シリーズものをきちんと追ってないズボラ人間。
1と2しか記憶に残ってないのですが、評判が良さそうで気になっていた「ソウ10」(SAW X)を観てみました。
(※以下1、2、10のネタバレあり)
なんと1作目はもう20年も前。
上京してきた年に銀座シネパトスという映画館に1人で観に行った思い出があるのですが、これがとんでもない映画館で…
地下街にあって地下鉄が走る音が聞こえてくるし気のせいか時々揺れる(笑)。
そんな雰囲気抜群の劇場でみたせいかドキドキが倍増、めちゃくちゃ面白くて大満足。
不気味な人形が登場したり、痛そうなワイヤーだらけの部屋が出て来たり…質感は全然違うけど、所々で感じるアルジェントリスペクト。
最後に犯人が起き上がってきたところでは呆然。
末期がんお爺ちゃん、体力ありすぎる…!!
殺人犯には違いないけど、最前列でゲームを見守るため自らも痛みを引き受ける姿に、大した奴だとなんだか感心。
〝他人を裁く正義系殺人鬼〟というところでは先日再鑑賞した「セブン」の犯人と重なるものを感じるのですが、散々人を苦しませておきながらいざ自分が死ぬときは頭に弾丸1発喰らってあっさり終わってしまったジョン・ドウよりも、自ら床に這いつくばりめちゃくちゃキツいSMプレイみたいなのしてたジグソウおじいちゃんの方が自分はなんか好きでした。
またあのテーマ曲がとにかくカッコよくて、全てが収束していく感じ、バッドエンドなのになぜかカタルシス…!!
2作目も劇場に観に行きましたが、続編はハズレなことも多いと低い期待値で鑑賞。
1程ではないけどちゃんと話が組み立てられていて「アマンダーーっ」と叫びながら見事に騙されました。
ドアを開けようとして目玉から弾丸喰らうところは「オペラ座血の喝采」オマージュ!?
3はDVDで借りてみた記憶があるのですが内容を全く覚えておらず…知らないうちに10までやってたのかとびっくり。
ちゃんとシリーズ通してみた方がいいんだろうなーと思いつつ、8作スキップ。たまにはこんな見方もいいかーと緩い気持ちで10を鑑賞。
ツッコミどころは多々ありつつ、単体でも充分楽しめて面白かったです…!!
◇◇◇
末期癌で余命数ヶ月の告知を受けたジョン・クレイマーは、画期的な治療法をやっている認可外医療施設の存在を知りメキシコへ…
明らかに怪しそうな治療で、よくそんなとこに行くわーとびっくり。
頭いいのにどっか抜けてるジグソウ。
でもネットが今ほど普及してない時代だと情報が限られていて、ふと耳にした奇跡の治療に飛びついてしまうの、無理のない話なのかも…追い詰められてるときほど人間正常な判断ができないもの。
前半で病のジョンの葛藤がしっかり描かれていて、医者のドライな態度に傷ついてしまうところなどなかなか切実。
寄り添いのない医者だけど、病や死がどうしようもないものなのも事実で、医療者側にすれば毎日目にしている光景で悪気なくああいう態度になってしまったのかも…
生への強い執着、病気に負けないという気持ちは物凄く大切だけれど、「自分だけは絶対に助かるはず」「どこかに知らない治療法が隠されている」…ある種の選民意識が不確かな民間療法に人を駆り立ててしまう部分もあるのかも…ジグソウの闘病ドラマ!?に色々と思い巡らされました。
それにしても弱っている人から全てを奪う今回の詐欺ビジネスは本当に悪辣…!!
「唯一の希望を取り上げた…」と語るジョンの怒りの言葉はごもっとも。
手術すらしていなかったのにはびっくり、なんと主犯の女性以外は医療者でもなく、獣医、娼婦、ヤク中だったともう本当にめちゃくちゃ(笑)。
悪党共が集められ、過酷なゲームが火蓋を切って落とされます。
メインビジュアルになっていて面白そうだった「目ん玉になんかやってるゲーム」はここには登場せず、窃盗未遂の若者を懲らしめる妄想だったという…
1と2もちゃんと覚えていなくて「ジグソウって何をしてらっしゃる方なのかしら…」となってしまいましたが、建築系の仕事をしていたらしく機械工学に通じているようで、本当に多才。
アマンダが助手にいるとはいえ、詐欺グループもびっくりの仕事っぷり。今回も趣味趣向を凝らした様々な拷問マシーンが登場します。
試練をクリアすれば助かるゲームだと思ってましたが、偽看護師が足を切断する課題が過酷すぎる…
悪い奴らだけど、偽看護師と獣医は痛い思いしてかなり頑張ったのに僅かな時間切れでアウトだったのは可哀想に思えてしまいました。
一方アマンダはヤク中の女性ガブリエラに同情しますが、「人には自由意志がある」(お前が選んだ道だろ)と一刀両断する師匠…寄り添いがなくてキビしい(笑)。
ゲーム中に悪党のリーダー女が「いいからやるのよ!!」と皆に檄を飛ばしてくるのがまたとんでもなく、キツいお姉さんがビシバシ叱咤してくるのに何だか興奮(笑)。
仲間の死体から腸を取り出してロープにするところもエゲつない。
クソ野郎だけど肝据わってんなー、さぞかし壮絶なゲームをみせてくれるんだろうなーとこのお姉さんに終始ワクワクしていたのですが、終盤いきなり共犯者である恋人が助太刀で登場。
一転してジグソウ&アマンダがピンチに…
ジグソウ自らゲーム装置にかけられ、水責めならぬ血責めを受けて溺死しそうになってしまいます。
さらに悪党女が無実の少年もゲームに巻き込み、少年を救おうと一身に痛みを引き受けるジョン。
ジグソウはいい奴…!!とはならんけど、こういうガッツある悪役、筋の通った敵役はやっぱりいいなあと思いました。
お爺ちゃんを庇って自らレバーを引っ張るカルロスがいい子で、本当に勇敢な戦士…!!
そうこうするうち、金を取り返そうとした悪党女と恋人がトラップにかかって形勢大逆転。
毒ガス部屋に閉じ込められて1人しか助からないというシチュエーションですが、足切断や脳みそ切り取りの方が壮絶で、この2人の処置が甘いような…
最後に1番キツいゲームを持ってきて欲しかったなー、後半出てきた共犯者の恋人キャラをもっと上手く活かせなかったのかなーと、1・2のような張られた伏線が回収されるトラップ感、カタルシスがないのが残念でした。
でもあのテーマ曲がかかるところではテンションだだ上がり。
「ゲームオーバー」と言って扉を閉めて欲しかったですが、セシリアは更生の余地なし、ゲームに値しない奴だったのかも…
扉が開いてジグソウたちが去っていくの、最終回感があってなんかカッチョよかったです。
エンドロール途中にも続きがあって、治療法をア○ウェイみたいに勧めてきた黒人男性もやっぱりグルだった…!!
隣にいた男性は4以降のキャラクター??
自らの意思を託そうとするジョンとアマンダの会話など、シリーズ通して見てる人なら感慨深い部分があるんだろうなーと思いつつ、単体でも充分楽しんでみさせてもらいました。
8作もすっ飛ばしてみて昔の記憶も曖昧だからかもしれないけど、トビン・ベルさん以前と変わらない印象ですごい…どうかいつまでもお元気で…
暗い顔してるけど意外と人生エンジョイ勢!?久々にみたジグソウお爺ちゃんはなんだかんだ魅力溢れる悪役でした。