ジャン=マイケル・ヴィンセント主演、「ローリング・サンダー」のジョン・フリン監督による80年公開作品。
先日劇場鑑賞した「ローリング・サンダー」がとてもよかったこともあり初鑑賞。
町にやって来た無頼漢が悪党と対決する西部劇テイストなストーリー。
よくある古臭いドラマに思われますが、不思議とダサくなくこの年代ならではの空気感とマッチ。
人物描写が優しく丁寧で、自然体な空気感がとても美しかったです。
バイオレンス・アクションとしてはあっさりめかもしれせんが、変に作り込み過ぎていないところがリアル。
またもや殴り込みエンド、クライマックスの展開にシビれました。
◇◇◇
同僚とのトラブルが原因で6ヶ月の停職処分になった船乗りのトミー。
次の船が決まるまでニューヨークの薄汚れたアパートで暮らすことに…
素朴な住民たちと打ち解けていくトミーでしたが、ソウルズと呼ばれるチンピラ一味が幅を利かせ町の皆を苦しめていました。
歯向かったトミーも嫌がらせを受けるようになり、次第に一味の暴力はエスカレート。
自分はよそ者だからと、トミーは争いから一歩身を引くことにしますが…
決して治安のよくないニューヨークの下町。当時の景色をそのまま切り取ったような画が生き生きとしていて美しいです。

同じアパートに住むプエルトリコ人の子供・キッドと知り合いになるトミー。
「いい映画がある」と映画鑑賞に誘われるも、成人映画を見たいがために利用されていたというオチ(笑)。会話もスマートでやり取りが楽しいです。
階上に住む美容師のお姉さん・マーシャは距離感が異様に近くてフレンドリー。
トミーがデートに誘うとめちゃくちゃ気合いの入ったパーティースタイルで登場。

そんな彼女をボウリングデートに連れて行くトミー。
こりゃ完全に脈なしだわ…と思ったら全力でボウリングをエンジョイするお姉さん(笑)。

(これは惚れてまうやろー)
ペットのつがいの鳥にトミーと自分のなりたかった名前を付けるなど、一途な乙女全開でめちゃくちゃ可愛い。
アパート屋上でささやかな庭園をプレゼントするシーンも爽やかで美しかったです。
里親とソリが合わず天涯孤独になったキッドを引き取っているのは、元ボクサーのワコー(ゴッドファーザーのルカ・ブラーシ)。
「むかし子ワニをトイレに流した家族がいてそれが6メートルになっている」…トミーのアリゲーターな作り話を信じてビビる姿が可愛らしい。
素朴な町の人たちがとにかく魅力的です。
しかし…!!チンピラ一味・ソウルズが幅を利かせ暴力行為が日に日にエスカレート。

「ウォリアーズ」のような見た目の荒くれ者たちですが、トミーのアパートにネズミの死体を置いたり、1人きりのときに不意打ちしたり…タイマンではかかって来ない陰湿な手口が嫌らしく意外と小心者。
教会のビンゴ大会を襲撃して女性に手を出すなどかなりのクズ野郎ですが、「地獄へ落ちるぞ!!」と凄む牧師のおっちゃんがカッコ良くて笑ってしまいました。
こんなに被害が出ているのになぜかソウルズ一味は警察に捕まらないまま…住民の皆が報復を恐れて告訴に署名するのを拒否しているからだそうですが、こんな連中が野放しなんておっかなさすぎる…!!
ある日たった1人で果敢にソウルズに立ち向かったトミーは、その姿をカーマインに見留められ、2人は仲良く打ち解けます。
町のガキ大将がそのまま大人に…中年地元ヤンキー感溢れるダニー・アイエロがまた何とも可愛らしい(笑)。

(釣った魚と記念撮影、思い出を大事にするタイプ)
昔は自分もヤンチャしてたけど年をとって新参の若者は怖い…そんな心の内が伝わってくる兄貴役が最高にハマっていました。
トミーを新たなリーダーに据えてソウルズたちに対抗しようと目論むカーマインでしたが、念願の船への乗船が決まったトミーは「自分は所詮よそ者だ」と言い放ち、争いから身を引くことにします。
しかしそんな中、勇気を持って告訴状に署名したエイブが痛めつけられ、キッドを想って反撃に出たワコーが返り討ちにあって死んでしまいます。
果たしてトミーの下した決断は…
主人公がもっと葛藤して迷うのかと思いきや、傷ついた子供の姿をみて怒り心頭、迷いなく一気にクライマックスへ…この流れがカッコいい。
「ローリング・サンダー」と同じく殴り込みエンドですが、決戦の火蓋を切るのが〝ボスの車を痛めつける〟なのが地元バトルという感じがして面白かったです(笑)。
ソウルズへの襲撃を決意し、「俺の軍団を呼んでくる」と言い放ったカーマインでしたが、誰も付いて来ず圧倒的不利な人数に囲まれ大ピンチに…
「真昼の決闘」コースかと思ったら、背後から次々と中年仲間が遅れて姿を現すのが激渋。
さらにアパートの住人たちが上から物を投げつけて威嚇。ついに町の人たちが立ち上がるラストが胸熱…!!
よそ者(でいい奴)の主人公が立ち上がってくれたのに、自分たちが仲間の死を見過ごしていいはずがない、自分たちの生活は自分たちで守るしかない…名もなき住人たちの決意が胸に迫ってきました。
銃は最後の威嚇道具として敵サイドが使用するも、バット!?(棒)が主な武器。

階段を転げ落ちながらひたすら取っ組み合いというボスとのラストバトルも泥臭いのがよかったです。
ラスト、チンピラ一味のバンダナが敗れたボスを見つめる視線が哀愁漂っていてちょっぴり切ない。
ソウルズはソウルズで団結力があるらしく、かつてグループに所属していたと思われる足を引きずった男にリーダーのエンジェルがそっと金を渡す場面など、チンピラ一味にも人間性が垣間見えました。
子供に暴力を振るっているし、人も死んでいるしで擁護しようがない悪党なのですが…
必死で虚勢張って生きてる感じのリーダーがすごくいいキャラだったので、もう少し掘り下げた描写がみたかった気もしました。
俳優陣とキャラクターが一体化したような自然さをみせているところ、荒っぽいようで美しい映像のトーン…ジョン・フリン監督の個性なのか小粒だけれど見応えのある作品。
不思議な心地よさに浸れる1本でした。
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