どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ファンボーイズ」…残念映画だけどラストはEP1公開時の熱気伝わる

世界中の「スターウォーズ」ファンがエピソード1公開を待ちわびていた1998年。
末期がんで余命わずかな友人のため集まったオタク仲間たちが「死ぬ前に何としてもエピソード1を観せよう」とスカイウォーカーランチ目指してアメリカ横断の旅に出掛ける…

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2008年公開のコメディ映画で、日本では未公開ビデオスルーのはずだったところをファンの署名運動で劇場公開が決定したことが話題になっていました。

プロットだけみるとめちゃくちゃ面白そうで豪華ゲスト出演もあるのですが、映画の出来栄え自体はかなりイマイチ。

主人公たちのキャラクターがふざけすぎていて下ネタが多い構成になっています。自分はこういうおバカ映画のノリ嫌いじゃないけどSWとの相性は悪かったんじゃないかなー。

部屋はグッズに囲まれ、愛車の名前はスレーヴ1、「ルークはレイアを異性として認識してたか??」の議論が白熱…でもどっか夢中ポイントがズレてるような気もしてもっと単純にライトセーバーや戦闘機のカッコ良さを語るとかの方が良かったんじゃない??とライトなファンとしては思ってしまいます。

反対に笑わせてくれるのは「スタートレック」ファンとの抗争。

知識のない自分としてはどこまでマジなのか分からなかったけど、嫌いという割には積極的に絡み合って、しかもお互いをめちゃくちゃ知り合ってるってのが可笑しかったです。

そしてスカイウォーカーランチへの潜入方法を授けてくれるのがなぜかウィリアム・シャトナー(笑)。

他にもビリー・ディー・ウィリアムズレイ・パークスターウォーズからのゲストはお楽しみですが、キャリー・フィッシャーとの掛け合いが1番よく出来ていてここはニッコリです。

7年後に出る続3部作のほうが痩せて若返ってたなーなどとついつい余計なことを考えてしまいますが…

主人公の青年の「大人になって好きなものへの純粋な情熱を失ってしまう」という姿は非常に共感しやすく良いドラマだと思うのに上手く掘り下げられていないのが非常に残念です。

一応ラストは好きなものからパワー貰いつつ現実と向き合っていくという結論になっていたように思うけどふざけているだけでドラマ要素が皆無なので感動できず…

主人公は高校を出たての若者ではなく、もうちょっと歳とったアラサー、アラフォーのリーマン、所帯持ちにした方が絶対良かったと思う。

全体的には辛口評価になってしまいますが、それでもラストほんの数分、スターウォーズ公開初日の熱気が伝わってくるところだけは評価したいです。

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テントを張っての行列、頭にトルーパーを被ったりライトセーバー持ったりコスプレしてる人たち、そして流れる20世紀フォックスのファンファーレ…

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↑主人公は「公開まであと○か月○日○時間○分○秒」のカウンターを持っていたけど本当にこういう熱意があったと思う。

予告編観ただけでもう座ってられないような大興奮、アナキン坊やの後ろにベイダーのシルエット浮かんでるビジュアルみただけでカッケーーーーってワクワクが止まらずものすごい期待感がありました。

この映画の最後のオチの一言が「駄作だったら?」なのも評価したいです。(よく言ってくれた!!)

でもエピソード3まで観れば泣いて劇場を出れるよ…!!って友人もう逝ってしまってるか…

自分は大学に入ってから新三部作からファンになったというスターウォーズ好きの友達ができてEP3は初日に一緒に観に行った思い出があるのですが、あのお祭り騒ぎ感、「最速でみてるぜヒャッホー!」のテンション、劇場にいる人と共有できる熱気感みたいなものはこの映画のラストシーンで表現されていてここだけは観るとあったかい気持ちになります。

自分が懐古厨になってしまったからかもしれないけど近年はこういう熱のある大作がすっかりなくなってしまったのかなあと思ってしまう…

映画としてはなぜこんな素晴らしいプロットでこんな出来栄えになってしまったのか、料理次第で傑作になり得た1本なのにと非常に惜しく思われます。

国内DVDは当時TSUTAYAが限定発売元になっていてこれから再販される予定はなし??制作会社は元々ルーカスフィルムとも全く関係ない会社のようだけど配信もされにくい作品なのかも。

残念な出来ではあるものの「スターウォーズ」の公開史を振り返るうえでは観ておいてもいい1本なんじゃないかと思いました。