82年公開、ラリー・コーエン監督による怪獣パニックムービー。
ハリーハウゼン作品を彷彿させる特撮怪獣が暴れる姿にワクワク、大都会とモンスターの組み合わせは「キングコング」みたいでかっちょいい。
その上オカルトホラーを混ぜ込んだようなごった煮のストーリーもB級映画らしくてイイ。
舞台はニューヨーク。
冒頭、高層ビルの窓を清掃しているお兄さんが中のお姉さんの様子を伺ってるとわずか数秒後、ド派手に首チョンパ!!
不可解な変死事件だと警察が捜査するもなぜか犯人の目撃情報が1つも出てこない…。
なんと犯行は空を自由に舞う謎の怪獣によるもので、「太陽を背にして動くため」誰にも目撃されないという。
モンスターパニック映画で「あえて怪物の姿なかなかみせない」は常套手段の1つかと思いますがいくら何でも無理がある設定(笑)。
しかもその怪獣がクライスラービルの屋上に巣を作っているというからビックリ。
怪獣のサイズ的にどう考えてもここに出入りすんの無理そうなんだけど…
でも空に潜伏するジョーズの鳥版!!これだけで何だか燃えてきます。
そして、事件に翻弄される人間サイドも個性的な面々が集結。
まずはデヴィッド・キャラダイン演じるシェパード刑事。
怪獣がらみの殺人事件とは別にもう1件、宗教が絡んでそうな「全身皮剥ぎ殺人」の真相を追います。
そしてひょんなことから怪獣の巣の居場所を知ってしまう男、クインを演じるのはマイケル・モリアーティ。
売れないピアニストをこじらせて窃盗を繰り返すダメ男で、怪獣の情報をダシに警察から恩赦と金を巻き上げようとします。
怪獣に食われろと思ってみてたら意外にガッツのある奴でだんだん清々しく思えてきます。
怪獣と摩天楼と猟奇殺人とゲス男…
怖いものなしのごった煮で攻めてきますが、事件は意外な繋がりをみせます。
なんと怪獣の正体は狂信者がいけにえ殺人で召喚したアステカ文明の神獣だった…!!
タイトルにあるQって、てっきり円谷プロの「ウルトラQ」からとった邦題なのかと思いきや、ケツァルコアトルという神様の頭文字からとったものだったというオチ。
神話では善い神様だったみたいだけど、映画では悲しいかな駆逐対象に…。
警官隊とQの大バトルでは迫力ある映像が展開。
今の時代のCGではもっとリアルな映像ができるでしょうけど、ストップモーションの独特の画、なんというか〝虚構!〟って感じがしていいです。
ビル群に映るQのシルエット、傷ついた怪獣がビルにしがみつく姿にはロマンがたっぷり。80年代のニューヨークを空から捉えた映像も意外なほど綺麗です。
90分の映画と思えないほどお腹いっぱいになるカオスな内容だけど、そんなお茶目な雰囲気もみていてすごく楽しい1本。