「ローリング・サンダー」のジョン・フリン監督による73年のクライムアクション映画。
監督のフィルモグラフィーの中でこれが1番だという声もある隠れた名作のようで鑑賞。
激渋でめちゃくちゃカッコよかったです。
ロバート・デュヴァルがアクションに主演というのが意外に思われますが、めちゃくちゃ暴力的なハゲの中年男にびっくり(笑)。
恋人役はカレン・ブラック、敵役はロバート・ライアンと渋いキャストが勢揃い、皆個性を発揮して光っています。
兄を殺された主人公が犯罪組織にひたすら喧嘩を売りまくる…シンプルなストーリーですが、カチコミアクションが最後に展開することの多いジョン・フリン監督作、本作は全編クライマックスといってもいい仕上がり。
カメラワークや構図がいちいちカッコよく、タランティーノが影響を受けていそう。
低予算映画ではあるものの、緊迫感がみなぎっていて70年代ムードに酔いしれる1作でした。
◇◇◇
どこかの田舎の一軒家。
ハンチング帽の男と神父の格好をした殺し屋が一言も発さずタクシーに乗って家を訪れるオープニングから激渋。

西部劇的ムードが漂う中、男・エディが飼い犬の目の前で無惨に射殺されてしまいます。
数年前にウィチタの銀行を襲撃したエディ&アール兄弟とその相棒エディ。
しかし襲った銀行がとある犯罪組織の縄張りだったため、静かに怒りを買っており、ボスが報復の指示を出していたのでした。
そんなことも露知らず弟アールが刑務所から出所してきます。
愛人・ベットが彼を迎えにやってきますが、どこかソワソワした様子。
問い詰めると、兄エディが殺されアールをモーテルに誘い込むよう指示されたことを告白。
「ごめんなさい、脅迫されたの」…泣きながら抱きついてくる恋人をテイッとぶんなげる主人公、優しさの欠片もありません(笑)。
その後、モーテルにやって来た殺し屋をあっさり返り討ちにするアール。

(マッチョでもないのにやたら強いハゲ親父)
殺し屋を脅し、組織のボスや下手人の名前を聞き出すと、単身敵のアジトへ…
出所したばかりなのに社会に適応する気ゼロ、「兄貴殺したの慰謝料25万ドルで許したるわ」ってあまりにも強気すぎる(笑)。
怖いもの知らずな主人公がクール!!恋人の腕にヤキゴテをつけた殺し屋の手を銃で鮮やかに撃ち抜くなど、迸る激情に魅入られてしまいます。
一方アールたちと組んで一緒に銀行強盗をしていた相棒・エディの下にも組織の魔の手が忍び寄っていました。
田舎で小さなダイナーを営んでいるエディ。
突然殺し屋らしき男2人がカウンターに…さっと相手から両手の見えない位置に引っ込むエディ。


ナイフでパンを切っているようにみえるけど、もしかして銃に手を伸ばしているのか…
まさに一触即発、相手がショットガンを持ち出した矢先、後ろの客席にたまたま保安官がいるのを発見。
何気なく保安官に声をかけ、殺し屋を退却させることに成功するエディ。
物怖じせず終始落ち着いた様子で大したものですが、間一髪で命拾いしたことが伝わってきてこちらもヒヤヒヤ。
静かなのに緊迫感が半端ないめちゃくちゃカッコいい一幕でした。
その後アールとエディは合流。亡くなった兄への弔いのためにも組織に歯向かうことを決意します。
密売人のおっちゃんが車のバックシートに乗ってきてカスタム銃をセールしてくる場面も実にカッコいい。
そして次には改造車を入手するためかつての馴染みの仲間の下へ…
仲間の弟嫁だというアンニュイな雰囲気を醸した女性がアールたちを出迎えます。

