どうながの映画読書ブログ

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「笑む窓のある家 4K修復版」…ミステリアスジャーロ&田舎ホラーでめちゃくちゃ楽しかった

1976年製作の異色イタリアン・ホラー「笑む窓のある家」が日本初公開。

プピ・アヴァティという監督の名前も初めて知りましたが、同監督による83年作品「ZEDER 死者の復活祭」も23日から期間限定上映するらしくイタリアンホラーの大盤振る舞い。

まずは「笑む窓のある家」をシネマートさんで鑑賞。激込みで大盛況でした。

フレスコ絵画の修復をするため北イタリアの小さな町にやって来た絵画修復師・ステファノ。

しかし亡くなった画家は〝人間の死に際〟を描くことに取り憑かれた狂気の人物だったらしく、絵には隠された秘密が…

 

登場アイテムなど「サスペリアPART2」と重なるところもあって、好きな人には堪らないムード。

ド派手な殺人シーンがあるわけではなく音楽も控えめだったのですが、次々に出てくる怪しい人、古い町のロケーション、不穏たっぷりの思わせぶりイベント…これぞジャーロという感じがしました。

全体的には地味なもののしっかり恐怖があって、怒涛のラストに唖然、とっても面白かったです!!

高橋ヨシキさんと山崎圭司さんのトークイベント付きの会に参加できたのですが、「あれは一体何だったのか」、頭に浮かぶ疑問の数々(笑)…観終わったあと語りたいあるあるがここで沢山聴けてめちゃくちゃ楽しかったです。


(※以下ネタバレありで語っています)

ロケーションや小道具が抜群にいい本作。

緑溢れる川辺の町というロケーション。ヴェネツィアみたいな豪華さは皆無だけど、水に囲まれた町ならではの孤立感、この世ならざる雰囲気が堪りません。

キーとなるのは古びれた小さな教会にあるフレスコ絵画。

殉教者の男が中心に描かれているものの、両サイドや下半身が損傷でみえなくなっていて、ここから邪悪な絵が浮かび上がってくるところは「サスペリア2」の壁画発掘に似た印象。

子供の頃にみていたらトラウマ必至、インパクトのある〝怖い絵〟だったのがよかったです。

主人公が外からやって来た異邦人というところも「サスペリア2」のマークと重なりますが、町に漂う閉鎖的な空気には田舎ホラーの味わいも…

 

来て早々、町の女教師と知り合うステファノ。「町中の男と寝ている」と噂の女性のようですが、開幕早々ベッドインじゃこの評価もやむなし。 

楽しそうな掛け合いをしていてこの女性がヒロインかと思いきや、早々と突然いなくなるのにびっくり(笑)。

 

そんな中ステファノに修復の仕事を紹介してくれた友人・アントニオが謎めいた言葉を残して窓から転落死。自殺なのか、他殺なのか…

「あの絵は修復を望んでいない」…老婆の声をした警告の電話がステファノの下にかかってくるようになります。

さらに町の宿屋から「明日から観光客が沢山来るから別の場所に移ってほしい」と突然言われ、怪しげなお屋敷に身を寄せることに…これまた古びれた雰囲気のあるお家。

2階に住んでいる歩けない老女はステファノの訪問を喜びますが、なぜか夜な夜な誰かの足音が屋敷に鳴り響きます。

 

ある日ステファノは屋敷の一室から謎のテープレコーダーを発見。

ジャーロによく出てくるアイテムでいつも脈絡なく登場する気がしますが、コンセントを刺した瞬間ボッと火が出て部屋が真っ暗になるのにビビりました(笑)。

暗闇の中テープだけは再生されてどこから電気来とんねんとなりましたが、「俺の色は甘い」…死んだ画家の謎ポエムが延々と流れてくるのが不気味。

ステファノは画家の過去と絵に隠された秘密を追っていきます。

 

メインビジュアルにあった「笑む窓の家」が一向に出て来ず、死んだ画家のアトリエとして後半になって唐突に登場。教会とお屋敷の方がメインで結局ちょっとしか出番がなかったという…

真っ赤な唇が修復絵にも浮かんでくるのかと思ったら、何事もなく終わるのが意外すぎる(笑)。

 

そして次々と謎めいたキャラクターが登場。

早々に退場した女教師の代わりに新しく赴任して来た可憐な女性・フランチェスカは、エスカルゴ料理が好みらしく冷蔵庫でカタツムリを飼育!!

ドン引きすることなくすぐに女性といい感じになる主人公にもびっくり(笑)。

ステファノに画家の過去を教えてくれる飲んだくれ男・コッポラは「秘密をバラしてやる!!」とレストランで息巻いていましたが、なぜ今まで殺されずにすんでいたのか…

立ちションシーンにちゃんと時間を割くところが好き(笑)、度々人物を引きで捉えたショットが挟まるのが面白かったです。

「自分がこの教会を建て直した」と鼻高々に語るおじいちゃん神父は内心修復をあまり快く思っていなさそうで、曲者の気配。

教会の雑用係・リディオはお葬式の棺に生きたネズミを閉じ込めるなど悪趣味で不気味。塩酸の入った鞄を屋敷の誰かに渡していたのは一体何だったんだー!?

