「ローリング・サンダー」のジョン・フリン監督、シルベスター・スタローン主演、89年公開の刑務所アクションムービー。
極悪刑務所に入れられた善良な男が仲間と共に奮闘、意地悪所長のイビリに耐えまくる…!!
ベッタベタというか、コッテコテというか、男臭いこと極まりない1本ですが、任侠映画好きのジョン・フリン監督とスタローンは相性がよさそう。
「ローリング・サンダー」や「摩天楼ブルース」と比べるとバカっぽい映画ですが、ツッコミどころも含めて楽しめる作品。
脇役も光っていて美しい名シーンが点在、これは良いスタローン映画!!とニッコリさせられる1本でした。
◇◇◇
フランク・レオンは看守からも囚人からも慕われる模範囚。
世話になった親父さんがチンピラに襲われているところを助けようとして傷害罪に問われ服役。
愛する恋人リンダが彼の帰りを待ち侘びていましたが、出所間近のある日、突然悪名高いゲイトウェイ刑務所に移送されてしまいます。
なんとフランクに個人的恨みを持つ所長・ドラグムールが彼を罠に嵌めようと画策。
度を越した嫌がらせの数々がフランクに襲い掛かります。
所長役のドナルド・サザーランドが憎たらしい名演技を披露。

主人公を虐めて精神的に追いやり、わざと刃向かわせるように仕向けて懲役を増やそうと企む…めちゃくちゃ嫌なやり口で恐ろしいです。
息のかかった看守や囚人に暴力を振るわせて、自分が直接手を下さないところも陰湿。
フランクを恨みに思っているのは自分が左遷される原因をつくったからだそうで…
刑期中に義父が危篤状態となり、条件付きで出所させて欲しいと願ったフランクの申し出を所長が無慈悲に却下、やむを得ずフランクは脱獄することに…
18ヶ月の刑期が5年に延びるも、マスコミが味方について環境の良い刑務所に収監されることになったフランク。
一方所長には非難が集まり、劣悪刑務所に左遷される事態に…
それを恨みに思っての仕返し!?とのことですが、出所できないのが規則なら脱獄したスタローンに非があると思うのですがどうなんでしょう(笑)。
でもとにかく所長は悪い奴で、スタローンはいい奴!!
数々の嫌がらせを受けるも、フランクは次第に周囲の囚人たちのリスペクトを勝ち取っていきます。
所長の取り巻き囚人たちとラグビー試合、泥まみれになりながら1人立ち向かう姿に心動かされる者が続出。

いいシーンなんだけど泥んこ試合がやたら長くて何の映画やねん!!と困惑(笑)。
ベテラン囚人に認められたフランクは、整備士の経験を活かして所内にある車工場で働くことに…
所長の車を扱っているのだといいますが、なんで刑務所の中に大きなガレージがあるのか謎(笑)。
ご飯は不味そうだし暴力沙汰は絶えないし、いかにもおっかないアメリカの刑務所ですが、皆当然のようにお酒やタバコを口にしていて、意外と自由度は高そうです。
そんな中、フランクの昔の武勇伝を聞き囚人ダラス(トム・サイズモア)が仲良くなろうと近づいてきます。
馴れ馴れしく距離をぐんぐん詰めてくるダラスにフランクは「DTAだ」と呟きます。

”Don't trust anybody”(誰も信じるな)…DAIGOと北川景子みたいな会話するのやめーや(笑)。
しかしまんざらでもなかったのか、2人の間には友情が芽生えていきます。
またある日、ファースト・ベースと呼ばれる血気盛んな青年が新しく刑務所に入所。
所内で孤立していた彼にフランクは声をかけ、次第に青年は心を開くようになっていきます。
20歳の若さで懲役400年を言い渡されたというファースト・ベース。殺人事件に巻き込まれてしまったらしく、根は悪い子ではなさそう。
「車の運転すらしたことがない」というファースト・ベースに、狭いガレージスペースで車を手押して試乗体験をさせてあげようと骨を折るフランク。

