どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

ドラマ

「ポゼッション」…怖いのに惹きつけられるイザベル・アジャーニの狂気

イザベル・アジャーニ主演、ポーランドのアンジェイ・ズラウスキー監督による81年の作品。 ポゼッション 4Kリマスター版 [Blu-ray] イザベル・アジャーニ Amazon 「ボーはおそれている」のあるシーンを観てこの映画が思い出されたのですが… 終始異常な不安感…

「ボーはおそれている」…過干渉な母親と父親不在の家庭で育った子供の生き辛さ

アリ・アスター監督の最新作、前2作が好きだったので観に行ってきました。 上映時間3時間、普通に長かった(笑)。 個人的にはワンシチュエーションでしっかりホラー映画してた前2作の方が好み。 今回は主人公の精神世界を描いたドラマ要素が強めの作品でし…

「バベットの晩餐会」を午前十時の映画祭で観てきました

普段ホラー系が好きな自分がなぜか好きだった作品。 リバイバル上映ばっかり観てる気がしますが、映画館で初鑑賞してきました。 人生のとても厳しい部分を描いているはずなのに、観終わったあとには晴れやかな気持ちになる不思議な魅力。 晩餐会のシーン、食…

「オルカ」…全てを失った男同士の対決に涙…!!

年末に観た「カサンドラ・クロス」が素晴らしかったので、同じリチャード・ハリス主演のこちらも鑑賞してみました。 オルカ HDリマスター版 [Blu-ray] リチャード・ハリス Amazon ジョーズに便乗したアニマルパニックものかと思いきや、感傷的で繊細な人間ド…

アルジェント主演「VORTEX/ヴォルテックス」を観てきました

認知症を患う妻、心臓病を抱える夫。同時進行で映し出される老夫婦人生最期の〝死に様〟。人はどう死んでいくのか。ギャスパー・ノエ監督の新境地にして最高傑作。 ノエ監督の作品は観たことがないのですが、ダリオ・アルジェント映画初主演…!!というのに…

「日の名残り」…自分を抑圧してきた執事の人生回顧が切ない

真面目で鈍感な堅物執事と女中頭の感情を表に出さない静かな恋。 貴族の邸宅にて繰り広げられる外交会議。 2つの大戦の間で揺れ動いた激動の時代、時代遅れの遺物ともいえる執事の姿が去り行く時代への郷愁を感じさせる… 日の名残り [Blu-ray] アンソニー・…

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」…中年女性の精神の危機を描いた家族ドラマの傑作

合う/合わないがキッパリ分かれるようで、どんなもんかと構えて観てみたらすごく面白かったです。 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [Blu-ray] ミシェル・ヨー Amazon 別の世界線の自分を利用して戦うの、ジョジョ7部の大統領の能力を思…

「トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン」…エクソシスト原作者による哲学的思索映画

「エクソシスト」の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティが原作・脚本・監督を務めた80年の作品。 前から気になっていたのを鑑賞してみました。 トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン HDマスター 《スペシャルプライス》 DVD ステイシー・キーチ A…

「ガルシアの首」…ダメ男を徹底的にダメに描くペキンパーの誠実さ

ペキンパーが唯一自分の撮りたいように撮れた作品だったという「ガルシアの首」、未見だったのを初鑑賞。 ガルシアの首 [Blu-ray] ウォーレン・オーツ Amazon 「ワイルドバンチ」のような格好よさは全くなく、ダメ男が一貫してダメなままで描かれているのが…

「ハイ・フィデリティ」…好きなモノこそアイデンティティ!!オタクの愚かさ、愛おしさ

昨年新装版が出版されましたが、自分が学生の頃に読んだのは耳がハートの形をしたデザインが印象的なこの文庫本。 ニック・ホーンビィの本を読むのは初めてで、表紙がなんか洒落てるなーと興味を惹かれたのがきっかけでした。 大人の恋愛小説といいつつスト…

