どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「フェイドTOブラック」…映画オタク青年の孤独、映画に罪はあるか

映画マニアの青年が心を病み、映画のキャラクターに成りきって殺人を繰り返す…

1980年公開のスラッシャームービーですが、主人公の闇深さが映画好きにはヒヤッとするものがあり、後続の作品にも影響を与えているのではないかと思われる秀作です。

<エンタメ・プライス>  フェイド TO ブラック [DVD]
 

エリック(デニス・クリストファー)は1日3本の映画を観るマニア。部屋には映写機も完備、ポスターや雑誌の切り抜き、グッズが溢れています。

自分とはみてる映画の年代が異なるものの、ビデオテープが普及して引きこもりがち、自分の世界で現実逃避という姿は90年代のオタク像と重なるものがあるように思われます。

そしてとにかくこのエリックがイタさ全開。

誰彼構わず映画クイズをふっかけ、相手が答えられないと「そんなことも知らないのかよ!」とマウントを取ってくる。

ミッキー・ローク演じる同僚に「カサブランカ」のリックのラストネームは?とクイズ勝負

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作中で実はあまり触れられてない、答えられそうで答えられないイヤらしい問題を投げつけてドヤ顔。

でもこのイタさなんか分かる気がします。クラスでメジャーな大作映画が話題になってたときに「こんなのでハシャいじゃってさー」と内心斜に構えつつも実は寂しいみたいな気持ち、自分も青春時代にあったなーと思います(笑)。

オタクなら多少誰もが持ち得る感情じゃないでしょうか。

 

こじらせエリックくんも内心はモテたくてたまらず、街でマリリン・モンローに似た女の子を見掛けると一目惚れ。

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しかし彼女はデートの約束に現れず、代わりに近くにいた娼婦に声をかけますが相手にされず逆ギレ…とかなりのクズです。

映画のフィルムを管理する会社で働いているものの、勤務態度は最悪ととことん自分に甘い性分のよう。

 

しかし彼の家庭環境が鬱の掃き溜めでまたどうしようも無い気持ちにさせられます。

車椅子生活をしている伯母と2人暮らし、介護を手伝ってはいるけど生活は伯母に頼りきりというズブズブの共依存関係。

「あんたのせいで足を失った」と子供の頃の事故を責められ、「姉妹でスターになるはずだったのにあんたが生まれたせいで夢が壊れた」などネチネチ責められます。

これだけでもお腹いっぱいなのに終盤驚愕の事実が明かされその闇深さにはウッとなりました。

こういう生活背景をみてしまうと「強力な現実逃避が必要で趣味に依存するかたちになったのかもしれない」と思わせるのですが…ある日エリックは怒りに任せて伯母を殺害。そこから精神が完全に崩壊してしまいます。

 

決して血が飛び出るわけではないのに殺人シーンがとても不気味な本作。

エリックは映画に登場するキャラクターに扮して次々に自分を馬鹿にしていた者たちを手を掛けていきます。

「白熱」のジェームズ・キャグニーボリス・カーロフのミイラ男…

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クリストファー・リーの「ドラキュラ」に成ろうとメイクを半分しての姿。

現実の人格と、怒りを引き受けさせたヴィランの人格が分裂しているかのような、精神の病みを感じる迫真のシーンです。

 

題材的にこの作品、映画ファンによっては不愉快に思える内容かもしれません。

映画と現実の区別がつかなくなることなんてないよ!!ホラーや暴力描写をスケープゴートにしないでよ!!…というのは自分も常日頃よく思うことです。

以前ホラー映画監督のスチュアート・ゴードン「ホラー好きな人は礼儀正しい人が多い。負の感情をホラーで発散しているんだ。」などと語っていた憶えがあるのですが、でもそういうストレス発散が自分も映画を楽しむ目的の1つかなと思います。

それに世の中綺麗な良いことばっかりじゃないし時には怖いもの、悲しいことを知ることで人の痛みを想像できるいい面もあったりするよね、とも思います。(←スプラッタを笑いながらみる奴が言うことじゃねえだろ、って感じですが)

 

「ロックを聴いて自殺する奴はロックを聴かなくても自殺する」フランク・ザッパの言葉だったでしょうか。

結局エリックも根底にあった孤独が問題であって、映画オタクでなければないで、何が引き金になったかは分からないだろう、映画のせいにしないでくれと自分も思うのですが…

劇中エリックが嫌なことがあったときに映画のシーンを思い出しては「こうだったらな」と妄想する場面では白黒映画の映像が〝現実〟にインサートされるのが印象的でした。

現実と区別がつかない人って感じでとても怖いのですが、自分も映画や漫画の世界に浸って現実逃避をしていることがたくさんあったなあ…というか今でもあるなあと思います。

虚構で感情を浄化するというか、趣味から勇気や元気をもらえている分にはいいけど、そこにしか居場所を見つけられくなると人間こんな風に壊れてしまうものなのか…とゾッとさせられるものがありました。

