ポール・モリセイ監督、ウド・キア主演、イタリア・フランス合作の1973年ホラー。
前から気になっていたのを、ホラー・マニアックスで廉価版Blu-rayが発売されたので初鑑賞。
アンディ・ウォーホルが監修に入っているとかなんとか…アートで取っ付きにくい感じの作品かと勝手に思ってましたが、シンプルなストーリーでめちゃくちゃ見やすい!!
登場人物全員狂っててツッコミどころしかないですが、ロケーションや美術セットが大変美しく、俳優さんも美形揃い…エログロ全開なのに気品漂うゴシックホラーに(笑)。
3D作品として当時制作されたらしく、無駄に臓物が飛び出るところには笑いました。
フランケンシュタインにインスパイアされた内容だけど、これぐらいハッチャケてると楽しいわね…頭空っぽで没頭できる大変愉快なホラーでした。
◇◇◇
優れた人間の人体パーツを組み合わせて男と女の人造人間をつくり、2人を交配させて新人類を誕生させる…!!
医学博士のフランケンシュタイン男爵は、助手のオットーに死体を調達させ、人里離れた古城で日々人体実験を行なっていました。
牧歌的ムードを醸す緑に囲まれた古城のロケーション。
室内はゴシック調のインテリアが美しく、鳥籠のおもちゃを頭上に置いた貴族の子供部屋などユニークな美術セットに目を奪われます。

男爵一家が食事をとる場面はブラックな笑いに満ちていて、長テーブルがてんでバラバラな家族を表しているようでユーモラス。

絵画のような引きの画や横移動するカメラワークも面白いです。
そして実験室は上下に開けた大きな空間で意外なほどに豪華。

奇天烈なアイテム1つ1つから世界観がしっかり感じられました。
実は妻子持ちの男爵。妻・カトリンとの間には2人の子供がいるものの、夫婦仲は冷え切っている様子。
どうみても夫より年上にみえる夫人ですが、実は姉弟で近親相姦夫婦だというからもうめちゃくちゃ(笑)。
欲求不満気味の夫人は色欲魔と化し、度々城に男を連れ込んでいるようです。
一方、領地内では農夫のニコラスという男が性欲をもてあましセックスに興じていました。
友人サシャが「教会に出家する」というのを聞いて、女遊びを教えてあげようと友を引き連れて娼館に向かうニコラス。
出てくる娼婦がかなり歳上のおばちゃん…だけどふくよかボディでおっぱいが大きい。
生々しいのになぜかイヤらしくなく笑って見てしまう不思議なエロシーン(笑)。
堂々3Pをはじめるニコラスに対し、サシャは女性に全く興味を示さずニコラスの方をチラ見するばかり。(なにやらBLの気配)
そんななか、新たなボディパーツを探していたフランケンシュタイン男爵と助手オットーが娼館近くに出没。
新人類を誕生させるため〝性欲の強い男の脳みそ〟を求めていた男爵は、ゲイのサシャを絶倫男だと勘違い。
サシャの頭部を手に入れようといきなりオオバサミで首をチョンパ、躊躇いなく殺害。グロシーンですが、切られた後の胴体が動きまくるのがシュールで笑ってしまいます。
酔い潰れて気絶していたニコラスは、胴体だけ残された友の死体を後から発見。仕方なく首のない遺体を埋葬します。
その後、ニコラスは色欲魔のカトリン夫人に目をつけられ夫人の愛人として囲い込まれ屋敷内で働くことに…
表向きには使用人として雇われたニコラスが、ある日テーブルに給仕にいくと、男爵が連れてきた人造人間カップルと遭遇。
「体格は違うけど顔は間違いなくサシャだった」…男爵の研究に疑念を抱いたニコラスは、実験室に忍び込みます。
そんなことは露知らず、男爵と助手は人造人間の2人に子供を作らせようと必死。
女人造人間に男人造人間を誘惑させますが全く反応なし。(だって彼は男が好き…ボソッ)

