どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ロミーとミッシェルの場合」…アラサーの悩める同窓会を吹き飛ばせ!!

ロサンゼルスでお気楽人生を送るロミーとミッシェル。
ある日同窓会の知らせを受けた2人は、意地悪だった同級生を見返してやろうと架空のサクセスライフをでっち上げ会場に乗り込むが…

ロミー & ミッシェル [DVD]

ロミー & ミッシェル [DVD]

  • 発売日: 2005/12/07
  • メディア: DVD
 

おバカなアメリカンコメディに違いないんですが、キラキラした青春とは無縁だった人には刺さるものがある!?意外な良作です。

 

毎晩ディスコ通いするも一向にモテない、痩せたい連呼しつつすぐお菓子食べちゃう…とフリーダムな生活を送るロミーとミッシェル。

「プリティウーマン」を36回観ても感動、ドライブでは「フットルース」熱唱と80年代で完全に時間止まっちゃってます。

高校時代はどこのグループにも属さないはぐれ者で、見た目をからかわれたり、プロムで意地悪されたりと踏んだり蹴ったりな思い出もたくさん。

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どう見ても高校生にみえないのに堂々と回想シーン演っちゃうアメリカンコメディのノリ、好き。

2週間後に同窓会があることを知った2人は「無職だけど今からイカした仕事に就くぞ!」「イケてる彼氏をつくるぞ!」と奮闘するもことごとく失敗。

「もうこの際”ポストイット”を発明したってことにしちゃおうよ」と謎すぎる設定をつくり、キャリアウーマンを装って会場に向かいます。

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思った以上に派手でびっくりな同窓会会場。居酒屋に皆で集まるとかじゃないのか(笑)。

その上「1番華麗に変身した人を表彰する」というマウンティング不可避なトンデモイベントまで…。

嘘で塗り固めたロミーとミッシェルがメダルをもらうも、「どっちがポストイットの発案者か」で揉めた2人は仲違い。その後70年経ってもお互いを憎み続けましたとさ…

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…ってここで終わったら最早ホラーですが、なんと途中からミッシェルの夢の中のお話だったことが発覚、夢オチエンドからの仕切り直しに。(ゆるいコメディだと思ったら意外な演出でビビる)

現実の同窓会では、当然皆に発明者だとは信じてもらえず、笑い者になってしまいます。

しかし、「これが私たちなのよ!」と開き直った2人は、気を取り直していつものディスコルックで会場に突撃!!

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社長になって大成功したかつての学校一の変人サンディとイイ感じになり、3人でダンスを踊って拍手喝采

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”Time after Time”に合わせたバレエダンスが謎の上手さで爆笑。

最後には同僚から借りた車を置き去りになぜか社長のヘリに乗って派手に去っていきます…。

 

真面目にみるとツッコミの嵐でしかない本作。

主人公が平然と嘘をついちゃうし、「スカッとジャパン」に出てきそうな嫌な女とはいえ、地元に残ったメンバーを負け組と言わんばかりなとこも今見るとちょっと気になる。

何より「SATC」然りこういう女の友情ドラマみると「まずこんな親友がいないんだよねー」と現実には呟きたくなる(笑)。

 

でもこの作品、曇った気持ちを吹き飛ばすような、駄作と切って捨てれない不思議な魅力を感じました。

まずミッシェルのキャラクターがすごくイイ。

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主役はどっちかといえばロミーで、ロミーの方が打たれ弱く過去に固執してるのですが、ミッシェルは案外どっしりした穏やかな人で、みてると癒されます。

「人が何と言おうとあの頃は青春を思いっ切り楽しんだわ。」
「他人は忘れていつもみたいに楽しみましょうよ。」

自分が人生楽しんでるかが1番大事…!ベタだけどあったかーい。

アラサー、アラフォーになると「あのときもっと遊んでおけばよかった」とか「もっと勉強しとけばよかった」とか、”今の自分が選ばなかった道”をついつい考えちゃたりすることがあるけど、その時の自分はそれはそれで一生懸命だったのかも…

ミッシェルの優しさにじーん。

 

もう1人、ゴスっぽい雰囲気のはぐれ者、ヘザーも味のあるキャラクターです。

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「高校時代のあなた達は最高に輝いてみえた。」

自分たちではイケてないって思い込んでたロミーとミッシェルだけど、ヘザーからみれば、どんなイケてる女子グループよりこの2人の方がずっと素敵に見えてたんですね。

ついつい皆がいいねしてるような人が眩しくみえるのかもしれないけど、人からみた自分なんて気にしてもしょうがない、変に飾らず自分らしくいるのが1番…!

ここもベッタベタだけど、無駄に人と比較して疲れるような現代人にはビタミン剤のような癒し…!

 

最後にもう1人、出番が数分しかない謎のウエスタンルックの同級生も余韻を残して去っていきます。

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この人はもう突き抜けた変わり者で、人の目とか一切気にしない孤高の人なのかと思いきや…

「高校時代は口もきかず暗い青春だった。」「学校に行くと窒息しそうだった。」

繊細であえて変わり者の役を演じることで自分を守ってたのかも、意外な心の内が明らかに…。

そんな彼が同窓会に来たっていう勇気にグッときます。


ラストには特に何の努力もしてないようにみえる主人公2人がブティックショップを経営…ってここもご都合主義以外の何物でもないんだけど、どうやら同窓会で再会した友人に出資&協力してもらった様子。

人生いいご縁があるといいね!とどこまでも明るいエンディングです。

音楽は80年代ポップスが爆奏。アホすぎるコメディにとことん爆笑しつつ、不思議な優しさに包まれる1本でした。