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「フェイドTOブラック」は80年につくられた作品ですが、アメリカンニューシネマも終わり映画は商業主義へ…エリックがクラシカル作品を好みマリリン・モンローに恋焦がれてるところも失われたものへの憧憬、次の世代の危惧なのかな、とも思わせます。

(自分は暴力描写たっぷりの映画に浸っためちゃくちゃ次の世代ですが)

ラスト、チャイニーズシアターでエリックの様子を恐る恐る&興味津々に見守る群衆の姿はまさに観客(=自分自身)そのもので、暴力を楽しむ人間性を突きつけられたような、「ファニーゲーム」的恐怖も感じました。

 

昔「スクリーム」というホラー映画のパンフレットを読んだ際に鷲巣義明さんが本作からの影響があるのでは…と指摘されていて気になってみた1本だったのですが、確かに映画クイズしてくるところなんてすごく重なりますね。

主人公の境遇は「ジョーカー」(←未見)に似てたりするのかな。

エリックは「トゥルーロマンス」のクリスチャン・スレーターにもどこか通じるものがある気もしました。

埋もれているには中々惜しい秀作。

「ドーン・オブ・ザ・デッド」…意外に悪くないリメイクだった

ロメロ版のゾンビを先に観ていたので、リメイクはきっと観るに値しないだろうなーと公開当時期待ゼロで映画館に足を運びました。

匠の一皿なんて期待したらとんでもなく不味いものが出てくるに違いない…身構えていたら出てきたのはハンバーガー。あれ、なんか違う?思ったより旨いやん、そんな感じの映画でした。

2000年代の走るゾンビとしては「28日後」の方が先だったんですね。

ロメロゾンビと全く違う早い動きのゾンビに慣れる間もなく破壊されていく町から逃げるオープニング…冒頭から疾走感がすごかったです。

しかしあっさり他の人たちと合流し、あっさりショッピングモールを発見。

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↑返り血のついた手を噴水で洗うヒロイン。「彼岸島」レベルで感染が心配になるけど何も起こらなかった。

頭を撃てばOKというルールは適応されるようでちょっと一安心。

そして今回は仲間がどんどん増える。女性7人、男性8人。

人数が多い分、人間ドラマはテレビドラマのダイジェストみたいになっちゃってました。

妊娠した妻を庇っていたけど赤ちゃんもゾンビだった…のドラマももっと描写があれば感情移入できそうだけど、すごいサクサク進められちゃうのでグロさだけが際立って悲壮感が全く伝わってこない。

オリジナルにあったような虚無感はゼロ。でも皆んなでDIYしてるところは何だか楽しそうでした。

良キャラの1人は離れた武器屋で籠城するアンディ。

あんな世界で1人ぼっちは嫌だなあ、プラカードだけでも会話できてよかったなあとこの人は顔が映らずともキャラクターの気持ちが伝わってきました。

犬に食事を届けさせたら悲劇が…犬に非はなくむしろ訓練もしてないのによく口笛だけで届けに行ったね、と名犬だったのですが残念です。

そして圧倒的に男前だったのはCJ!!

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最初こそ態度は最悪だったものの根っからの悪党ではなかったようで…突然めっちゃいい人になったように思えるのでもう少し人柄に迫るエピソードがみたかったです。

仲間を見捨てず常にしんがりを務め「エイリアン2」のバスケスのように自爆。生き残ってほしかった。

 

映像は今みるとCGと分かってしまうようなゲーム画面みたいなところも多いし、話も改めてみると粗が多いです。

何で冒頭でのショッピングモールはあんなにガラガラだったんだろう、メル・ギブソンにちょい似な金持ち男の船を何で一瞬で見分けられたんだろう…と腑に落ちない点もちらほら。

突き抜けてボンクラ映画してるわけでもないからチグハグに思えてしまうけど、出てくるゾンビの速さと疾走感で何だか誤魔化されてしまいます。

ガントレット」みたいにバスでゾンビを突破するクライマックスは素晴らしく、絶望感たっぷりの中あの手この手で戦うのにドキドキしました。

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最後の船→孤島は「サンゲリア」を意識してるのでしょうか。(トップレス女性も一瞬映ったことだし)

テレビニュースの映像で、トム・サヴィーニケン・フォリースコット・H・ライニガーが出演しているのは嬉しかったです。

昨年みた「サスペリア」のリメイクは受け入れられなかったのにこっちは良いと思うのはなんでだろう…リスペクトがきちんと感じられるからかな。

人間同士で争ってしまうという基本のドラマを要所要所で取り入れつつ、ゾンビについては中途半端に模倣せず潔く別モノとして見れるようにしてくれたのが良かったのかな、と思います。

オリジナルにあった政治色も哲学も人間ドラマも皆無、ゾンビそのものの出来も比較にならないのですが、総じてみると悪くないリメイク作品でした。

 

「乱気流/タービュランス」…変態レイ・リオッタとダイハードな対決

護送中の犯人が上空1万メートルの機内で野放しに…!!

