ジョージ・ルーカス製作総指揮、ロン・ハワード監督による88年のファンタジーアドベンチャー。
小さい頃この映画がすごく好きで…親とレンタルビデオ店に行った際、たまに「どうながも1本好きなのを借りていいよ」と言われると大体いつも選んでいたのがこの「ウィロー」。「何回みんねん!!」と呆れられていた憶えがあります(笑)。
ビデオジャケットは主演3人が並んだ赤基調のビジュアルで、紙仕様のケースだった記憶。
アクションあり、ラブロマンスあり、魔女役のおばさんがちょっと怖くてホラーっぽかったりして、ドキドキがてんこ盛り。
大きくなってからみると、「指輪物語」に「スターウォーズ」のキャラを配置したような話だったんだなーと思いましたが(笑)、赤ちゃんを守るため小人のお父さんが奮闘するのが他にはない優しい味わい。
先日ヴァル・キルマーの訃報をきいて、ふと本作を思い出し物凄く久しぶりに鑑賞。
今みると子供向けでそこまででもないかも…と思ったけど、いや、やっぱりとってもいい映画!!
童心に返してくれるような、心洗われるファンタジー映画でした。
◇◇◇
悪の女王・バブモルダが統治している暗黒時代…
奇跡の赤ん坊が生まれて女王を打ち倒すという予言があり、バブモルダは国中の妊婦を幽閉し生まれてくる赤子たちを見張っていました。
ある日〝しるし〟のある赤ん坊が誕生しますが、乳母のお婆さんが隙をついて赤子を連れ出すことに成功、森へと逃亡します。
中年になってみたら、おばあちゃんが赤ちゃんを1人で育ててるシーンをみているだけで涙腺崩壊。
くるくるヘアとふっくらほっぺのエローラ姫がとにかく可愛すぎる。
表情豊かな赤ちゃんと話のシチュエーションが完全にシンクロしていて、心を鷲掴みにされてしまいます。
やがて乳母のお婆さんは追手の猟犬に殺されてしまい、枯れ草の茂みに隠されたまま1人川を下っていく赤ちゃん…
運良く小人族・ネルウィンの村に辿り着き、子供好きのウィロー一家に拾われますが、ここにまで追手が登場。
村の会議で赤ちゃんを人間世界に送り届けることが決定し、ウィローがその役目を背負うことになります。
エキストラが大勢集まった小人の村の生き生きとした様子も非常に楽しく、子持ちのおとっつぁんが主人公というのが今みるとなんだか新鮮。
手品が趣味のごく普通の農夫・ウィロー。
与えられた任務をしっかりやり通そうとする誠実な人柄、「ごめん」「ありがとう」と人にしっかり言葉を伝えながら助けを借りて局面を乗り切るところなど、静かなヒーロー像が格好いいです。
非日常に憧れる心は幾ばくか持ち合わせつつも大望はなく、赤ちゃんを慈しむ心から奮起する姿に、胸に温かいものが込み上げてきます。
「村を出て最初に出会ったダイキニ(人間族)に赤ん坊を渡せ」…魔法使いから予言を受けていたウィローでしたが、真っ先に出会したのはマカロニウエスタンに出てくる風来坊みたいな男・マッドマーティガン。
汚いアラゴルンというか、むしろハン・ソロみたいな立ち位置のキャラクターで、ヴァル・キルマーがハマり役。
女装姿まで披露してくれますが、これはなかなかキツい(笑)。
赤ちゃんをあやそうとしたり、力尽きたウィローを肩車してくれたり意外と悪い人ではなさそうで、ギャプ萌えの一面が…
そんな中またしても追手がやって来て、女王の娘・ソーシャが3人の前に立ちはだかります。
誤って惚れ薬を被ったマッドマーティガンから熱熱な愛の告白を受けるとまんざらでもなさそうで、心揺れるソーシャ。
厳しいオカンから毎日罵声浴びせられてて好きって言われたら案外イチコロ(笑)、ドS美人の敵幹部が寝返る展開が堪らないです。
90年代はたまに見かけた女優さんだった気がするジョアンヌ・ウォーリー、ヴァル・キルマーと本作で共演後本当に結婚したそうでロマンチック…!!(そのあと離婚したみたいですが)
同じく敵幹部の髑髏仮面を被った将軍はダース・ベイダーっぽい…と思ったら素顔はあまり怖くないお顔でちょっと拍子抜け(笑)。
その他にもランド・カルリジアンのようなマッドマーティガンの友人が登場したり…イウォーク族さながら味方になってくれる小妖精族が登場したり…「スターウォーズ」が頭をよぎりつつも赤ちゃんに希望を託そうと皆が立ち上がっていく姿が胸熱。
馬車で追いかけっこ、雪山でソリなど、豪華なアクションシーンもてんこ盛り。
ハリーハウゼンの映画を思い起こさせる双頭の竜も登場。
今みると合成感ありまくりだけれど、でも夢のある映像で魔法の世界をしっかり感じさせてくれます。
クライマックスは奪われた赤ちゃんを追って、皆で魔女の城に突撃…!!
動物に変えられた善の魔女を復活させたウィローでしたが、この婆さん、口が悪いし思ったより頼りにならない(笑)。
でもBBA対決は魔法の応酬に加えグーパンまで飛び出すバトルになっていて激アツ。
バブモルダ役の女優さんが「眠れる森の美女」のマレフィセントと「白雪姫」の王妃を足したような雰囲気で、迫力たっぷりの悪役でした。
最後にウィローが魔法ではなくハッタリで魔女を倒すところも捻りがあって妙に現実的、でもそこが凄くよかったです。
音楽は勝手にずっとジョン・ウィリアムズだと勘違いしてましたが、ジェームズ・ホーナー。
アクションシーンでかかる勇猛果敢な曲、小人の村で掛かるケルティックな雰囲気の曲、心を浄化してくれるようなメインテーマ曲など、どれも耳に残って聴いているだけで気分が高まります。
自分的には「トップガン」よりもヴァル・キルマーのイメージはこの作品。
立ち位置的には助演だけれど強い存在感があってすごくカッコよかった…!!素敵な夢を見させてくれてありがとうございました。
大人になって観てもささくれだった心を包んでくれるような温かさがあって、美しいファンタジー映画でした。