どうながの映画読書ブログ

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「エイリアン:ロムルス」…シリーズリスペクトの良作、後半から一気に面白かった

ズボラ人間でシリーズ物をきちんと追いかけていないのですが…評判がよさそうで面白いとのこと、「エイリアン:ロムルス」を観に行ってきました。

1〜4は鑑賞済み、「プロメテウス」と「コヴェナント」は未見のまま。

時系列的には1と2の間を描いた作品らしく、復習のため1と2を大急ぎで鑑賞。

予習せずに本作からみても楽しめる内容になっていましたが、過去作とのリンクは色々あってリスペクト満載。

主人公2人以外のキャラクターに魅力がないのが残念でしたが、後半に行くほど大盛り上がりで、自分的には大変満足な良作でありました。

 

(以下ネタバレ)

1でリプリーが宇宙空間に放ったエイリアンがまだ生きていてユタニ社の宇宙船がそれを回収。

実験などを続けていましたが、制御しきれなくなって廃船に…

そこへ冷凍休眠装置を掻っ攫おうと何も知らない若者たちがやって来て、どえらい目に遭ってしまいます。

浅薄な若者たちが得体の知れない場所に侵入して殺されていく…ある意味ホラー映画の王道パターンな明快なストーリー。


冒頭では「ブレードランナー」のような雰囲気の、陽の光が射さない暗い植民惑星が登場。

奴隷のように働かされて、肺を痛める人が続出。帝愛の地下帝国のような労働環境は、どん詰まり感が出ていてよかったです。

一発逆転を狙う気持ちは切に伝わってくるものの、1のようにとことんドライでもなく、2のようにヒロイックでもなく…どっちつかずな人物描写はイマイチ。

 

坊主頭の女性からチェストバスターが出てくるのは3リスペクト!?エイリアンを出産する妊婦の女性は4リスペクト!?

キャラ配置はよかったものの、逃げてばかりで見せ場がないのが残念。

アンドロイドに苦い思い出のあるビヨンは、嫌うのは分かるにしても行動が幼稚すぎる。

リーダーのタイラーは妹の妊娠を知って発狂するかと思いきやそんな見せ場もなく、人間ドラマが希薄だったのは残念でした。

 

唯一光っていたのは、主人公レインと行動を共にするアンドロイドのアンディ。

アンドロイドなのにキビキビしてなくて、弱くて頼りなさそうなのが新鮮(笑)。

子供の頃に父親がゴミ捨て場で拾ってきた旧型アンドロイドのアンディとレインは、姉弟の絆で結ばれていました。

しかしユタニ社のコンピュータに接続してアップグレードされたアンディは豹変。

合理的判断を下す有能アンドロイドとなるも、仲間を見捨てようとする冷酷な存在に…

あんまりアンドロイド顔してない俳優さんの困り顔が絶妙で、いい奴なのか、めっちゃ悪い奴になったのかどっちだー!?となりました(笑)。

でも主人公たちもアンディを使い捨てにしようとしてたので、お互い様のような気も…

とにかく生きていくのに必死、効率重視のこんな生き辛い資本主義の世の中じゃ…現代の若者の苦悩!?を描いたようなキャラクターの対立は面白かったです。

 

エイリアンとのバトルも見せ場がたくさんあって、冷凍保存された大量のフェイスハガーが登場するシーンから絶望感が半端ない。

猛スピードで追いかけてくる画は迫力満点、体温と音に感知するのをすり抜けるという展開も如何にもホラーらしくてよかったです。

ビヨンが繭を電気棒でツンツンするシーンにはイケないものを見ているようでハラハラ(笑)。

そして何より圧巻だったのは無重力下でエイリアンを銃撃するシーン。

酸の返り血を浴びてしまうのを物凄い方法で解決するなーと感心。

宇宙空間の設定を生かした迫力ある映像で、このシーンだけでも映画館に来てよかったと大満足でした。

 

ひと段落したと思ったら最後にもう一波乱、1リスペクトな展開にもニッコリ。ヒロインが宇宙服を着込むシーンには思わず胸が熱くなりました。

オマージュを捧げた台詞の数々、食事シーンに登場する小道具など細かいところでも世界観を再現。

新しい赤ちゃんエイリアンのデザインは賛否両論ありそうですが、自分は「クレイモア」の覚醒体みたいでキモカッコいいなーと思ってありでした。

4のニューボーンは可愛らしく思えるところがあったけど、人ベースの方が嫌悪感が増すもんですね…

あの図体で母乳欲しがるところ、変態度高くて個人的にはとてもよかったです。

アッシュと同じ型のアンドロイドが再登場(イアン・ホルム!)するのにもびっくり。

 

これだけの実験結果を残していたユタニ社、実験が失敗に終わっていたとしてもまだ使えそうなフェイスハガーをあんなに放置しておくかなあ…誰かに取られないように爆破しておかないかなあ…

疑問符が浮かぶところもありましたが、面白かったのでヨシ!!

無慈悲な大企業には毎度勘弁してくれという気持ちになりつつ、姉弟が家族の絆を取り戻すかのようなラストにはベタながらホッとさせられました。

 

映画館の売店にあった関連書籍コーナー。

ニュートたちが生きてたバージョンの「エイリアン3」ノベライズ版なんて出てたのか…と気になりました。

 

3と4のような独創性には欠けているけど、シリーズへのリスペクトを感じさせて、よく出来ているなーと感心。

後半のアクションだけでも劇場でみる価値があったなーと大満足でした。