ニック・キャッスル監督による1984年公開のSFアドベンチャー映画。
国内でずっとDVDが出ていなかったタイトルがこの度40年経って初Blu-ray化。

ゲーム好きの青年が宇宙戦争のエースパイロットにスカウトされて大活躍!!
なろう小説のようなストーリーですが、「スターウォーズ EP4」をB級仕様にした感じでEP4好きにはゴキゲンな内容。
「トロン」と並びCGを本格的に導入した最初期の作品だそうで、ミニチュア撮影ではなくオールCGで宇宙戦を再現。
今の映像と比べるとショボいかもしれませんが、作り物感も含めロマンがあってワクワク。
また劇中登場するゲーム画面も「パックマン」や「スペースインベーダー」のようなドット絵が限界だった時代に作られたものだと思うと驚異のグラフィックで、大変興味深くみさせてもらいました。
映像云々もさておき、舞台やキャラクターも意外なほど魅力的で80年代ならではの明るさや優しさが胸に沁みる。
思った以上の満足度で、大変愉快な1本でした。
◇◇◇
カリフォルニア州のトレーラーパークに住むアレックス。
犬を飼っているおっちゃんに、昼メロが生きがいのおばちゃん…パークの雰囲気からして最高。
平地にワゴンが並んだよくあるトレーラーハウスの景色とちょっと違って、高低差のあるロケーション。どこかファンタジックで独立した村のような雰囲気なのが面白い。
皆仲良く暮らしている平和そうな村ですが、主人公・アレックスは〝ここではないどこか〟に行きたい想いを内に秘めている様子。
裕福でないため大学進学への道が険しく、村の人たちの生活を支えるため雑用に駆り出される日々。
幼馴染のマギーや弟・ルイスなど愛する人たちが側にいるものの、孤独感を漂わせた主人公の姿がタトゥイーンのルーク・スカイウォーカーと重なります。
そんなアレックスの唯一の楽しみはアーケードゲーム機〝スターファイター〟。
ラスベガスに出荷されるはずが誤って田舎の村に配送されてきたらしく、シューティングゲームに夢中のアレックス。
このゲームのグラフィックが地味に凄くてびっくり。

映画本編用に作った映像で実際に作られたゲームではないようですが、滑らかな動きに立体の表現…ファミコンゲームと格段に違うグラフィックに度肝を抜かれます。
アレックスがゲームで超高得点を叩き出すと村の人たちが集まってきて皆で大騒ぎ。
80年代らしい温かさに満ちていて、どこかノスタルジック。
満点の星空の下ゲームをする画もロマンがあってうっとりする美しさでした。

高得点を叩き出したあと、アレックスの前にゲーム開発者を名乗る謎の男・セントーリが現れます。
なんとゲームは戦争の危機に瀕した宇宙同盟がエリート戦士〝スターファイター〟を選び出すために開発したものだった!!
スカウトされたアレックスは、空飛ぶ車に乗せられて地球を飛び出し遥か彼方の星ライアスへ。
子供心に返るような空飛ぶ車のデザイン。やたらひょうきんで詐欺師のようなセントーリのおっちゃんとの掛け合いが楽しい。
ライアス星人は男性も女性も禿げていて頭部がもっこりしている謎のキャラデザでしたが、翻訳機を介さないと言葉が通じないなどB級映画かと思いきや意外と丁寧に作られていて、セットも豪華なのに驚きました。
星々から集められたスターファイターたちは各々個性ある見た目で、昔の「スターウォーズ」を思い出す…広い宇宙には色んな人がいるものだと多様性全開でグッド。

銀河系を包み込むようにして敷かれていたという防衛戦線。ライアス星人の中に裏切り者が出て戦線が崩壊、ズアー率いる艦隊がまもなく攻め込んでくるそうで…
世界観がちょっと分かりにくかったですが、もっこり頭の偉そうな奴が裏切り者の悪い奴。
地球もやがては戦火に飲み込まれるというけれど、突然の話に全く付いていけないアレックスは戦闘に加わることを拒否。
セントーリに地球に送り届けてもらうことに。
ところがその最中要塞が奇襲攻撃を受けて壊滅し、生き残ったスターファイターがアレックスだけになってしまいます。
事情を知らず地球に戻ったアレックスでしたが、生き残りのファイターを始末しようとズアーからの刺客が襲撃してきててんやわんや。
結局ライアス星に戻ってスターファイターとして戦うことを心に決めます。
地球パートが合間に挟まるのが楽しく、コピー人間ロボットの活躍が面白い。
本人にそっくりそのまま、不在をカバーしてくれてセルフ生首修理するなどターミネーターばりの有能っぷりを披露。
もうコイツを量産してスターファイターにしてしまえばいいやん、と思ったけど非戦闘仕様なんだとか(笑)。
任務を全うしてくれる最後の勇姿はちょっぴり切なかったです。
そしてアレックスは攻撃を生き延びた一等航宙士・グリッグとコンビを組むことに。
イグアナみたいな皮膚をした笑い方が独特の陽気なナイスガイ。

「ワイフは1人、子供は6000」…家族写真を入れたフォトブックはデジタルフォトフレームを先駆けしているようでユニーク。
主人公たちの乗る機体がXウイングとタイファイターを足して割ったようなデザインなのに笑いましたが、大艦隊にたった1機で立ち向かうという無茶振りすぎる奇襲作戦には反乱同盟軍もびっくり。
戦闘機が宇宙を駆ける映像はポリゴン感バリバリなものの、機体のライトの光まで表現されていたり作り手の意欲を感じました。

防衛戦線とやらを表現した丸い機体がずらっと並ぶ宇宙空間の映像など、奥行きがしっかり感じられるのにもただただ感心。
最後は超高速回転攻撃で敵を一掃。ゲームをそのまま表現したような大胆映像に笑みがこぼれました。
主人公のいる宇宙とコピー人間のいる地球と…入れ替わって場面転換しながら話が展開していくところもスターウォーズっぽい。
地球パートがコメディ寄りになっていますが、幼馴染ヒロインが「愛してるわ」と呟いて最後の戦闘に突入するカットがドラマチックで胸熱でした。
敵側の目的や組織体制が掴みにくいのが残念で、帝国軍のような迫力がゼロ。
無能指揮官を皆でクビにするなど敵サイドでしっかり民主主義が機能しているようなのに笑いました。
母星を裏切って王様になってたハゲのボスは結局脱出ポッドで逃亡。ダース・ベイダーポジのつもりだったのか、続編も作る気満々だったようです。
大勝利をもたらし銀河を救ったアレックスは故郷へと帰還。でもさらなる戦いが待っていてまた旅立たなければならない…
地元を出るか出ないか、一生に一度の人生の選択。幼馴染ヒロインが付いていくかどうか迷うのがリアルでまたいいわね。
皆で見送るあったかエンディングにはほっこり、弟くんがゲーム機に向かうラストの画までとても美しかったです。
特典映像はまだ追い切れていませんが、本作の大ファンでグラフィックから筐体まで〝スター・ファイター〟を完全自作したという一般人おじさんが凄すぎて笑いました。
音楽までどことなくスターウォーズに似ていますが、ロマン溢れるオーケストラ音楽がエモーショナル。
あとヒロインの女の子が「ナイト・オブ・ザ・コメット」のキャサリン・メアリー・スチュワートだったのも嬉しかったです。
CGもこういう映像から進化していったんだなーと先駆者の勇姿にしみじみ感動。
夢と優しさの詰まった作品で、心ときめく1本でした。

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