94年公開、チャーリー・シーン主演のカー・アクションムービー。
この映画、子供の頃にビデオでみて面白かった記憶があるのですが、なんとDVD未発売。
輸入版も廃盤なのか価格が高騰しているようなのですが、なんとか高くないVHSを発見。
念願の再鑑賞となりましたが、やっぱり面白い…!!
ツッコミどころは多々ありつつ、「ザ・チェイス」の名の通り90分ほぼ走りっぱなしなのが凄い。
お嬢様と危険な男のラブロマンスを主軸にしつつ、2人の逃避行を追うニュース映像をノリノリの洋楽とともに挟みこんでくるのがいかにもMTV感覚。
チャーリー・シーンもハマり役ですが、ヒロインのクリスティ・スワンソンが魅力的で、「或る夜の出来事」的ラブコメが王道で痛快。
ありきたりなようで、改めてみても光るものを感じる1作でした。
◇◇◇
銀行強盗の罪で逮捕されたジャック。護送中に脱走するも、コンビニでタバコを買っている最中に警察と鉢合わせ。
ジャックは偶然店に居合わせた女性・ナタリーを人質にとり、逃避行を繰り広げることに…
ギラギラの眼差しで挙動不審のチャーリー・シーンが冒頭から怪しすぎる(笑)。
実はジャックは武装していなくて、女性の背中に突きつけていたのはチョコバーだった…というオチなのですが、警官との間の抜けたやり取りといい、冒頭からバカらしくてニヤニヤ。
人質となる女性・ナタリーはお洒落なハットに乗ってる車は赤のBMW…お嬢様っぽいと思ったらなんと大富豪の一人娘。
そのせいで事件は「身代金目当ての計画的犯行」と勘違いされてしまい、大騒動になってしまいます。
さらにこの日は警察署長のお葬式が重なって人員が手薄。
偶然テレビ局の取材を受けていた警官コンビが逃走車を追うことに…
「密着警察24時」みたいな映像が挟まれていくのがユーモラス。
マスコミもこぞって2人を追いかけますが、いかにもアメリカのニュース番組でやっていそうな、ヘリから捉えたハイウェイの空撮映像がやたらホンモノっぽい(笑)。
虚構と現実が入り混じったようなハイテンション映像がみていてとにかく楽しいです。
そしてカーチェイスではおバカコメディらしくトラブルが続発…!!
車酔いしてしまったヒロインが盛大に吐いてパトカーのフロントガラス一面にゲロが飛び散りますが、いくらなんでも量が多すぎる(笑)。
車のライターを落として股間から煙が上がったり、医大のトラックから死体が大量に転がり落ちてきて大惨事になったり、アホみたいな場面が目白押し。
車の動きは明らかに不自然で、窓から流れていく景色がスローだったり、警察がのんびりと後ろを走ってるだけだったり…ツッコミどころ満載ですが、合間合間でしっかりとアクションシーンを用意。
途中には目立ちたがり屋の一般人がチェイスに横入りしますが、トラックが通行止め車両を薙ぎ倒していく場面は結構大掛かり。
狂った市民役をなぜかレッチリの2人(アンソニーとフリー)が演じていて、こういうぶっ飛んだ人アメリカにいそう…そのイカれっぷりにも笑わされます。
一方、当のジャックは大富豪の父親と電話で直接交渉することに…
騒動を州知事選に利用しようとするなど、なかなか腹黒そうなパッパ。
「お前には何でも買ってやっただろ…!!」なぜか父と娘が電話でギスギス。
そんな親子関係をみかねて「もっと娘に優しくしろ!!」と一喝するチャーリー・シーン。
「パパに逆らう人なんて初めてみたわ」…意図せず娘の好感度が爆上がりに…
「母親は実は継母なの」「実の母親とも仲が悪いんだろ?」…唐突に始まる誘拐犯とのカウンセリング(笑)。
これがストックホルム症候群というやつなのか、ナタリーは危険な男にグイグイ惹かれていってしまいます。
しかしジャックも訳ありの人物で、実は銀行強盗は冤罪。
ピエロの衣装を着るバイトをしていたら、その日偶然ピエロ男が銀行を襲う事件があって犯人に仕立て上げられてしまった…
善良な弁護士が無罪の証拠を見つけてくれたのに、法廷はそれを取り合わず有罪に…
「私と一緒にもう一度無罪を訴えましょう」…寄り添ってくれるヒロインちゃんに男の方もフォーリンラブ。
ヒロインがいきなり服を脱ぎ始めてカーチェイス中に堂々とヤッてしまうのにはびっくり(笑)。
上がっていくスピードメーターがエクスタシー…!!
アホ極まってますが、外野から完全に隔絶された車中2人きりの世界、愛し合うカップルがなんだかロマンチック…!!
(すごい勢いで雲が流れていって背景が急に夕陽になるのもミュージックビデオっぽい)
そうこうするうち、2人は当てずっぽうで目指していたメキシコ国境付近に到着します。
しかし警察は国境付近を封鎖し、大勢の警官隊を待機させていました。
「やっぱり君を巻き込むわけにいかない」…ジャックはナタリーを解放することにします。
自ら逮捕されようと車から出るジャックでしたが、ふざけて指ピストルを撃つ仕草をみせると、警官隊が発砲、無惨にも射殺されてしまいます。
驚愕のバッドエンド…!!かと思ったらそれは幻だったというオチ。(一瞬自殺を考えた主人公の気の迷いだった??)
そしていよいよ本当にジャックが逮捕されることになりますが、今度はなんとナタリーが反旗を翻し、記者を人質にとってヘリを略奪します。
冒頭を完全トレースするかたちで再び逃亡。
異国の地で楽しく暮らす2人を映し出して、映画は唐突に幕を閉じます。
ラストを全く覚えていませんでしたが、すごい畳み掛け(笑)。
バッドエンドが現実で、ハッピーエンドが幻だったんじゃないだろうか…一瞬そんな奇妙な心地になりつつも、底抜けに明るいラストが90年代ラブコメらしく爽快。
エンドロール終了後、キルゴア中佐のモノマネをするチャーリー・シーンにも爆笑。
制作陣の遊び心に終始ニンマリしてしまうゴキゲンムービーでした。
カーチェイス映像自体が物凄いということはないのですが、ニュース映像と交互に繰り広げられていく編集センスが巧み。
洋楽曲とのシンクロも抜群で、みていると気分が上がってきます。
面白おかしく騒ぎ立てるマスコミを皮肉ったような視点は意外と秀逸で、おバカ映画のようでいてどこかシニカルさも漂っていました。
観るのが困難な作品になってしまっているけど、またどこかでスポットが当たるといいなあ…
記憶に残っていた思い出の1本、改めてみてもとっても楽しかったです。