「キスヒム」の命令、何回繰り返すねん!!大真面目にアホやってるのに爆笑。
同性愛の叶わぬ恋を人知れず抱えこみ、世を儚んで修道生活に入ろうとしてた人なのに、死体になって操られ全く意に全く沿わないことをさせられているのはなんだか悲劇的。
男人造人間も農夫の絶倫男も美形なので、耽美的ムードも漂います。
男爵のヤバい実験を知ったニコラスは屋敷を出ることを決意しますが、別れを突きつけられたカトリン夫人は激怒。
「農民のくせに」と捨て台詞を吐きますが、男爵といいこの姉弟、曲者でよく似ています(笑)。
男爵にニコラスの侵入を密告したカトリン夫人は、見返りに人造人間・サシャをダッチワイフとしていただくことに…
どうにも虚しいゾンビ男とのメイクラブ、案の定サシャが暴走してしまい、行為中に夫人を死に至らしめてしまいます。
そんななか助手・オットーも暴走。ずっと尽くしてきた自分に褒美がないのはおかしいと女人造人間を手籠めにしようと迫ります。
胸にも股にも目もくれず、縫合跡をペロペロ舐めるのが上級者プレイ(笑)。
しかし興奮のあまりゾンビ女性のはらわたを掻き出してしまい、貴重な人造人間を破壊。
それを見た教授は激昂し、助手を絞殺してしまいます。
そこにサシャがカトリン夫人の亡骸を抱えてやって来ました。死体だらけの地獄絵図で完全にカオス(笑)。
「よくも姉を」…って仲の悪い姉弟かと思いきや、シスコンだったのかよ。
サシャにニコラスを殺すよう命じる男爵でしたが、一向に命令をきかずサシャは男爵に歯向かいます。
逃げる男爵の手が扉に挟まり盛大に手首チョンパ!!さらに棒が胴体に突き刺さりトドメうちに…

ところどころで思い出したかのように挟まる3D演出(笑)。
「私が死んでも業績は残る、我が研究人生に一片の悔いなし!!」と言いながら散っていく男爵が潔く、マッドサイエンティストの矜持を見せてくれました。
残ったサシャに一緒に逃げようと声をかけるニコラスでしたが、生きる気力を失ったサシャは自らはらわたを掻き出し自殺。
1人吊るされたまま残されたニコラスの下に男爵の子供たちがやって来ます。
助けてもらえるかと思いきや、実験台に使われることが確定したバッドエンド。
残酷な人形遊びをする子供たちを映したオープニングシーンとリンクして、綺麗なオチのラストになっていました。
まともな人間は1人もいない変態の集まり。
けれど皆各々の欲望に忠実で決して自分を曲げない姿に人間臭さも感じました。
特殊効果はカルロ・ランバルディが手がけたそうで素晴らしいですが、見本のような赤やピンクの臓物はグロいのに意外と不快感が少なく芸術的。
コウモリに子供たちが襲われるシーンは、イタリアンホラーらしいというか、アルジェントやフルチを思い出しました。
俳優陣は美形が集合。
女人造人間役の綺麗な女優さんは「フェノミナ」の校長先生だったのね…
寡黙な男爵の子供たちも印象に残りますが、女の子の方は「サスペリアPART2」のニコレッタ・エルミで独特の雰囲気がミステリアス。
そしてフランケンシュタイン男爵役はウド・キア。
「サスペリア」などアルジェント作品にも出ていましたが、出番僅かでもすごい存在感。お年を召してからの渋いお顔の印象が強かったですが、本作では妖しい美しさが際立っていてハマリ役。
美女のはらわたとファックして浮かべる恍惚の表情が最高でした。
つい先月お亡くなりになったというニュースを知りましたが、ご冥福をお祈りいたします。
「処女の生き血」も同じキャストとスタッフが集まっているらしくこちらも気になりますが、Blu-rayが廃盤のようで残念…
取っ付きにくいイメージがあったけど、こんな愉快なホラーコメディだったなんて意外。
ゆったりしたテンポが妙に心地よく、しっかりゴシックホラーの世界にも浸らせてもらえて、とても楽しい1本でした。
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