どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女」…エクソシストか死霊のはらわたか!?どっちつかずで恐怖度半減

ブラムハウス製作の新作ホラー。

グロ描写炸裂で怖いと評判がよさそうなので観に行ってみることに。

「死霊のはらわたライジング」と同じ監督らしく、子供にも情け容赦なさそう…

エジプトに駐在している一家の娘が行方不明に。8年後に発見された娘はミイラの如く変わり果てた姿となっていた…

 

エクソシストミイラ版!?のようなストーリーですが、全体的な印象としては「死霊のはらわた」寄り。動的アクションが見所の作品になっていました。

個人的に自分がホラーを観ていて恐怖を感じるものの1つに「罪悪感を抱えこむこと」というのがありますが、本作にはそれが欠けていて人物描写がイマイチ。

家族の絡むオカルトホラーでは昨年観た邦画の「ドールハウス」の方が圧勝。

また同監督の「死霊のはらわたライジング」の方がコンセプトがハッキリしていてスッキリ。家族ドラマとしてもシチュエーションホラーとしても見応えがあったように思いました。

どうせならフルチ映画のような意識あり状態で棺桶に閉じめられる恐怖シーンがみたかったかも(笑)。

とはいえギャーッとなるグロ描写は冴え渡っていて、135分全く長さを感じず面白かったです。

エジプトのロケーション、子役たちの演技、Jホラー的演出など、豪快に楽しめる1本でした。

 


(※以下ネタバレありで語っています)

仕事の都合でエジプトに滞在しているチャーリー一家。

慣れない異国の土地での生活。仕事が気になって長女ケイティの相手をしてあげられないパパ。

そんなある日ケイティが魔女のような謎めいた女性に誘拐されてしまいます。

 

自分が家にいる間に子供がいなくなったら物凄い罪悪感だろうなあ…

後のシーンで夫婦が「あなたがちゃんとみてれば」「母親なのに娘のことを知らなかったのか」とやり合うシーンがあったけど、それ以前の場面で〝夫婦の燻ってる感情〟みたいなものがあまり描かれていなかったからか、総じてギスギス度は控えめに感じられました。

ずっとケイティの部屋を残していたところ、他の子供たちに過保護になって旅行にも行かせてないところ、父親がニューヨーク転勤の夢をあきらめたと分かるところなど、所々8年の歳月の痛みを感じさせる描写はあってそこはよかったです。

 

8年越しに突然帰って来たケイティは痛々しい姿になっていてショッキング。

飛行機事故の現場で謎の棺が発見されその中に入っていたのだと語られますが、こんな怪しいものを皆調査しないのか(笑)。

直角に佇んだ棺は女神転生の〝死神モト〟を思い出して、カッチョよかったです。

棺は何のためのもので、なぜケイティが選ばれたのか…現地の捜査官・ザキが謎を追うパートが度々挿入され、ミステリータッチになっている中盤が面白い。

 

元のケイティの人格はいずこに、全く意思疎通がとれず、奇行を繰り返すばかりの長女に絶望する家族。

ただでさえ初めて会うお姉ちゃんに戸惑う幼い次女・モード、8年越しの再会に複雑な気持ちを抱くクールな長男…きょうだいの苦悩が伝わって来て切実。

キリスト教信者で朗らかに振る舞う優しいおばあちゃんは、地獄絵図へのフラグにしか思えずヒヤヒヤさせられました。

 

お母さんは様変わりした娘を「家でみれる」と堂々宣言。

どうみても無理やろ、他の兄妹のことも考えて、と思うけど、娘を再び失いたくない気持ちから抱え込む気持ちも分かる気がする…

異様に固い汚れた爪を切ってたら封印アイテムだった包帯の一部がベリーッ。

皮膚かと思ってビビりましたが、お母さんのケアがきっかけで悪魔復活の道が開けるのも嫌な感じ。

お父さんとモールス信号でやりとりする場面はゾッとする目玉シーン。

「エクソシスト」のhelp meを思い出しつつ、娘ちゃんにも意識が残っていることが分かって辛い…

 

父・チャーリーは剥ぎ取られた包帯に書かれている謎の文字を発見し、エジプト文字を知る専門の教授に解読を依頼。

古代エジプトの強力な悪魔をミイラ化させて封印していたらしいことが発覚しますが、祈祷師や呪い師のような人は結局登場しないまま。

「エクソシスト」は医者や教会や色んな人が絡んできて現実世界との足場がありつつ悪魔の存在を認めていくのがやっぱり恐ろしかったよなあ…とついつい比べてみてしまいました。

