというテキトーすぎる記憶なのですが…
ルークは元パルパティーンの部下だった女ジェダイ騎士と恋に落ちて結婚して子供もできて…とディズニーの「スターウォーズ」と全然違うお話になってたかと思います。
自分は圧倒的旧三部作派で、少年漫画的世界のスターウォーズが好きだった身としてはこっちの方向性がみたかったかも…
ルーカスフィルム時代に公式から許諾を得て作られてたスピンオフは評価の高いものが多かったというけれど、ディズニーに買収されてからはそっちの方が正史から外されて非公式に…。
続三部作があんなに荒れるなら思い切ってキャスト変えてこっちの小説を映像化するか、ここの作家さんたち連れてきて脚本頼めなかったのかねーとか思ってしまいます。
ディズニーが懲りずにまた新作つくるのか不明ですが、「シャザム!」の俳優さんが「ダッシュ・レンダー演りたい」とか言っていたみたい…。
オリジナルの世界観と整合性がとれるように相当気を遣って作ったのだと、すごく誠実さを感じる作品。「帝国の影」、いつかまたスポットが当たればいいのになあなんて思っています。