テレ東が昼間に流してくれそうな、最高に安い90年代のSF。
”チャーリー・シーンが科学者役”…地雷臭がすごいけど、アラ意外、これがすっごくハマっていて、お話も面白くて大好きだった作品です。
科学者・ゼインは、ある日宇宙観測所にて、地球外生命体が発した強力な電波を受信し、上司に報告する。
しかし上司はこれを無視。その後不当な解雇を受け、同僚は不審死…
必死の調査から同様の電波の出所がメキシコにあることを知り、単身調査に乗り出していくゼインだったが…
恋人からも「パラノイアっぽいところがある」なんて言われているゼイン。
「この電波は宇宙人の電波…!」と騒ぐ主人公の方がちょっと不審者にみえてしまうのよね…
この時期のチャーリー・シーン、太りはじめてイケメンに陰りが…でも目はギラギラしてて、”ラリったお兄ちゃん”にみえてしまう怖さ(笑)。
これが”自称・電波天文学者”のキャラクターにピタリとハマっていて、地味な前半からワクワクしながらみれてしまいます。
途中から舞台がメキシコに移りますが、じっとりした空気が漂い、汗だくになりながら真相を追うチャーリー・シーンの暑苦しいこと…
しかしこの作品、”汗”がストーリーの肝になっているのです…!!
ゼインとは別に女性科学者のキャラクターも登場。この女性は北極で地球温暖化を調査していました。
「信じられないわ、10年間で平均気温が12度もあがるなんて…」96年の作品ですが、地球温暖化をいち早く取り上げていて、今観ても古びれず危機感が真に迫って来る面白いストーリー。
そして…驚くべき真相が明らかに…!!
「寒さに弱い宇宙人が、有害ガスつくって放出して、地球あっためてました」…地球温暖化を全部宇宙人のせいにしちゃうUSA、おっかねえ(笑)。
しかし「宇宙人がひっそりと襲来していてこっそり惑星改造を行っていた」というテラフォーミングのアイデアが抜群に面白く、プロットがよく出来ています。
子供の頃ワクワクが止まらなかった場面は主人公が宇宙人の基地に潜入する場面。
変装して中に潜り込むという「スターウォーズ」のようなドキドキシーンだけど、汗をかかない宇宙人たちの中で、チャーリー・シーンだけがじっとり汗をかいていて不自然で目を引いてしまう…
もう1つワクワクしたのは終盤の”疑心暗鬼になるシーン”。
恋人と助手の子供と3人で逃亡するものの、なぜか汗だくなのは主人公だけ…
「恋人の挙動がなんか怪しい」「いやもしかして子供の方が…」となってハラハラ。
しかし宇宙人、寒さに弱いのでゼインが液体窒素をばらまくと固まってしまう…!!
「溶けたら動きだしそうで怖い」と思っていたら、案の定…終盤までまさに手に汗握る展開で、ずっとドキドキしっぱなしでした。
宇宙人の造形も、要塞のつくりも「いかにも」な感じでこのあたりには目新しさはなし。すごい技術を持っているかと思えば回りくどい殺し方をしにくる宇宙人がトンチンカンに思えたり…
ツッコミどころは多いですが、「寒さに弱い宇宙人vs汗だくチャーリー・シーン」の対決がとにかくオモロかったです。
監督はデヴィッド・トゥーヒー。
「ワーロック」、ハリソン・フォードの「逃亡者」、「ウォーターワールド」などの脚本を手掛けた人で、この「アライバル」のあとには「ピッチブラック」を監督&脚本。
この「アライバル」のラストも「環境破壊に対するメッセージ」とも受け取れるような感じに上手くまとめていて、脚本がとにかく秀逸だったのではないかと思いました。
本作のチャーリー・シーン名言(迷言):
「禁欲ってのも大事かもな。」
「アメリカはいい国だ。銃が簡単に手に入る。」