「フィツカラルド」…ヘルツォーク密林映画、なぜか可愛いクラウス・キンスキー

ドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォークの82年監督作。 フリードキンの「恐怖の報酬」の特典映像で2大密林映画!?として名をあげられていたので観てみました。 フィツカラルド [DVD] クラウス・キンスキー Amazon (ジャケ写がもう凄い…!!(゚Д゚) 19世紀末南…

「わらの犬」…大人しい男の怠慢と暴力の才能

ニュースなどで何か事件があると「犯人は真面目で大人しい人でした」と報道されているようなことが時々あって、大人しい村の住民である自分は「大人しい奴のネガキャンやめてくれや、もし犯人がパリピやったら『犯人は賑やかなパリピでした』ってちゃんと言…

「真夜中のパーティー」…ゲイ8人+ノンケ1人、自分を嫌悪する主人公の悲哀

70年制作、ウィリアム・フリードキン監督の初期の傑作と名高いようなので鑑賞してみました。 原作が有名な舞台らしく「12人の怒れる男」のような密室劇テイストで緊迫感たっぷり。 ゲイ映画というと好みが分かれそうですが、自己肯定感が低い人の苦悩のドラ…

「恐怖の報酬」劇場で再鑑賞してきました

先月目黒シアターという劇場にて「恐怖の報酬」「ウィッカーマン」の2本立て上映があり、観に行ってきました。 時間の関係で「恐怖の報酬」1本しか観れなかったのですが、このブログを始めてから出会った中で1番衝撃だった作品。大きな劇場ではなかったけれ…

「アメリカの夜」…トリュフォー全く知らなくてもすごく楽しめた

観る映画が偏ってる&敷居が高いイメージがあって全くみたことがなかったトリュフォー。「アメリカの夜」はフランス映画苦手でもとっつきやすい作品だと聞いたことはあったのですが、先日鑑賞したルチオ・フルチ監督のドキュメンタリーにてフルチが言及して…

デンゼル・ワシントン「フライト」…依存症ダメ男の懺悔がジワジワくる

成功率0%の奇跡の不時着を成し遂げたパイロットはドラッグ服用者でアル中だった… フライト [Blu-ray] デンゼル・ワシントン Amazon 麻薬の効果の良し悪しを問うような作品になっているのかと思いきやそうでもなく…過酷な航空会社の勤務形態が明かされ経営者v…

「イノセント・ドール/虜」…フルチの官能映画、倒錯プレイで生を実感せよ…!

86年制作、ルチオ・フルチが病気を患ったあと復帰作として撮ったという1作。 イノセント・ドール 虜 [Blu-ray] ブランカ・マルシラッチ Amazon なんとそのジャンルは官能映画…!! 事故で恋人を失った女性が逆恨みでその執刀医を拉致監禁する…何だか心がざわ…

「ゴー・ナウ」…丁寧で優しいイギリス産闘病映画

毎年やっている24時間テレビが嫌いでほとんど視聴したことがなかったのですが、ある年夜9時ごろからやっている2時間ドラマのパートを偶然観る機会がありました。 嵐の松本潤が主演で神経性の難病にかかった主人公の闘病生活を描く…というものだったのですが…

「サンセット大通り」…納得の名作、ラストシーンがキツい

「イヴの総て」を観たらやはりこちらと見比べたくなってしまった… サンセット大通り [Blu-ray] グロリア・スワンソン Amazon 売れない脚本家・ジョーは偶然からサイレント映画のかつての大スター・ノーマの住む大邸宅に居候することになる。若い愛人としてと…

「イヴの総て」/芸能界は過酷な世界…!!