公開時大コケだったらしいですが、スカイパニックもので面白かった作品。

乱気流 タービュランス [DVD]

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  • 発売日: 1998/10/23
  • メディア: DVD
 

クリスマスを迎えようとするケネディ空港。ロスに向かう便の乗客はわずか11人…とガラガラの飛行機。

しかしその中には護送される犯罪者2名と同行の警官4名も含まれていました。

犯人の内の1人がレイ・リオッタ。ブロンド美人と付き合っては殺害を繰り返す絞殺魔らしいのですが、本人曰く濡れ衣。

彼を捕まえたという刑事がどこか胡散臭いので、もしかしてホントに無罪??…とミスリードしますが、まあレイ・リオッタなんで初めから普通にめちゃくちゃ怪しいです。

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↑この笑顔、信じられん。

一方主人公はローレン・ホリー演じるフライトアテンダントのテリー。ベジタリアンで死刑制度に反対という心優しい女性ですが男運は悪し。

「犯罪者の接客はしたくない」などと語る同僚に代わって護送犯にも分け隔てなく接しました。そんな彼女に好印象を持つレイ・リオッタ

ところがもう1人の護送犯スタッブズがトイレに立った際に警官を襲い銃を奪って人質をとります。

当たり前のように機内で発砲しまくる人たち。大丈夫なんかいと思ってたらやっぱり機体に穴空いてゴゴゴー。

しかしそれをアタッシュケースで塞いで事なきを得るという離れ業をやってのけます。

てっきり護送犯と一緒に大暴れするかと思ったレイ・リオッタはどさくさに紛れて自分の手錠を外し、警官と犯人を相打ちさせつつ皆を救った味方面をします。
まさに場を支配するサイコパス…!!

 

しかし早々ボロを見せ始め、他の乗客を監禁し、殺人鬼とヒロインの一騎討ちへと進んでいきます。

なんと言ってもレイ・リオッタのネチネチしつこい悪役ぶりが素晴らしい本作。

女性を手にかける際には、「好きな本は?映画は?音楽は?」と相手の好みを知ろうとし、幼少期の思い出などを探ってきます。

完全にレクター博士ごっこ。でもこれがこの人の一種のプレイなんでしょう。

テリーの同僚女性に迫ると、

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…と質問を浴びせてきますが、

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…と答えると「寂しい女だ」と言って彼女に襲いかかります。

かましいわ!!と何だか腹立たしい気持ちになってきます。

一方主人公テリーの好きな映画は…

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夢見がちだと一蹴されますが、前半頼りなさげだったヒロインが力強く変態男に立ち向かって行く姿がカタルシスです。

 

先の発砲騒ぎの際に操縦士2人も命を落とすというアクシデントもあってヒロインが何とか着陸させるしかない!!

それなのに天候は極めて悪く嵐に突入、乱気流で飛行機はアップダウン。

機体が真っ逆さまになった中、変態レイ・リオッタと追いかけっこするシーンはもっと盛り上がっていいと思うのですが、画面が終始暗めで見辛いのがとても残念です。

着陸をサポートする管制塔の人たちとのやり取りは「新幹線大爆破」の千葉真一宇津井健の掛け合い然りこういう作品ならではのテンプレが展開。

レイ・リオッタの方は「自分はどうせ死刑になるから」とハナから助かる気はなく、少しでも他人を道連れにしようとロスに飛行機を落とすべく邪魔してくる、本当に嫌な男です。

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↑コックピットの扉を斧持って破ってくるところは「シャイニング」のパロディっぽい。

変態男が痛い目に遭いつつ成敗されるのにスカッとします。

 

ラストシーンに着陸をサポートしてくれた機長たちと挨拶を交わすところは「ダイハード」のような雰囲気。機内上映で掛かっている映画は「素晴らしき哉、人生!」と意外にちゃんと?クリスマス・ムービーしています。

もうちょっと機体のアクションの映像に迫力があればなあ、乗客のキャラクターも話に絡められなかったのなあ、と磨けばもっと光りそうな作品に思われますが、レイ・リオッタはいい悪役ぶり。

ポンコツボンクラ映画としては大変満足な1本でした。

 

「エクソシスト」/疑問点整理&DC版・劇場公開版・原作の比較

久々に観た「エクソシスト」がとても面白かったので、原作本を再読、DVDのオーディオコメンタリーを倍速で視聴しました。

改めてみて色々気付くところもあり、ストーリー上分かりにくいと思った疑問点と、73年の劇場公開版と98年のディレクターズカット版の違いについてなど、思ったところを箇条書きであげていきたいと思います。

 

◆バークを殺したのはリーガン?
クリスの友人・映画監督のバークを殺したのは悪魔が取り憑いたリーガンでした。

途中カールという執事がバークと口論している場面があり、この人がかなり怪しく見えてしまいます。

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原作を読むとカールには麻薬中毒の娘がいて、妻にその生存を隠しながら密かに面会していたということが発覚、事件時のアリバイが立証されています。


