お盆休み。色々観たい作品があったのですが、頭空っぽで楽しめる映画がみたい…ということで評判が良さそうな「ツイスターズ」を観に行ってきました。
96年の「ツイスター」は子供の頃ビデオで観た記憶があるのですが、とにかく「スピード」のヤン・デ・ボンの最新作というので期待値が上がりまくり。
ハードルをあげてみたせいもあるのか、イマイチだった印象があります。
今回前作を全く覚えていない状態で鑑賞に臨みましたが、それでも問題なし!!
しかしバカっぽいエンタメ映画を期待していたら、配慮があって優しくて整ってて…思っていたような作品ではなかった気がするけど、綺麗にまとまっていて面白かったです。
後半もうちょっと仲間と共闘する展開が欲しかったなあ…キャラクターがいい人すぎてもっと癖があってもよかったかなあ…色々思うところはありましたが、よく出来ていて夏にぴったりの娯楽映画でありました。
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気象学の天才であるケイトは学生仲間と共に竜巻を追跡して研究に勤しむ日々。
しかしある日規格外のトルネードに巻き込まれ、仲間の多くを失ってしまいます。
そんなショートパンツで大丈夫なん…と思っていたら案の定…この冒頭が1番スリリングで迫力あるオープニングでした。
5年後…ニューヨークで気象予報の仕事に就き才能を発揮していたケイトですが、デスクワーク中心でかつての夢はあきらめた様子。
しかし昔の仲間から「竜巻観測の調査に付き合ってほしい」と依頼され、夏休みの間オクラホマを訪れることに。
現地には竜巻チェイサーと呼ばれる人気YouTuber・タイラーがいて、観測チームと度々衝突。
しかしお互い自分たちにないスキルを持っていることに気付いたケイトとタイラーは協力しあうことに…
「竜巻の発生を正確に予測することができるヒロイン、おもしれー女」なのですが、ラブ要素は程よく控えめ。
タイラーが不快感の少ないキャラになっていて、ケイトの能力をちゃんと見抜いて対等に接するなど終始紳士的。
ヒロインに惹かれるのにちゃんと説得力があって良かったです。
やってることは迷惑系YouTuberというか、ジャッカスみたいなノリのタイラーチーム。
爆音ミュージックかけながら花火噴射して竜巻に突っ込んでいくの、最高にバカっぽくて面白かったのですが、後半一転して常識人にしか見えないのがちょっと退屈でした。
Tシャツ売ってんの商魂逞しくてこんな人いそう(笑)と思っていたら、被害にあった地元の人を支援する資金にしていたという…めっちゃいい人でびっくり。
タイラーも学のない叩き上げキャラかと思いきや知識人でケイトの研究内容を理解できるくらい賢い。
〝欠点とか嫌なところがあるけど魅力的!!〟みたいなキャラの方が自分的には好みだったかも…ちょっと出来杉くんな感じもしてしまいました。
反対にライバル男子のハビは、もう少しいい面も描いてくれていてもよかったように思いました。
現実主義で冷たいように映るけど、人助けは優先する…!!っていうのが取ってつけたように見えてしまった。
助けに来るにしても、それこそ「トップガン」のグレン・パウエルみたいに最後の最後に来るとかカタルシスが欲しかった気がします。
「田舎のワイルドヤンキーとスノッブな都会インテリが手を組む!!」みたいな集団戦を期待してしまったので、終盤はちょっと物足りなかったですが、主人公が自分1人で決断して過去を乗り越えるというのも現実的で今風な感じがしました。
ケイトもタイラーも竜巻を追うことが好きなことは伝わってきて、「好きが恐怖を上回り過去のトラウマを乗り換える」というストーリーはベタだけど爽快。
実家に帰るシーンが中弛みに思えましたが、若い頃の自分の愚かさや浅はかさを思い出すとともに、その愚直さが決して馬鹿にできないものだと気付くような、過去との向き合いシーンは良かったと思いました。
冒頭こそ人は死ぬけど、個性的でいかにも華々しく散っていきそうなYouTuberたちは誰も死なない。
資本主義や白人男性の嫌なところを煮詰めたようなヘンリー・カヴィル似のお兄ちゃんも死なない(笑)。
でも被害にあった人への寄り添いみたいなのはちょこちょこ出してきて、皆仲良しなエンドロールといい、全体的にとても優しい印象の作品でありました。
竜巻の描写は冒頭がピークでディザスターものとしては怖さやワクワク感に欠けていたような気がするし、メカやガジェットの楽しさも控えめ。
地中に車体を固定するタイラーの車にはテンションが上がって、ラストの空港のシーンにはニッコリ。
あそこで抱き合ってキスしてたら興ざめだったけど、甘さ控えめの方がかえってロマンチックで、いいなーとしみじみなるエンディングでありました。
もっと人間臭さとか、泥臭さとか、登場人物に欠点があってもいいのよ…と思ったけど、これは一昔前の映画ばかりみている自分の感性が古いせいかも(笑)。
どこかで一抹の物足りなさも感じながら今の映画は整ってるなーと感心。
夏の大作をみたという満足感はしっかり残りました。