「サンセット大通り」と1950年度のオスカーを争った末作品賞に輝いた名作。 イヴの総て [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray] ベティ・デイビス Amazon 舞台劇をみているような地味な作品で映画的なつくりは「サンセット〜」の方が優れているかと思われますが…

「フォーリング・ダウン」…私の心の中のマイケル・ダグラス

ストレスを爆発させた中年男が些細なことから凶行にひた走る… フォーリング・ダウン [Blu-ray] マイケル・ダグラス Amazon ジョエル・シュマッカー監督、マイケル・ダグラス主演のサスペンスドラマ。 渋滞にキレる。不親切な店員にキレる。朝食セット終了し…

「教祖誕生」…ビートたけしの〝ここがヘンだよ新興宗教〟

北野武監督作品ではないのですが、ビートたけしの原作をたけし主演で映画化。 「ソナチネ」「HANABI」といったザ・北野作品よりもとっつきやく面白かった1本でした。組織内のゴダゴタドラマという点では「アウトレイジ」の新興宗教版といえるかも。 教祖誕生 <HDリマスター版></hdリマスター版>…

「エクソシスト」/疑問点整理&DC版・劇場公開版・原作の比較

久々に観た「エクソシスト」がとても面白かったので、原作本を再読、DVDのオーディオコメンタリーを倍速で視聴してみました。 改めてみて色々気付くところもあり、ストーリー上分かりにくいと思った疑問点と、73年の劇場公開版とディレクターズカット版の違…

闘病映画としてみる「エクソシスト」

全然ジャンルが違う作品ですが、先日鑑賞した「奇跡の人」は個人的にホラー映画の「エクソシスト」と似ているなあと思いました。 ・突然我が子に異変が起こる・訪問者が苦しむ少女と家族を救う・サリバン先生はキリスト教の信仰者・子供との取っ組み合いシー…

「奇跡の人」…ド根性サリバン先生のバトルと愛に涙

決して重くも暗くもなく、サリバン先生がカッコよくてラストにはスカッと明るくなれる作品でした。 奇跡の人 [AmazonDVDコレクション] 発売日: 2019/07/24 メディア: DVD 子供の頃図書館にあった「世界の偉人」の漫画でヘレン・ケラーの話を読んだ憶えがあり…

「ゴッドファーザー1・2」の印象的な脇キャラクターをあげてみる

先日最終章を鑑賞したものの、やっぱり1&2が最高すぎたゴッドファーザー。 マイケル、フレド、ソニー、トムといった主役/準主役の魅力もさることながら脇役キャラの濃さもピカイチ。 各々の思惑、いつから裏切ってたかなど考えさせられ、サスペンスとしての…

「ゴッドファーザー 最終章 マイケル・コルレオーネの最期」/強いコッポラの思い入れ、外伝ならアリか

最終章とタイトルが変えられてのPartⅢがこの度初リリース。U-NEXTも期間限定で配信していたのでそちらで先に鑑賞しました。 ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期 - マリオ・プーゾ原作 発売日: 2020/12/08 メディア: Prime Video 制作…

「ゴッドファーザー」の残念なお兄ちゃん、フレド・コルレオーネをふり返る

今月、コッポラが新たに編集しなおしたという「ゴッドファーザーIII」がBlu-rayになって発売されるとのこと。 ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期 [Blu-ray] 発売日: 2020/12/23 メディア: Blu-ray ※U-NESTで今月末まで先行配信もしてま…

「ゴーストワールド」/押し寄せるブシェミ萌え、オタクに沁みる青春映画

サブカルおしゃれ映画っぽいポスターとは裏腹にグサグサくる作品でした。 ゴーストワールド [DVD] 発売日: 2009/06/19 メディア: DVD 高校のはぐれ者コンビ、イーニドとレベッカ。卒業後も2人仲良く過ごすはずが、自立への道を歩み始めるレベッカに対し、無…

ベルイマン「ある結婚の風景」鑑賞/泥沼夫婦のおかしな愛憎劇

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が影響を受けた作品らしく手にとってみました。 ある結婚の風景 オリジナル版 Blu-ray 発売日: 2015/05/22 メディア: Blu-ray スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンが73年に撮ったテレビドラマで50分×6回、計5…