◆リーガンの枕元に十字架を置いたのは誰?
信仰のないクリスはリーガンの枕元に十字架が置いてあるのを発見し皆を問い詰めますが、全員否定。

ここも原作から補完するかたちになりますが、若い女性秘書・シャロンは仏教にハマっているらしいので彼女とは考えにくいです。 

麻薬中毒に苦しむ自分の娘と重ねて心配に思ったカールが置いたと考えるのが妥当ではないかと思いました。

フリードキンもオーコメで「カールかその妻のウィリーだろう」と語っています。

良くなりますようにって思っての行動で悪気があってしたわけじゃなさそうです。

 

◆マリア像を汚したのは誰だったのか?
同時進行で教会でマリア像が汚される事件が起き、警察はこちらも調査していました。 

この事件は「町から信仰が失われている」ことを象徴的に描きたかっただけで特に犯人とか粗筋に関係ないのかなと思っていたのですが、マリア像に付けられた粘土はリーガンが使っていたものと同じだそうです。(※フリードキン発言)

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同様に原作でも「リーガンが工作で使っていたのと同じ塗料がついてる」とありました。

しかし近所の教会とはいえ、子供のリーガンが夜中に忍び込んで一仕事やるのはかなり難しそう。出来てしまうのが悪魔の所業なのでしょうか。


◆クリスはバークと本当に付き合ってた?
小説を読んでも明確に男女の仲という描写はなく、友達以上恋人未満な関係に思えました。

しかしこういう事には子供の方がずっと敏感で、実際にそういう関係でなくてもリーガンの中で「行く行くそうなる」と思わせる何かがあったのかもしれません。

娘を愛するクリスも決して完璧な親ではなく、「もう少し子供の気持ちを省みていれば悪魔は取り憑かなかったのか?」などと思わせるところがこのドラマの怖いところだと思います。

 

◆なぜバークはリーガンの部屋に行ったのか?
秘書が薬局に行かねばならず偶然家に立ち寄ったバークに家を任せたということでしたが、リーガンの部屋にまで行く必要があったのか??

小説を読むとバークの霊(のフリをした悪魔)が「助けを呼ぶ声がしたので部屋に行った」と語っていました。

しかし映画の方のバークはどうにも嫌な奴にみえて「業界人だし娘に変ないたずらしに行ったんじゃないだろうか」「本当に自分で窓から落ちたんじゃないんだろうか」などと思わせてより疑心暗鬼にさせます。

 

◆最後のカラス神父は自殺?
ラストシーン、カラス神父が窓から飛び降りる場面は「悪魔がカラス神父に取り憑いて自殺に追い込んだ」と解釈した人が公開当時かなりいたそうです。

確かにカラス神父の表情が、悪魔の取り憑いた顔→本人の顔に戻る。そして本人の顔のまま窓にダイブするので、「悪魔は逃げて神父だけ殺されてしまった」と思う人が多かったのかも。

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制作陣の意図としては「悪魔に支配されリーガンを殺しそうになったのを自ら犠牲にすることで打ち勝ってみせた」ということなのだと思います。

 

◆73年公開版とディレクターズカット版のラストの違いは?
73年公開版のラストでは、ダイアー神父がカラス神父の付けていたメダルをクリスに渡そうとしますが、クリスがそれを「あなたが持っていて」と言って受け取らずに車が発車。1人残ったダイアー神父がカラス神父の亡くなった階段をみつめ思いに浸るところで終わります。

メダルはカラス神父の心、信仰心を象徴するものだと思うので、助けてもらったのにこれを返してしまうクリスが冷たく映ります。

親しい人が持っているべきと良かれと思っての行動だったとも取れますが…

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対してディレクターズカット版のラストは、クリスがメダルを返そうとするもダイアー神父がそれをクリスの手に戻して車が発車。

「記憶を失ったはずのリーガンが神父の襟元をみてダイアーを抱きしめる」という先のシーンも生きて、カラス神父の思い、善なる心が引き継がれた…という感じがします。

加えてカラス神父を思っていたダイアー神父の下にキンダーマン警部が現れ、2人の友情が始まりそうなエンディング。ここも一段と明るくなっていて、原作に忠実です。

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73年公開版は寂寞とした感じがアメリカンニューシネマっぽい気もしますが、ディレクターズカット版のエンディングの方がいいなと思います。

 

◆ラスト以外でディレクターズカット版に追加されてる点は?