欲求不満なのか突然エディを誘惑してくる女性でしたが、地雷女と察知したエディは靡かず誘いをお断り。
すると「この人アタシに痴漢してきた!!」と突然激昂。
飼い犬を仕掛けてきて大騒ぎになりますが、兄貴がなんとかその場を収めて一言、「俺も誘われた」…とんでもないアバズレ女で唖然(笑)。
本筋に全く関係ないこのシーンがトチ狂っててめちゃくちゃオモロかったです。
車と武器を手に入れたアールたちは組織の金庫を襲撃。
さらに大ボスであるメイラーの下に単身乗り込み「金を払わないとシマを荒らすぞ」と恐喝します。
敵の組織に強者がおらず間抜けにみえてしまうのが残念ですが、ボスの食えない感じはGOOD。
「大した額じゃないから25万ドル払ったるわ」と言った後ちゃっかり偽札を用意。
親子以上も歳の離れた赤毛女性(ジョアンナ・キャシディ)を囲っているところも、死期の近い老人が若さに妄執しているようでよかったです。
そんな中アールにずっと協力していた愛人・ベットが「あなたにはもう付いていけない」と突然別れを切り出します。
彼女にタックルして往復ビンタを喰らわすロバート・デュバル、本当に碌でもない(笑)。
個性的な顔立ちで独特な雰囲気のカレン・ブラックですが、本作ではめちゃくちゃいい女にみえてきます。

ベレー帽にニット帽、70年代ファッションも素敵。ドライブ中の野郎どもに水筒からお茶差し出すのがなんだかとってもキュート。
敵を容赦なく車で轢いてアールたちを救出する大活躍を見せたかと思いきや、「帰ってもいい?」と実家にこっそり電話してるのが切ない…でも実家にもどうやら居場所がないようで…
大喧嘩したかと思いきや、次のシーンではイチャイチャしているなど、「ローリング・サンダー」のヒロインとのやり取りが思い出されます。
しかしその後敵と銃撃戦が勃発、アールが振り返るとひっそりとベットが後部座席で息を引き取っていました。
あまりのあっけなさに際立つ喪失感。ロバート・デュバルの反応が淡白でそっけないのがまた何とも…
尽くす女って意外と大事にされないのね…男の世界に入り込めなかったヒロインに物悲しさが残ります。
ベットを失ったアールはエディと共にいよいよボスの自宅を襲撃することに…
銃撃戦は大掛かりなものではないけど、「ボスが死んだからお前ら引っ込め」と言って退却させる主人公の圧が凄い(笑)。
しかし攻防の最中、エディが腹に弾丸を受けて重傷を負ってしまいます。
パトカーのサイレンに取り囲まれる2人。「先に逃げてくれ」「急ぐことはない、待つよ」…深い絆で結ばれた野郎2人の会話がカッコよすぎて胸キュン。
ニューシネマ的破滅エンドかと思いきや、ここからまさかの大逆転。しれっと救急車に乗り込みちゃっかり逃亡に成功する2人。
「やっぱり最後に勝つのは善人だな」ってお前ら善人じゃねーだろw w。
2人のバカ笑いが突き抜けてて思わずこちらもニッコリ、意外なラストで流れてくるエンドロールがカッチョいい。
スタジオ側の要求でハッピーエンドになったのを監督本人も気に入ってると後から語ったそうで、これはこれで味わい深い、爽快な余韻があとに残りました。
ロバート・デュバルもめちゃくちゃカッコよかったけど、個人的には相棒役のおじさんが大変好み。
女優陣はカレン・ブラックとアバズレ女役以外の人も皆それぞれ印象を残します。
冒頭に登場するアールの兄嫁はガソリンスタンドで「牧師が家に来てた」と聞くや否や夫の死を察知。
知性的で上品なおばさまがとても美しかったです。
シェパード、ドーベルマンなど意外にワンちゃんが活躍!?
カメラワークや構図がとにかくカッコよく、ボスがふと前を見ると突然目と鼻の先に主人公が立っている…熱く冷たい視線に射抜かれるようでした。

ロバート・デュバル、42歳、遅咲きだったんだなあ、カッコいいなあ。
70年代ムードに溢れていて好きな人間には堪らない1作でした。
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