 

後半は一気に「死霊のはらわた」的地獄絵図が展開。

〝悪意が感染する〟と教授が説明していたけど、あっという間に悪魔側になってしまう次女と長男。

お父さん・お母さんがこの2人を結構放置しててどうなんと思ったり、1人ずつ子供を失っていくタメがあった方が怖いのになあと思ったり…

スピーディーすぎてやや味気なく感じられましたが、「昔お人形を投げられた仕返しよ」と長男に毒づくお姉ちゃんが鬼畜。

その後長男が自分の頭をガンガンしてるところは罪悪感に支配されて取り込まれたような感じがして、所々怖くて良さげなシーンも。

 

そして十字架で首を絞められたおばあちゃんが窓からダイブ。

車にドン!!と来るところはオリヴァー・リードの「家」を思い出してショッキング。

おばあちゃんのお葬式で天井から這ってくるところは「エクソシスト3」リスペクト!?

次女が入れ歯入れてるのにギャーッ。

気前のいいグロ描写が炸裂するも、この辺りからエジプトミイラの特別感が薄まってしまって何でもあり、逆に恐怖度は薄まってしまったように感じました。

 

絶望的カオスの状況の中、真相を掴んだ捜査官・ザキがエジプトからやって来ます。

ケイティの取り憑かれる様子を記録したビデオはJホラーっぽいジメッとした怖さ。

冒頭で登場したエジプト一家のお母さんがケイティを攫い、悪魔を閉じ込める器にケイティを選んでいたことが明らかになります。

「若くて純粋な子供の方が器として長持ちする」…どうやらケイティはたまたま近所に住んでたから選ばれただけのようです。

この辺り「娘を亡くした母親が一家に嫉妬して…」とかだともっとジトっとしててよかったのかな、と思いましたが…

 

魔女のようなこの女性は邪神を閉じ込める役割を長女だからという理由で担っていたらしく、ある意味このお母さんも被害者ではあったのかしら…

でもあの砂漠地帯で一家の周辺だけが潤っていたことを考えると、悪魔を利用して何かしらの利益を得ていたのかしら…

この辺りの設定がよく分からんままでした。

冒頭で不気味に鳥が死んでいて、その後棺を見に行って夫が死亡…あれは器が古くなってしまって悪魔の眠りが終わろうとしているサインだったのかなあ…と何となく脳内補完するかたちで鑑賞しました。

 

クライマックス、圧倒的悪魔の力にボロボロになる大人勢。

「私を味見するかい?」蘇った死体おばあちゃんも大暴れ。

赤の他人なのにめちゃくちゃ身体張ってくれて、蠍に喉を引き裂かれても呪文を唱えるザキ、メリン神父より強い(笑)。

そして父・チャーリーが娘の新たな器となることを選択しその場を鎮めることに成功。

最後はお父さんの愛、娘に謝りながら身代わりになるシーンは切なかったです。


その後、3人きょうだいが仲良くゲームに興じる姿が映し出され、どうやら子供たちは助かった様子。

しかし妻・ラリッサはザキの手を借り、生き残って刑務所に収監されていた魔女のもとへ…夫から悪魔を彼女に移し替えて新たな器にすることに。

復讐を遂げたハッピーエンドといえるのか、悪魔が延々と堂々巡りするバッドエンドなのか…器が古くなればまた新たな生贄を探さなければならず、この一家がその罪を背負ったと考えるとやはり結構な陰鬱エンドに思えるラスト。

ホラー映画らしい円環するバッドエンドはよかったなあと思いました。

 


序盤から中盤までのミステリーホラー&家族ホラーのムードの方が好みでしたが、後半はグロ描写全開の動的ホラーに。

あまりミイラ要素が感じられず、どうしても似たシチュエーションの「エクソシクト」と比較。

病院検査シーンや老人病棟の描写など、現実と接点のある「エクソシクト」の恐怖は圧巻だったなーと足下にも及ばない。怖さを期待すると個人的には肩透かしのホラーではありました。

 

エクソシストか死霊のはらわたか!?リー・クローニン監督はハッチャけたB級ホラーの方向に突き進んでくれた方がいいんじゃないかなあと個人的には思いましたが…

お話は綺麗にまとまっていて、長さも感じず観やすかったのはグッド。

色んなホラー要素が詰めこまれた結果恐怖度が下がってしまった気もするけれど、充分楽しめる豪快な1作でした。