その他ディレクターズカット版には、冒頭ジョージタウンの景色が追加され、リーガンの診察場面/医者とのやり取りのシーンが増えています。

診察場面は得体の知れない病に冒されている恐怖のリアリティがあって加えられて良かったと思います。

また所々に「悪霊の顔がサブリミナルのようにあちこちにチラッと映る」というエフェクトも加えられていました。

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「一連の出来事は悪魔の仕業」と明快にしたかったのかもしれませんが、これが返って陳腐になっているように思われます。

リーガンが階段をブリッジして降りてくる有名な「スパイダーウォーク」の場面もディレクターズカット版のみの場面です。

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自分はディレクターズカット版が劇場公開されたときに映画館に観に行ったのですが、この場面で笑いに近いどよめきが起こったのを憶えています。

怖さを強調しすぎて滑稽になってしまったような節があり、オリジナルの「悪魔の仕業なのかギリギリまで分からないリアルさ」が損なわれて、悪霊エフェクト含めここはなかった方が良かったのではないかと思われます。


◆原作はより宗教色が濃い
映画の脚本も原作者ブラッティが担当していて映画はほぼ原作に忠実な作りでした。

あえて言うなら原作はよりメリン神父のキャラクターが掘り下げられていて、信仰のテーマが強調されているように思われます。

「つまり悪霊の目標は、取り憑く犠牲者にあるのではなく、われわれ…われわれ観察者が狙いなんだと。」
「やつの狙いは、われわれを絶望させ、われわれのヒューマニティを打破することにある。」

こうした部分を読むと何となく旧約聖書ヨブ記がテーマなのかなと思う作品です。

ヨブ記では…
信仰に厚い人ヨブについて悪魔が「そういられるのは恵まれてるからだ」と評し、それを聞いた神は「ヨブの持ち物を好きにしていい」と悪魔に許可を出します。

そうしてヨブは財産も家族も失い大病を患って…と地獄のような目に遭いながら信仰を試されていきます。

神様鬼畜すぎるよ!などと自分は思ってしまうのですが、「この世には苦難もあるがそれと対峙してなお善を保てる人間の存在、人間の善性こそ神の作られたもの」というのが信仰ある人の受け止め方なのかなと思いました。

「ポセイドン・アドベンチャー」もこのヨブ記に似たテーマを感じます。

 

◆鬼畜フリードキンだから撮れた傑作
ブラッティはフリードキンのことを「信仰心がない」「だけど正直な人」と評していて、エンディングなど不服に思うところもあったものの映画の出来は認めているようでした。

そしてフリードキンは過去に自ら行った鬼畜エピソードを語る、語る…

イラクでの撮影では106歳の老婆に6回NGを出してヘトヘトにさせた
・悪魔の声を演じる声優さんをイスに縛り付け、タバコ3箱吸わせて生卵飲ませて演技させた  

そんな人が「これは信仰心の映画です」と語っているのが何だか可笑しくて笑ってしまいました。

でも情容赦ないリアル主義がオカルトのテーマと上手く溶け合って、「エクソシスト」をただならぬホラーにしたのだと思います。

個人的には信仰悪魔うんぬんよりカラス神父のキャラクターと身内が病気になった辛さを克明に描くドラマの方に心揺さぶられました。

dounagadachs.hatenablog.com

エクソシスト」の考察は昔読んだ「映画秘宝」の特集が読み応えがあってすごく面白かった記憶があるのですが、部屋を探しても雑誌がどうにも見当たらず、もし見つけたら照らし合わせたいところです。

あとブラッティが監督したという「エクソシスト3」を観てないので、こちらも改めてみたい!と思いました。

 

闘病映画としてみる「エクソシスト」

全然ジャンルが違う作品ですが、先日鑑賞した「奇跡の人」は個人的にホラー映画の「エクソシスト」と似ているなあと思いました。

・突然我が子に異変が起こる
・訪問者が苦しむ少女と家族を救う
・サリバン先生はキリスト教の信仰者
・子供との取っ組み合いシーン

…など色々重ってみえるところがありました。

怖いホラー映画のイメージが強い「エクソシスト」ですが、リーガンのモデルとなった少年の症状は今では抗NMDA受容体抗体脳炎という病気が当てはまるのでは…と言われているそうです。

「観る人によって解釈が異なる」とフリードキン監督も語っていましたが、「エクソシスト」は〝闘病モノ〟〝医療ドラマ〟としてみるのも1つの楽しみ方なのかな、と思う作品です。


◆子供が突然病気になる恐怖

自分が初めて「エクソシスト」を観た際、もっとも恐ろしいと思ったのは冒頭、「悪魔が取り憑いた」と思わせる静かな場面でした。

不審な物音がして子供部屋の窓がなぜか開いている…ただそれだけで突然何の因果もなく災いがやってきたのだ…と分かるシーンがなぜかすごく怖かったです。

様子のおかしい娘を母親が病院に連れて行くと、「よく分からないが多分この症状なのでとりあえず薬出しときますね」などと言われてしまうのも何だかリアルです。

お医者さんが決して悪いわけではなく、明瞭ではない分野の病気があって確かな治療が存在していないというところが圧倒的ホラーです。

昔読んでいた映画秘宝という雑誌にて、
エクソシストで最も残酷なシーンは悪魔の特殊メイク云々ではなく子供が病院で精密検査を受けているシーン」
…なんて書いてあった憶えがあるのですが、確かにこういう場面が観ていて1番しんどい。

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検査の音は大きなノイズとなって耳に入りリーガンのストレスがそのまま伝わってきます。

