どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「未確認生命体 MAX」/Man's Best Friend…犬がかわいいライトなアニマルホラー

わんわん!!

チャイルド・プレイ2」のジョン・ラフィアが手がけた93年のアニマルパニックホラー。

コメント欄で教えていただいて面白そうなのを観てみました。

VHSや輸入版のジャケットをみるとシリアスホラーっぽい印象ですが、カラッとした80年代っぽい雰囲気で良い意味でB級映画

可愛いワンちゃんがたくさん登場して、犬好きにはとても楽しいライトなホラーになっていました。

 

◇◇◇

犬は人類の最良の友…

人間に寄り添う犬の姿を描いた中世絵画がハイテンポで映し出されるオープニングクレジットから掴みは抜群。

野心家のTVレポーター・ローリーは、動物虐待のスクープを物にしようと、深夜のバイオ研究所に忍び込みます。

実験のため体を傷つけられた多くの動物たち…カメラが研究所内部を捉えていきますが、そこでローリーは檻に入った大型犬・マックスと遭遇します。

ローリーが犬を解放するとすぐに懐くマックス。

しかし研究所の主であるジャレット博士が戻ってきて、ローリーはマックスを連れて大慌てで逃げ出します。

 

強盗犯を撃退し自分を守ってくれたマックスにローリーはメロメロ。

同棲中の彼氏の反対も押し切って自宅で飼うことに…

(風呂上がりにタオル持って来てくれるの可愛い)

(お外にはいたくないよ〜お腹みせポーズでおねだり)

マックスは自分を助けてくれたローリーに特別な愛情を示しているようでした。

 

一方犬を盗まれたジャレット博士は警察に通報。

実はマックスは様々な動物のDNAを組み合わせた遺伝子組み換え犬で、お金のかかった実験体なのだと語ります。

知能は高いものの精神は不安定で、薬が切れると人を襲うだろうと警告する博士。

 

徐々に明らかになっていく〝強化ワンワン〟マックスの全貌。

いきなり爪が生えてきてスパイダーマンのように木をよじ登る…!!酸性のオシッコを放ち鉄をも溶かす…!!

猫を丸呑みするシーンは残酷というよりシュール(笑)。

シリアスホラーしてなくてどこか馬鹿馬鹿しいマックスの超犬っぷり。

人並みに(犬並みに?)異性には関心があるらしく、ローリーの隣家に住むコリー犬に一目惚れ。

ベッドまで追い詰めて襲ってしまうお盛んな姿も…

懐メロテイストなラブソングがいきなり流れてくる犬のラブシーンにも爆笑してしまいました。

 

無邪気な姿を見せつつも、自分を快く思わない者の心の動きは敏感に察知。(ワンちゃんは賢い)

彼氏の車に細工したり、催涙スプレーを浴びせてきた郵便配達人を返り討ちにしたり…

同棲中のガールフレンドが何の相談もなく突然家に大型犬連れてくるとか可哀想…と思って見てたけど、犬の餌に平気で毒を入れるなんて彼氏もなかなか鬼畜。

 

ジャレット博士がマックスを探していることを知ったローリーは、自分の下に置いていては危険だと、番犬を探していた男にマックスを引き取ってもらうことにします。

しかし犬好きにみえた男も実は悪い奴で、バーナーで顔を焼かれてしまうマックス。

命からがらローリーの下に戻ってくると、そこには彼氏が新しく買ってきた小型犬が…(切ない)

激怒しローリーの彼氏に重傷を負わせるマックスでしたが、そこにジャレット博士がやって来て2人と1匹は元いた研究所へ…

薬が切れてもローリーと心通じ合わせるマックスの姿はまさにマンズベストフレンド。

しかし博士と刺し違いになって深手を負ったマックスは静かに息を引き取ってしまいます…

 

しっかり人は殺しているマックスですが、あまりモンスターしていなくて恐怖度はかなり低め。

カメレオンのDNAが配合されていたためかプレデターのように姿を消して警察を襲うのには唖然となります(笑)。

本物の犬を撮影しつつ所々で着ぐるみを使用。

編集の上手さに感心させられつつ、怒り、喜び、悲しみ、不信感…全てが伝わってくる主演のワンちゃんの演技がとにかく素晴らしかったです。

 

博士役はランス・ヘンリクセンですが、マッドサイエンティスト味は控えめで、キャラは薄味。

もう少し研究所の闇に迫るような内容があってもよかったのかも…

もしかしたら凶器と化していたかもしれない実験犬と女性の友情…犬版ショートサーキットのような雰囲気を醸しつつ、人間の身勝手さに翻弄される動物の悲哀もしっかりと描いていて面白かったです。

ラストのオチにもニッコリ。

ハートフルさとシニカルさが絶妙な塩梅でブレンドされたゴキゲン犬ホラーでした。