護送中の犯人が上空1万メートルの機内で野放しに…!!
公開時大コケだったらしいですが、スカイパニックもので面白かった作品。
クリスマスを迎えようとするケネディ空港。ロスに向かう便の乗客はわずか11人…とガラガラの飛行機。
しかしその中には護送される犯罪者2名と同行の警官4名も含まれていました。
犯人の内の1人がレイ・リオッタ。ブロンド美人と付き合っては殺害を繰り返す絞殺魔らしいのですが、本人曰く濡れ衣。
彼を捕まえたという刑事がどこか胡散臭いので、もしかしてホントに無罪??…とミスリードしますが、まあレイ・リオッタなんで初めから普通にめちゃくちゃ怪しいです。
↑この笑顔、信じられん。
一方主人公はローレン・ホリー演じるフライトアテンダントのテリー。ベジタリアンで死刑制度に反対という心優しい女性ですが男運は悪し。
「犯罪者の接客はしたくない」などと語る同僚に代わって護送犯にも分け隔てなく接しました。そんな彼女に好印象を持つレイ・リオッタ。
ところがもう1人の護送犯スタッブズがトイレに立った際に警官を襲い銃を奪って人質をとります。
当たり前のように機内で発砲しまくる人たち。大丈夫なんかいと思ってたらやっぱり機体に穴空いてゴゴゴー。
しかしそれをアタッシュケースで塞いで事なきを得るという離れ業をやってのけます。
てっきり護送犯と一緒に大暴れするかと思ったレイ・リオッタはどさくさに紛れて自分の手錠を外し、警官と犯人を相打ちさせつつ皆を救った味方面をします。
まさに場を支配するサイコパス…!!
しかし早々ボロを見せ始め、他の乗客を監禁し、殺人鬼とヒロインの一騎討ちへと進んでいきます。
なんと言ってもレイ・リオッタのネチネチしつこい悪役ぶりが素晴らしい本作。
女性を手にかける際には、「好きな本は?映画は?音楽は?」と相手の好みを知ろうとし、幼少期の思い出などを探ってきます。
完全にレクター博士ごっこ。でもこれがこの人の一種のプレイなんでしょう。
テリーの同僚女性に迫ると、
…と質問を浴びせてきますが、
…と答えると「寂しい女だ」と言って彼女に襲いかかります。
やかましいわ!!と何だか腹立たしい気持ちになってきます。
一方主人公テリーの好きな映画は…
夢見がちだと一蹴されますが、前半頼りなさげだったヒロインが力強く変態男に立ち向かって行く姿がカタルシスです。
先の発砲騒ぎの際に操縦士2人も命を落とすというアクシデントもあってヒロインが何とか着陸させるしかない!!
それなのに天候は極めて悪く嵐に突入、乱気流で飛行機はアップダウン。
機体が真っ逆さまになった中、変態レイ・リオッタと追いかけっこするシーンはもっと盛り上がっていいと思うのですが、画面が終始暗めで見辛いのがとても残念です。
着陸をサポートする管制塔の人たちとのやり取りは「新幹線大爆破」の千葉真一と宇津井健の掛け合い然りこういう作品ならではのテンプレが展開。
レイ・リオッタの方は「自分はどうせ死刑になるから」とハナから助かる気はなく、少しでも他人を道連れにしようとロスに飛行機を落とすべく邪魔してくる、本当に嫌な男です。
↑コックピットの扉を斧持って破ってくるところは「シャイニング」のパロディっぽい。
変態男が痛い目に遭いつつ成敗されるのにスカッとします。
ラストシーンに着陸をサポートしてくれた機長たちと挨拶を交わすところは「ダイハード」のような雰囲気。機内上映で掛かっている映画は「素晴らしき哉、人生!」と意外にちゃんと?クリスマス・ムービーしています。
もうちょっと機体のアクションの映像に迫力があればなあ、乗客のキャラクターも話に絡められなかったのなあ、と磨けばもっと光りそうな作品に思われますが、レイ・リオッタはいい悪役ぶり。
ポンコツボンクラ映画としては大変満足な1本でした。