そして小さな子供が物凄く痛い思いをして検査して大人数の医者が集まっても結局何もわからない。

正体不明の難病にかかるというのはこんな気持ちなのだろうか…と目の前が真っ暗になるような絶望感を味わされます。

 

子供に悪魔が取り憑いたというのを、いきなりの豹変ではなくじっくり観せてくるところが「エクソシスト」の素晴らしいところですが、「思春期にストレスが重なってリーガンのメンタルが病んでるだけなのかも」と思わせる丁寧な描写も秀逸です。

母親の仕事の都合で各地を転々と暮らす、1人遊びをしていることが多い、父親の無関心をなじる母の電話を1人でこっそり聞いている…とリーガンはどこか孤独な子供です。

母親のクリスは信仰心のない人として描かれていますが、特段悪い人とも思えません。

娘を思う気持ちは本物で、なりふりかまわず周りに助けを求めました。

その気持ちを汲み上げたのがカラス神父でした。

 

◆介護に悩むカラス神父

実質物語の主人公ともいえるカラス神父は親の介護で悩んでいます。

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お母さんは最初に足を悪くしたようで、それから外に行けなくなり地域から孤立。加えて認知が低下し始めたようで息子の話をきかないという姿が何ともリアルです。

イエズス会のサポートを受けつつ精神科医になった優秀なカラス神父。常日頃は人の悩みを聞く立場で、なかなか仕事もやめられない。ワシントンから少し離れたニューヨークまで毎日介護には行けない。

ギリシア系移民で貧しい子供時代を過ごしてきたと思われ、キャラクターのこれまでの人生、暮らしぶり、そのしんどさが克明に伝わってきます。

とうとう病状の悪くなったお母さんが入院する精神病棟のシーンもとても怖くて強烈に残る場面でした。

身内によい医療を提供できないという罪悪感、精神疾患を抱えた人の置かれる環境の厳しさ、優しい人さえ自分の愛する人がそうなった時に優しく出来ない姿…このシーンだけで怒涛の感情が押し寄せてきます。

なぜ人生こうもしんどいことばっかりなのかと信仰を疑うカラス神父。

しかしリーガンを救ったのはメリン神父ではなくこのカラス神父の方でした。

 

ブラックジャックでサリバン先生なカラス神父

悪魔祓いの歴戦の猛者だというメリン神父は密かに心臓病を抱えていましたが、教会の人たちはその実情を把握しないまま人事を決定しています。

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↑「墓掘るくらいなら元気!」とは限らなかった…

一方悪魔祓いの経験のないカラス神父は最後まで聴診器でリーガンを〝診察〟していました。その姿は聖職者というよりむしろ医者にみえます。

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原作小説では最後の闘いの前にカラス神父が子供時代に飼っていた犬の死を思い出す場面がありました。

病気でごはんを食べられなくなった飼い犬にミルクを飲ませようとするも上手くいかない…近所の男性からジステンバーだから早く注射するように教えてもらうもその矢先に犬は死んでしまう…

理不尽な死を嘆く姿と命を助けたいと願う強い想いが印象的でした。

 

ラスト悪魔との対決で心折れそうになるも、母親クリスの一言がカラス神父を再起させます。

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「娘は死ぬの?」……愛する人を失いたくないクリスの気持ちは、カラス神父の母親に対する思いと全く同じものでした。

信仰の垣根を越えた共感、同じ痛みが分かるからこそ何としても助けたいと願った献身が最後に子供を救ったというところに感動があると思いました。

その姿は同じ障害を抱えるものとして教え子を導いたサリバン先生や、自ら過酷なリハビリを経験したゆえに必死に生きる患者を助ける医師のブラックジャックのような人物像と重なります。


メリン神父と悪魔パズスの対決は運命めいたもののようですし、信仰心がテーマの作品なんだろうなあ…キリスト教の素養があればもっと広く深く楽しめる作品なんでしょうけど、病気、闘病を描いた作品としてみても心に迫るものがある作品だと思いました。


めちゃくちゃ強そうな師匠キャラのメリン神父があっけなく死んでしまってカラス神父が1人残されるところは、「うわあああー!!」と叫びたくなる怒涛の少年漫画的展開でバトル物的面白さも感じます。

カラス神父役の俳優さんは決してイケメンではないけれど、悩み苦しみながら戦いに向かって行く姿はヒロイックで、すごく色気と愛おしみを感じる主人公で大好きでした。

 

「奇跡の人」…ド根性サリバン先生のバトルと愛に涙

決して重くも暗くもなく、サリバン先生がカッコよくてラストにはスカッと明るくなれる作品でした。

奇跡の人 [AmazonDVDコレクション]

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  • 発売日: 2019/07/24
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子供の頃図書館にあった「世界の偉人」の漫画でヘレン・ケラーの話を読んだ憶えがありましたが、有名な「み…ず…」の場面は言葉を初めて獲得したんだとその感動は子供にも伝わってくるものがありました。

生後6ヶ月で視覚と聴覚を失ったヘレン。

映画はお母さんが我が子の異変に気付く場面から始まりますが、赤ちゃんを映さず母親の恐怖の表情を捉えた見せ方が白黒映像も相まってまるでホラー映画…一気に引き込まれるオープニングでした。