主人公の優しさが胸にひた迫ってきて、思わず涙腺が緩む美しいシーン。
しかしドライブしたい衝動がどうにも止められなかったファースト・ベースが所内を爆走、代わりにフランクが懲罰房に入れられてしまいます。
時間の感覚を奪われ、食事を減らされ、疲弊していくフランク。
所内は所長の取り巻きであるサディスティックな看守たちが幅を利かせていましたが、黒人看守長・メイズナーとブレイドンだけは規則を重視し、囚人たちを平等に扱っていました。
2人は所長の横暴に異を唱えはじめます。
ところがそんなことは意にも介さず、さらなる罠をフランクに仕掛ける所長。
弟分ファースト・ベースを取り巻きの囚人たちにリンチさせて殺させてしまいます。
フランクを怒らせ犯人の囚人を殺させて刑期を長引かせようという魂胆でしたが、すんでのところで思い止まるフランク。
すると今度はシャバにいるガールフレンドに危害を加えると脅迫。
「明日出所予定の囚人に彼女をレイプさせる」…あと数週で自由の身でしたが、フランクは彼女を守るため脱獄を決意します。
クライマックスで突然始まる脱獄劇。
以前から脱獄を画策していたダラスとともに地下道を下っていくフランクでしたが、気付けば看守に取り囲まれて四面楚歌。
なんとダラスが所長と取引きしてフランクを裏切っていた!!
めちゃくちゃいい仲間キャラだったトム・サイズモア、一体いつから…と人間不信になりますが、成り行き上突然裏切ったらしく、所長の取引が口先だけで出所が叶わないことを知ると激昂。
DTA(誰も信じるな)の伏線をさらっと回収、フランクに謝りながら看守を道連れに自爆する姿が漢気溢れていてカッチョよかったです。
ラストはスタローンがいよいよ大暴れ、看守たちを次々にフルボッコ。所長を人質に立て籠もり、所内にある電気椅子にセット。

「本当のことを言わないとレバーを押すぞ!!」と脅すとビビった所長が罪を告白。
ファースト・ベースを殺害し、無関係な彼女をレイプすると脅したことなどを全員の前で自供し、その話をきいた看守長が所長を審議会にかけることを決意。
主人公は晴れて出所、スカッとする爽やかエンディングですが、これだけ大暴れしてお咎めなしで収まるのはいくらなんでも都合が良すぎるような…
クライマックスは勢い重視でリアリティに欠けているのがちょっぴり残念。
けれどずっと仏頂面だった鬼の看守長が最後にみせるツンデレ笑顔にはこちらの頬も緩んでしまいます。
野郎同士の友情シーンが暑苦しいけどエモーショナル。
ファースト・ベースとのドライブシーンなど所々で美しい場面が光ります。
所長からの嫌がらせで給食トレイを盗られてしまったフランク。
その後すぐに仲間たちがテーブルに集まり少しずつ自分たちの食事を分け与えていくシーンなど、思わず胸が熱くなってしまいます。
逆境にあってもへこたれない姿に「なぜ前向きになれる?」とファースト・ベースが問うと、「動いてないからクヨクヨする、動き続けていればイヤなことも忘れられる」と答えるスタローン。
鳥に餌をやるのが唯一の楽しみである変わり者囚人を皆が避ける中、「彼も寂しいんだ、俺たちと同じだ。奴の小さな世界も守らないとな。」と1人優しく接するスタローン。
ベタで古臭いけど、内面の良さが伝わる真面目主人公の好感度が素直に高かったです。
音楽はビル・コンティ。ロッキー的ムードなミュージックが鳴り響く中、工場で皆で赤いマスタングを復活させるシーンは大変ゴキゲン。
打ち上げでお酒を飲むシーンはまるでショーシャンク!?

こそばゆくなるような臭い台詞が度々登場、でもそれがキャスト陣とマッチしていてとても楽しかったです。
美人の彼女が外の世界でずっと待ってくれている…ヒロインも存在感があってこれが主人公の心の支えなんだなーと納得。
何気にアツいラブストーリーしているのも素敵でした。
嫌がらせシーンは結構凄惨だし、仲間が悲惨に死ぬし、もっと陰鬱になってもおかしくないところですが、安心して見ていられるのはスタローンのおかげ…骨がありつつ見やすいエンタメ映画。
ロッキーとランボーを掛け合わせたような魅力!?で、スタローンの個性と監督の個性が上手く合わさって、気持ちよく楽しめる良質娯楽作でした。
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