自分が子供の頃にみたお子様サイコパス映画といえば「危険な遊び」とこの「マイキー」の2本。
首がもげた人形を抱えた少年の写真に「チャッキーよりも怖い9歳の殺し屋、マイキー」などと煽りまくったキャッチコピー…ビデオパッケージはそんなんだった憶えがあります。
子供による殺人という重く暗い題材、イギリスでは公開禁止になったらしい曰く付きの作品。
けれど実際みるとそんなにシリアストーンしてなくてところどころ荒唐無稽で良い意味でB級映画。
子役の少年が名演技でこのジャンルの良作だったのではないかと思います。
冒頭からフルスロットル、パパ・ママ・妹の3人を一気にあの世送りにしてしまう恐ろしい子・マイキー。
入浴中のママにはドライヤーをお見舞いして感電死、パパは床に散らばってるボールで転ばせてバットで強打とあまりに暴力的なホームアローンが展開されていきます。
どうやらマイキーはこの家の本当の息子ではなかったようで、妹に「本当のお兄ちゃんじゃない」と言われて逆上していました。
生粋の問題児ゆえこんな風に言われるようになってしまったのか、この家族と相性が悪くてグレが加速してしまったのか…
警察がやって来ると「生き延びた少年」を見事に演じ、偽の目撃情報をスラスラ語るマイキー。
(愛らしい天使の微笑み)
精神科医の鑑定もパスして新たな家庭に養子に貰われていきます。
次の夫婦ニールとレイチェルはとてもいい人そうで、子供を望むも授からず待望の養子としてマイキーを迎え入れました。
礼儀正しく絵に描いたような「良い子」のマイキーはパーフェクトボーイと呼ばれ2人から愛されますが、どこかおかしいと勘づく人たちが現れました。
最初に違和感を抱いたのは小学校の女性教師。
授業でこっそりズルをしたり、奇妙で残酷な絵を描いたり…精神的ストレスを抱えてるのかも…とある日校長と面談することに。
「好きな映画は何だね?」
「エルム街の悪夢!!」
暴力映画が大好きなマイキー、実は過去に自分が行った殺人をビデオ撮影しており後からそれをこっそり見るのが楽しみ。
こういう映画を好んでみて育った自分がいうのもなんですがホラー+ビデオ=悪…このあたりも90年代って感じがしますね。
次にマイキーの異常さに気付いたのはお隣のお姉さん。
美人のお姉さんに片想いしたマイキーは夜な夜な部屋を覗き見、お姉さんのボーイフレンドをまたもや風呂に家電インで感電死させてしまいます。
「これで僕だけを愛せるね」(なんつーヤンデレ)
マセてるというか、でも案外子供って早熟で侮れなかったりして…
学校の先生やお隣さんはマイキーが変だと親に忠告を入れますが、ご両親はうちのマイキーは普通ですから!!と全く取り合いません。
なぜか両親の前では良い子なマイキー。
親に捨てられるのが怖いというトラウマがあって過剰に良い子を演じようとしてその反動で周りにストレスを撒き散らしてるのかも…と思いきや後半は急転直下、突然大虐殺を始めます。
邪魔者の先生たちを弓矢と鉛玉で瞬殺、ママンにもチャッキーさながらの動きで切り掛かります。
体格差あるのになんでそんなに弱いのよ、という大人たち、吹っ飛ばされてもターミネーターの如く起き上がってくるマイキー…このクライマックスがB級映画しててあんまり怖くないです。
まさか子供がこんなことするわけないと動揺して油断してしまうのかもしれません。
たった1人何にも知らずに帰宅してきたオトンを待っていたのは壮絶な地獄絵図…!!
仕上げに家をドカンと気前よく吹き飛ばすマイキー。
警察は焼け跡から10歳前後の子供の遺骨を発見したといいますが、それ理科室にあったやつや…
警察と児童相談所どうなってんのよ!?大人があまりにも無能すぎて現実味がないのですが、ラスト記憶喪失の少年〝ジョッシュ〟として生まれ変わったマイキーはまた新たな家族にもらわれていきます…「オーメン」リスペクトなエンド。
結局マイキーはどこから狂っていたのか…養子であることを異様に気にしており「本当のパパとママは悪い人」と語っていたことから虐待された過去があるようでした。
家族愛に飢えているけれどあまりに自己中心的で誰からも愛されない。転々と次の家族にもらわれていくも精神的に成長することなくある意味ずっと子供のままでどこにも居場所を見つけられないんだろうなあ…どこか哀愁も漂うマイキー。
無邪気に振るわれる暴力の不気味さ、家族の不信感などこのジャンルの醍醐味がしっかり詰まっていたように思います。
終始テンションが高いホラー映画になっており、記憶に残っている作品でした。