町で唯一のレストランを経営する親父さんは「認知症の妻がレニャーニの絵を集めていた」と言って絵画をみせてくれたけど他の作品も不気味。

そして主人公に修復を依頼した町長はフレスコ画を町興しに活用しようとしているらしく、彼だけはステファノを歓迎している様子??主人公がフェリーで町にやって来たその対岸に小人の町長が佇んでいる景色からこの世ならざる雰囲気が立ち込めていて、このシーンから心鷲掴みでした。

 

謎の花があちこちで生けられていたり、修復していた絵が塩酸をかけられてまた元に戻っていたり…不穏なイベントが立て続けに起こり、ゆったりペースながらジワジワと恐怖に駆られていきます。

 

ステファノは、画家レニャーニが病気の母親と姉2人と共にブラジルに旅立って帰国したのち、狂気に取り憑かれたらしいことを聞きつけます。

さらに友人アントニオが残していた資料を発見、その中にはレニャーニの2人の姉の写真が…

浮かび上がってきた修復画には、殉教者の男の両脇に邪悪な女性2人の恐ろしい顔が描かれており、写真の姉たちの顔と一致。

レニャーニは姉2人が人を殺す瞬間を絵に描いていた!!恐ろしい過去の秘密を知ったステファノ。

 

そんな中〝笑む窓の家〟の庭に埋められていた白骨死体の在処を教えてくれたコッポラが水死体で発見され、フランチェスカも何者かの餌食となり惨殺。

しかし警察は取り合ってくれずステファノは孤立していきます。

屋敷に残っていると男の絶叫が聞こえ地下室に向かうと、そこには白装束を来た老婆2人がリディオにナイフを突き立てていた!!

ホルマリン漬けにした弟に人が死ぬところをみせて喜んでもらおうと??殺人を続けていた画家の姉2人。

絶叫し、町へ駆けていくステファノでしたが、人々はシャッターを固く閉ざし誰も助けてくれない…このシーンは風景も相まってめちゃくちゃゾッとしました。

 

藁にもすがる想いで教会に駆け込むと神父が登場。

神父の話し声が徐々に女の声へ…衣装をめくるとなんとそこには老婆の着ていた白装束が…さらに衣服をめくると老婆の胸があらわに…(ちゃんと見せてくれるのがよかったし、スピード感ある「サスペリア2」と対照的に妙に時間をかけたシーンだったのが面白かった)

神父は実は老婆で殺人犯(姉の1人)だった!!

どういうこっちゃねん!!となるけど、これ以上ない不条理に戦慄。

同じお屋敷にいた寝たきりのお婆さんが犯人なのは分かるけど、もう1人の犯人はレストラン一家の認知症のお婆さんかと思ったら全然違った(笑)。

町の人が主人公を助けず突き放すあたり全員グルな田舎宗教系ホラーに似た怖さが漂ってますが、なぜあの画家一家を庇うのか…なにもかも謎のまま終幕。

でもミステリアスなムードにどっぷり浸れて、老婆の笑い声が響く圧倒的バッドエンドは迫力満点。恐怖の余韻が残りました。

 

上映終了後にトークイベントが開催。

ヨシキさんの「結局修復したいのかしたくないのかどっち!?」に会場爆笑。

・最後に出てくる手と人影誰なのか説
・ホルマリン漬け画家生きてるor死んでる説
・ブラジルで何があったのか(笑)

それそれ!!と気になるところを一気に語っていただき「あの家とタイトルだけで勝ちが確定している」「整合性云々より言い切りが大事!!」という言葉に深く頷きたくなるばかりでした。

アルジェントと2歳違いだというアバディ監督。〝ファシズムの残り香〟と山崎さんが仰っていましたが、何か邪悪なものに取り囲まれた嫌な感じは「サスペリア」の魔女集団にも共通しているような…しっかりと怖い映画だったなーと思いました。

 

入場特典ではペーパークラフト仕様のポストカードがいただけました。

パンフレット「知られざるイタリアン・ホラーの世界」(1300円)はボリューミーな内容でめちゃくちゃ嬉しい。

〝イタリアン・ホラー日本未公開傑作12本〟のページから気になる作品ばかりで、じっくり読ませてもらうのが楽しみです。

(裏表紙のこの置物も好き)

 

あと別作品ですが、観に行きたいと思いつつ逃してしまっていた「ロードゲーム」のパンフレットも購入することができました。

(こちらも気合の入ったパンフで美しい)

物販も行列で、劇場が賑わっていてとても嬉しかったです☆

 

映像が思った以上に綺麗で鮮明、レアなジャーロを大スクリーンでみれてめちゃくちゃ楽しかった!!もう1本の「ZEDER」も俄然気になります。