 

◆言葉がないというストレス

その後成長したヘレンは手探りであちこち移動し、ご飯も手掴みで食べる。

しかし会話が全く出来ず癇癪を起こして暴れ回ってしまい、家族は疲弊していきます。

自分が普段意識せずやっていることの不都合さを想像するのは難しいことですが、自分の意見を的確に伝えられないとか、せっかくいい映画を観たのに貧相な語彙力で感想が浮かばないとか…
言葉がない、言葉を伝えられないということは人間にとって結構なストレスなのかなと思います。

言葉の概念すらなくただ内に感情の波が渦巻く世界。音も光もなくヘレンはどんな世界にいるのだろう…と説明描写なしでも子役の演技だけで想像させられるものがありました。

 

サリバン先生が現れると手でアルファベット文字を作り何度も手の触覚にそれを伝えて行きます。次第にそれを模倣するヘレン。

視覚がないのによく指の形を覚えて真似できるなあとそっちに驚いてしまいますが、感覚の幾つかが遮断されても人間の脳は思いもよらぬ適応をみせるものなのかと神秘的にすら思えました。

しかしそれが物の名前を表しているということが理解できない。

なぜ模倣ができるのにそのことが理解できないのだろう…見ていてもどかしくサリバン先生も葛藤しますが、それでも諦めずにひたすら反復する。

1万回ダメなら1万1回目もダメだろう、でも2万回やってやるわ!!みたいなある種のスポ根精神を感じさせるドラマに奮い立たされます。

ヘレン・ケラーはその後の人生の逸話をとっても、元々相当頭のいい人だったんじゃないかと思わずにいられませんが、初めの1歩になったサリバン先生の努力が奇跡だったんだなーとラストのWaterの場面は知っていても涙が止まりませんでした。

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◆厳しいしつけって難しい

途中サリバン先生がヘレンを「椅子に座ってスプーンで食べるように」と躾ける場面がありますが、このシーンがとにかく壮絶でした。

もう殴り合いの格闘戦!今だと「虐待だ」と通報されそうな大乱闘。

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家族はヘレンに同情して甘やかしていたけれど、サリバン先生だけが彼女を対等な人間としてみて「生活すること」を教えようとする。  

人間辛いことがあって「自分だけが」と心を閉ざして楽な沼に浸かろうとするのは大人でもそうだと思います。ヘレンの姿は障害のありなし関係なく考えさせられるものがありました。

また両親が子離れできず過保護になってしまう姿もリアルでした。

人生をサポートすることと依存は違うけれど、1歩間違えるとこういう落とし穴にはまってしまうというのはどんな子育てでもあり得ることなんじゃないかと思いました。

あるいは子育てでなく仕事でも、特定の仕事が特定の人に集中していたりするとあとで困ったりする…けれど人に伝えて残していくということはそれだけしんどい、労力のいることのような気もします。

相手とぶつかっても根気よく向かい続けるサリバン先生の姿勢に圧倒されました。

 

◆サリバン先生の過去

サリバン先生自身も弱視で障害を抱えていたというのは有名なエピソードですが、本作では劣悪な環境の施設で育ったという過去も描かれていました。

ヘレンの方がずっと障害は重いけど、ヘレンは両親に愛され、家は裕福で家庭教師を雇える。外の世界と繋がり学ぶ機会が用意されていたという点では、弱者であるけどサリバン先生より恵まれた存在ともいえます。

同じ障害を抱えたものとしてヘレンの孤独が分かった。より過酷な環境にいたからこそ学ぶことの貴重さを知っていた&その中で自分が知った学ぶ楽しみを伝えたいという思いがあった。損得勘定なしの無償の愛が最後に打ち勝ったのではないかと思いました。


オスカーを受賞したという主演2人の演技は素晴らしかったし、ヘレンの家族の人たちもいい味出してました。

お父さんの方は最初はすごい距離感だったけど娘を愛する気持ちは本物ではあって、南部の頑固親父が北部女性のサリバン先生と和解する、というドラマもアメリカ映画のハッピーエンドらしいなあと思いました。

実際の出来事より多少脚色されてるんだろうけど、100分ほどでさくっと観れる作品にまとまっていてとても良かったです。

 

「ターミナル・ベロシティ」…ムチャぶりナタキンと空飛ぶチャーリー・シーン

ヤンチャ坊主チャーリー・シーンとミステリアス美女ナスターシャ・キンスキーが怒涛のスカイアクションで魅せる…!!

