79年公開マルコム・マクダウェル主演のSFアドベンチャー。
H・G・ウェルズが実はタイムマシンの開発に成功していて未来に逃亡した切り裂きジャックを追跡…とプロットだけで面白そうな1作。
てっきり切り裂きジャック役だと思ったマルコム・マクダウェルはなんとウェルズ役の方。繊細でピュアな紳士が意外なハマり役です。
「100年後には社会主義のユートピアができてる」「人類皆兄弟、戦争も貧困もない」と朗らかに未来を語るウェルズ。
小説「タイムマシン」の内容からしてこんな能天気な人じゃなかったんじゃ…と思わせるも、このあとタイムトラベルを経たことでリアルな未来を知り数々の小説を書くことができたとさ…というオチになっておりよく出来ています。
そしてウェルズと実は同年代の人物だったという切り裂きジャックが登場。
ウェルズのチェス仲間という設定で職業は犯人説を採用してか外科医となっています。
「人類の歴史は殺し合いだ。これからも変わるはずがない。」…こっちの見通しの方が正解だったと皮肉がきいてます。
「フロム・ヘル」という映画でも切り裂きジャックが人類の悪代表みたいな扱いになってた気がしますがそんな有名人扱いなのが日本人の自分にはあまりピンとこないところ。
しかし不器用マジメ主人公との対比が面白く、トリップ先の現代で切り裂きジャックの方がウェルズよりも遥かに高い適応能力をみせ馴染んでしまうあたりも上手いストーリーです。
1893年に住むウェルズたちがやって来たのは1979年のサンフランシスコ。
↑ファーストフード初体験…!
街行く人の服装やテレビにビックリするというベタな展開が楽しく、さらに現代の女性とフォーリンラブ。
女性の方はウーマンリブを主張するキャリアウーマンで平等思想を掲げる紳士なウェルズに心惹かれていく…というまたまたベタな展開ですが、本作はほぼこの2人のラブコメといっていい軽い口当たり。
↑ヒロイン・エイミー役は「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」のメアリー・スティーンバージェン。
休憩時間に自分からランチ誘って、手料理奮発して猛アタック…!という恋愛に爆走する女性でこれがなぜか可愛らしく女優さんの独特の雰囲気もあって魅力的なヒロインでした。
なんと撮影中から主演の2人はお付き合いをはじめていたらしく(のちに結婚&離婚)、2人で巡るサンフランシスコのロケーションが綺麗で観ていて楽しかったです。
てっきり彼女が殺されウェルズがもう一度タイムトラベルし救出するようなクライマックスを予想してたら終盤はあっさりめ。
切り裂きジャックが娼婦を殺さずにいられない性は結局何だったのか語られず、女性の写真を入れたオルゴール時計のアイテムだけが印象に残りました。
ジャック役のデヴィッド・ワーナーが充分不気味さを醸していたのであれこれ説明されるよりよかったのかも。
タイムトラベルの描写はCGのない時代によく頑張っててアニメみたいなのが逆によし、レトロなマシンのデザインもカッコよかったです。
時を超えるラブロマンスににっこり、力を抜いて楽しめる作品でした。