「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」の脚本家クラウディオ・フラガッソがメガホンをとった89年の作品。
楽しかった「ヘル・オブ〜」の感動が忘れられず、定価超えしたDVDを買うなんてどうかしてるぜ!!と思いながら、「ゾンビ4」といういい加減なタイトルも気になって仕方なく、ついに鑑賞。
「サンゲリア2」に引き続きそのままフィリピンロケを決行したらしく、なんとなく「サンゲリア2」に似た雰囲気。
なんでもフラガッソ、昼は「ストライク・コマンドー2」、夜はこの「ゾンビ4」を撮るという超過密スケジュールだったそうで…
相当低予算なことが伺えますが、マカロニゾンビ終焉の時代に放たれ、マカロニゾンビにトドメを刺したと言われる曰く付きの作品。
冒頭こそハイテンションで面白かったものの、以降は睡魔が襲う退屈さ…かと思ったらびっくり仰天なラストが待っていて乱高下がすごい(笑)。
これまたとんでもない1本でした。
◇◇◇
ボンジョビのパチモンみたいな曲が鳴り響く中、流れていくオープニングクレジット。
南海に浮かぶ火山島で科学者たちが集まり、秘密裏にガン特効薬の研究がなされていました。
地元住民に検体になってもらい実験を繰り返していましたが、島を治めるブードゥー司祭の娘の病が完治せず亡くなってしまいます。
怒った司祭は黒魔術の呪いを発動、地獄の扉を開き、島には蘇った死者が溢れ出してしまいます。
呪術に操られヘンテコダンスを踊る司祭の妻…!!そこに現れる銃火器で武装した科学者集団…!!
この人たちが主役かと思いきや、ゾンビ化した司祭の妻に惨殺されて全員死亡…開始5分くらいの勢いがとにかくすごい(笑)。
目ガンギマリの科学者のお兄さんと謎に乳ポロリする呪術師と…冒頭に登場するキャラが最高に魅力的であっさり退場してしまうのが残念。
長い爪、むき出しの歯、緑のゲロ汁など、女性ゾンビの風貌はなんとなく「デモンズ」に似ています。
一方洞窟の外では、生き残りの科学者夫婦とその娘が島から脱出しようと奮闘していました。
しかしゾンビに取り囲まれてしまい、母親は幼い娘・ジェニーに謎のお守りを託して彼女を逃します。
20年後…(←唐突)
大きく成長した娘のジェニーはなぜか過去の記憶を失ってしまっていました。
港町に行こうとしていたところ、休暇中の傭兵軍団と同じボートに乗り合わせたジェニーは、まるで何かに導かれるように不気味な島に辿り着きます。
時を同じくして、島にはかつて行方不明になった科学者たちの後を追う学者チームも到着していました。
彼らは洞窟で〝死者の書〟を発見。
「カンダ、エストラタ、アマントス…」じゃないけど、リーダーが書かれた文句を唱えるとゾンビたちが突然出現!!
人肉を求めるゾンビに次々と襲われてしまいます。
冒頭に出てきた女性ゾンビの特殊メイクこそ気合いが入っていたものの、以降に登場するゾンビの出来が総じてイマイチ。
黒タイツを被った忍者のような見た目で、動きもゾンビらしさがまるでなく雰囲気ゼロ。
フルチの「サンゲリア」に似た画が度々挿入されるものの、比較にならないほどチープです。
主人公が誰なのかよく分からないまま話が進み、傭兵の男たちが非常事態に巻き込まれていく様は「サンゲリア2」にそっくり。
中盤からは生き残ったメンバーが山小屋に籠るという展開で、変わり映えしない画がひたすら続きます。
ベッドに横たわっていた仲間がゾンビになって起き上がるところはまんまロメロの「ゾンビ」…と思ったら起き上がった瞬間に銃を発射して仲間を攻撃。
(ナイスショット…!!)
走る奴もいればゆっくり動く奴もいて、銃を撃つ奴までいるという、ゾンビに個体差がありまくりの本作。
ゾンビ化した仲間のうち数人は生前の記憶をそのまま引き継いでいるようで「お前もゾンビにならないか?」と勧誘してきます。
黒人の兵士が大健闘して大量のゾンビを巻き添えにしますが、手榴弾が炸裂した瞬間一軒家丸ごと吹き飛ぶのにはびっくり(笑)。
なんやかんやで最後まで残るのは、金髪ヒロインのジェニーと大胸筋が逞しいタフガイのチャック…スクールカースト上位の見た目した2人が主役だったらしいことに終盤になってようやく気付かされます。
死者の書を調べたジェニーは「汝の魂を生贄として捧げれば地獄の門は閉じられる」と書かれているのを発見。
母から託されていたお守りを火山口に放り投げます。
ゾンビたちが消滅するのかと思いきや、後ろからゾンビに襲われ内臓を抉られるチャック。
そしてなぜかジェニーの目玉が飛び出し髪の毛が抜け落ちて、恐ろしいゾンビの姿に…
偽ボンジョビの曲とともに唐突にエンドロールが流れてきて、一体何だったんだーと唖然(笑)。
でもヒロインが最後にゾンビの女王様みたいな姿に変身するところは、謎にアートでカッチョイイです。
〝生贄を捧げれば…〟と書いてあったのになぜかお守りを入れてしまったジェニー。
出し惜しみすると人生碌でもないことになりますよ、というとっても恐ろしいエンディング。
でも親から後生大事に託されて「地獄の門を閉じる鍵」だったらしいアイテムが全く効かなかったのは気の毒な気もします。
誰かの残したものなんて当てにならない…ほろ苦い人生の真理をついた監督からのメッセージ!?
つまらない映画なのにラストは妙な余韻が残りました。
謎タイトルばかりなゾンビ界隈(笑)。
VHSでリリースされていた時のタイトルは「人喰地獄/ゾンビ復活」らしく、こちらの方が合っている気がします。
「ヘル・オブ」はもちろん「サンゲリア2」にも遠く及ばない駄作。
アクションの見せ方や妙なテンションの高さなど、マッティ監督の功績は大きかったのかも??
でもこの嫌ーな感じのラストは「ラッツ」然りフラガッソの持ち味なのか、印象深い幕引きではありました。
年始早々すかしっ屁みたいな映画だったけど、こんなでも観るとなぜか楽しいイタリアンホラー。
今年もゆっくりペースで追いかけられると嬉しいです☆彡