画質ゴミのDVDしか出てませんがどうしてなかなか光る90年代アクション映画だったのではないかと思う1本です。

ターミナル・ベロシティ [DVD]

ターミナル・ベロシティ [DVD]

  • 発売日: 2004/04/23
  • メディア: DVD
 

チャーリー・シーン演じる主人公、ディッチ・ブロディはスカイダイビングのインストラクター。

ビル街で勝手に空中スタントして訴えられるというかなりのお騒がせ者。

↓↓パリピな衣装で派手に登場。

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めちゃくちゃ本人っぽいキャラですね。会ったことないけど。

ある日ディッチの職場に「初心者だけどスカイダイビングやってみたい」という美女クリス・モローがやって来ます。

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ウハウハで付き添うチャーリー・シーンでしたが、上空6000メートル行った矢先、クリスの一声でふと外に目を離すと彼女はなぜか1人で落下!!

慌ててディッチも後を追いますが、なぜか安全ベルトも作動せず彼女は地面に叩きつけられて死亡してしまいます。

手の込んだ自殺だったのか何なのか…事件性を疑われディッチの下には警察や検事がやって来ます。前半はヒッチコック・サスペンスみたいで面白い。

事故当時周辺を映していたというビデオテープを確認するともう1体飛行機が近くを飛んでいたことを発見、その機体を追うと死んだはずのクリスが…!!

先の事件のトリックは「飛び降りたと見せかけ飛行機の尾翼に捕まり、別機が既に死んでいる遺体をフェイクで落とした」というものでした。

しかしなぜそんなことをしたのか語られないまま、「私が生きてるって警察に証明したかったら言うことを聞きなさい」とナタキン様が無茶を要求。

謎の基地に潜入して謎のシリンダーを回収してくるよう命令されます。

この辺の展開は実にザルですが、お姉様キャラのナタキンがアホの子チャーリー・シーンをいいようにこき使うという画がただただ楽しいです。

GS美神」の美神さんと横島くんのような…「チェンソーマン」のマキマさんとデンジのような…

儚く妖艶な美しさのナタキンですが、本作はテキパキしたカッコいいミステリアス美女がハマっています。

 

無事目当ての物品を回収したかと思いきや、敵に囲まれ銃撃戦になり、気前よく大きな銃火器がたくさん登場。

「5つ数えるわよ。」「1、2…4!!」「3は?」「時間がないの!!」

アホみたいな掛け合い、今みるとめっちゃ「ナイト&デイ」やな。

そしてたまたま近くにあったロケットエンジン搭載のテスト機に乗り込みます。

時速560キロ、重力を食らいながらレールあるとこギリギリまで行って脱出!!

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迫力のシーン。

2人の逃避行が始まり身の上話が披露されますが、ナタキンはロシアの元KGBだと判明。

「ロシアに行ってみたかった。本当はオリンピックで金メダルを取るはずだったんだ。」実は元体操選手だったというディッチの過去も明かされます。

一方肝心のシリンダーの中身はロシアが秘密裏に着陸させたある飛行機の飛行記録を載せたものでした。

その飛行機には大量の金塊が載っていて、ナタキンの仲間の元KGBの面々が強奪しようとしているのだといいます。

「奴らが権力を握ったらまた冷戦に逆戻りよ!!」007然りソ連崩壊後の90年代映画って敵役いなくなって困ってるのかと思いきや色々考えるなあ。

しかし!!ここまでアホの子だったチャーリー・シーンなぜか急に賢さがアップ。

「今まで君を抱きたいと思って黙って聞いてたけど、その話ホントだって証拠あんの??」

疑うことは大事だけど言ってることクズやな。

そんなディッチを見捨てて世界平和のために1人敵に向かっていくナタキン。

残ったディッチでしたが、彼女が自分無罪の証拠を用意してくれていたことを知って、彼女の後を追いかけます。

 

ここからが超絶怒涛のクライマックス…!!

金塊とナタキンの乗った軍用機を小型飛行機で追っかけ、まさに体操選手な技で敵機に乗り込むチャーリー・シーン

トランクに閉じ込められて車ごと飛行機から落とされてしまうナタキン。パラシュート着込んだチャーリー・シーンが自分も死にそうなのに必死で助ける…!!

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落ちる彼女を助けられるか、冒頭を見事に再現し、念願のタンデムジャンプを達成!!

着地地点が断崖絶壁&風力発電の風車地帯というロケーションで、ハラハラドキドキ連続の贅沢なミルフィーユになってるのが素晴らしいです。 

敵機は間抜けにエンジン損傷して落下しますが、最後にボス役ともう一悶着あるのがしつこい90年代映画っぽい。

ラストのこのスカイアクションシーンだけでもう大満足な映画です。

 

ラストはナタキンの故郷だというロシアへ行き、国家を救ったと2人とも叙勲されます。

スターウォーズエピソード4」くらいファンタジーやな!!とツッコミたくなりますが、しかし金メダル欲しかった元体操選手が念願のメダルゲット…上手い、座布団3枚!!と称えたくなってしまいます。

 

監督はずっとジョン・バダムだと思ってけど違った。

脚本はデヴィッド・トゥーヒー…ってこの人「アライバル/侵略者」の人だ!!

脚本の段階からチャーリー・シーンを使うって決めてたのかな、と思う位彼のキャラを生かした映画でしたが、意外な主演の組み合わせが美味しい1本でした。