チャーリー・シーン主演、「逃亡者」「ワーロック」のデヴィッド・トゥーヒー監督&脚本の96年のSF映画「アライバル/侵略者」。
以前はよくテレビ放映もされていたように思いますが、今や知る人ぞ知る作品でしょうか…
地球温暖化という題材をいち早く取り入れたサスペンスフルな脚本、汗だく&ガンギマリの眼で全力疾走するチャーリー・シーン…
「V ビジター」「ゼイリブ」などと同じ〝静かなる侵略系SF〟ですが、自分はこの作品を先に観たというのもあってか強く印象に残っていて、光るB級映画でありました。
配信は各所でされているようなものの、長らく古ーいDVDしかリリースされていなかった本作。
なぜか今月Blu-rayが発売されるようで…
祝「アライバル」初Blu-ray化…!!ということで、今回は目も当てられないクソ続編「アライバル2」を取り上げてみたいと思います。
前作から2年後…エイリアンの存在を全世界に知らしめた勇気ある科学者・ゼイン(チャーリー・シーン)が北極で謎の死を遂げました。
カナダ宇宙局に勤める弟のジャックは兄の死をニュースで知りますが、その後謎の小包が彼の下に届きます。
そこにはゼインが命懸けで突き止めた侵略を明らかにする証拠が入っていました。
他にも小包を受け取ったメンバーがいて、ゼインの元同僚、信頼できるジャーナリストなどが落ち合うことに…
ところが既にエイリアンと入れ替わっていた者がいて現場は大混乱。
エイリアンの宇宙船とアクセスできる謎の物体を手に入れたジャックは、ジャーナリストのブリジットと共に逃避行を開始します…
ビデオムービーの本作。
チャーリー・シーンは不在、監督脚本も全く別の人間と相当低予算であることが伺えます。
前作のキャラが冒頭であっさり死を遂げている「エイリアン3」みたいなパターンからして賛否両論。
優秀な兄にコンプレックスを抱いていた弟が主人公…というところまではいいものの、如何せんキャラに魅力がない…
「異星人の侵略とか俺関係ないし」と探究心ゼロで自分第一、怒りの沸点が低くすぐど怒鳴る…日頃から遅刻魔というのもいただけません。
迫力たっぷりのチャーリー・シーンと比べると主演のイケメンも薄味に感じてしまいます。
ドラマ内容も空っぽで、拾った謎アイテムを持ってあっちへこっちへ行くだけのストーリー。
マスコミや警察に突撃すればと思うけど、「奴らが既に潜んでいるかも」とどこにも行かないまま。
やれ現金がない、クレジットカードが止められたなど、どうでもいいやり取りが延々と続き、何度も睡魔が襲います。
前作の何が面白かったかと言うと、やはり〝疑心暗鬼のサスペンス展開〟。
上司の対応に不信感を抱いたり、恋人の挙動が怪しくみえたり…
本作では手を組む女性ジャーナリストがバディとなるものの、明らかにシロの描写しかないので緊迫感ゼロ。
言い寄られて突然ベッドインしたご近所さんの女性の方が怪しいのは一目瞭然。
もっと「一体どっちが味方なんだー!?」的展開をみせて欲しかったように思います。
やたらフィーチャーされるのは前作にも出てきた〝全てを飲み込む球体〟。
なんか「ヘルレイザー」みたいな、「ファンタズム」みたいな謎アイテムで、正直前作でも浮いていたような気がしなくもないですが、エイリアンが証拠隠滅のために使っていたと思われるアイテム。
「吸い込まれるー」のシーンも一段とショボくなっていてびっくり。
90年代のCGって今観ると決していい出来ではないものの、これまで出来なかったことが出来るようになった、未知のワクワク感みたいなものが漂っているものもあると思うのですが、ハリボテの絵を描いた方がマシだったんじゃないかと疑うレベル。
アライバル名物!?膝カックンで真逆に歩行する宇宙人の姿もほんの僅かしか登場せず、せっかくのここぞというシーンで「お前普通に走るんかい!!」となって困惑(笑)。
唯一面白くなりそうな気配があったのは「ゼインの小包を受け取った者たちが集う」序盤の場面でしょうか。
エイリアンが寒さに弱いからと巨大冷蔵庫が集合場所になるものの、分厚くコートを着込んだ者、寒さを訴える者などがいて、皆の白い息がハアハア。
物体X的空気が流れて「こういうのでいいんだよ!!」となるものの、あっさりこのシーンは終わってしまって残念。
クライマックスは機械に強いという主人公が宇宙人の装置をちゃちゃっと操作して反撃。
どうでもいいけどエイリアンの使うメカが普通にノート型PCの形してるのには笑いました。
前作もツッコミどころの多いB級映画ではあったけど、お話がよく出来てたんだなーと感心。
そしてやっぱりチャーリー・シーンは迫力あるいい俳優だったんだなーとしみじみ感じさせられます。
テラフォーミングのアイデアがユニークだったし、1作目の終わり方を考えてももっといい続編ができたんじゃないかなーと思うだけに余計に残念。
チャーリー・シーンが元気だったら、正当な続編が来ないかなあ…なーんて…
前作の良さが沁みるタイプの、ダメダメ続編でありました。