どうながの映画読書ブログ

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「ウォリアーズ」1979/劇場公開版&ディレクターズカット版Blu-ray鑑賞、真夜中疾走映画のときめきと余韻

先月から年明けまで欲しいBlu-rayが目白押しになっていますが、スティングレイさんから発売の「ウォリアーズ」Blu-rayを購入&鑑賞。

(ブックレットと先着特典のポストカード3枚が付いていました♫)

 

ウォルター・ヒル監督の中では「サザン・コンフォート」とこれが特に好き。

ストリートギャングが町中のギャンググループに狙われながら命からがら逃走する都会の一夜。

「サザン・コンフォート」の方が緊迫感はダンチですが、昔夜中に1人でビデオを借りてみたときのドキドキ感といったらなく最高に面白かったです。

アフター・アワーズ」「ジャッジメント・ナイト」「コラテラル」など真夜中疾走系映画は主人公たちと共に一夜を過ごしたような臨場感があって格別の余韻。

夜中にこんなに走り回ったらなんか楽しそうだなーと厨二心をくすぐるというか、童心に帰るようなトキメキがあります。

今回のBlu-rayには、ディレクターズ・カット版を含む盛りだくさんの特典が収録。

ディレクターズ・カットなんてあったの??ギリシャ古典が元ネタなど初めて知る情報ばかりで驚き。

今みるとB級映画味も感じつつ、鑑賞後の余韻は昔と変わらず鮮やかでとてもよかったです。

 

まずは劇場公開版から鑑賞。

地下鉄の走る中様々な衣服を着たストリートギャングたちがブロンクスに集結。

町の落書きのような赤文字でクレジットが映し出されていくオープニングが何といってもおしゃれ。

アロハシャツ、タキシード風、ミリタリー柄、タンクトップ…各グループはそれぞれ異なったコスチュームを着用。

(ウォリアーズの服は素肌に赤レザーベスト)

これぞ我らのアイデンティティ!!連帯感を高める不良あるあるっぽいけど、ここまで徹底されてると民族衣装みたいですごい(笑)。

どこかファンタジックな世界観に冒頭から一気に引き込まれます。

 

この夜は全ギャングの団結を訴えるカリスマ的リーダー・サイラスの呼びかけで大勢のストリートギャングが公園に集結。

本物の人たちも集めたというエキストラ多数の演説シーンが大迫力。

「俺たちは6万人、警官は2万人、これが何を意味するか分かるか?」…そう言われたら何でもできるような気がするかも(笑)。

「キャンユーディッグイット!?」リーダーの喋り方が特徴ありすぎ、演劇的スピーチが皆の心を掴みます。

 

しかし…!!熱気高まる最高潮の中、なんとサイラスが何者かに突然撃ち殺されてしまいます。

「あいつがやったんじゃー!!」、大混乱の中堂々と罪をなすりつける実行犯〝ローグス〟のルーサー。

ギャングチーム〝ウォリアーズ〟が濡れ衣を着せられてしまい、他の全ギャングから命を狙われながらコニーアイランドの自分たちのシマに戻ることに…

雨が降ったあとの濡れた夜の街がいいし、人の少ない地下鉄構内を全力疾走する画が最高。

緊迫感とともに終電を逃した夜の街を散歩するような、不思議な背徳感と高揚感に包まれます。

 

行く先々で様々なギャンググループに襲われるウォリアーズ。

落書きだらけのイカついバスで追い立ててくるスキンヘッド野郎共は〝ターンブル組〟、世紀末なムードを醸す集団でおっかない。

地下鉄火災で駅を降りた先で出会すのは弱小グループの”オーファンズ”。

ブロンクスで集会があって…」「何それ俺ら呼ばれてない」…相手のプライドを刺激してしまいギクシャク。

服装もTシャツにジーンズと地味。武器は剃刀、ビビりな性格だけど女性の前では虚勢を張ろうとするちっぽけなプライドのリーダーの情けない表情がいい。

次に出てくるのはKISSのような白塗りメイクをした”ベースボールフューリーズ”。バット片手に闇夜を疾走、こいつらだけ世界観気合い入りすぎ(笑)。

さぞかし強いのだろうと思ったら主人公たちにシバかれて即終了。バットを使った肉弾戦アクションが光ります。

意外と1番おっかないのは女性グループ・”リジーズ”。

誘いをかけてアジトに連れ込み油断したところを攻撃。皆目つきが鋭くて他のグループよりも迫力が…銃まで持ってて大乱闘に、ペキンパー的アクション映像が炸裂。

後半に登場するのはオーバーオールにローラースケートを履いた陽気な出立ちの”パンクス”。

トイレで待ち伏せ攻撃しての喧嘩シーンもガチンコ殴り合いでカッコいい。

 

〝ウォリアーズ〟メンバーの9名は、全員に華々しい見せ場があるというわけでもなく、名前が覚えられないまま終わってしまう人も…アフロヘアがグループに3人、今回の高画質美麗映像で初めて全員の顔をちゃんとみた気がします(笑)。

強そうだったリーダーのクレヨンが最初に脱落。

代わりに残りのメンバーをまとめるのはスワンですが、戦隊モノでいったら赤じゃなくて青、超能力バトルものなら氷結系能力者、熱血系主人公じゃないクールタイプで見た目も性格もカッコいい。

愛されキャラはエイジャックス。腕っぷしは強いけど短気で女性をみるやいなや突進。

協調性に欠けるものの仲間思いの一面もあって、走れなくなったカウボーイに「逃げるのに嫌気がさしてきたところだ」と言って敵を蹴散らしてくれるのカッコいい。

ウォルター・ヒルは「彼をあそこで退場させなければよかった」と悔いているようでしたが、婦人警官のハニートラップに引っかかってお縄に…あのあっけないアホな脱落に味があってよかったです。

主役以外のメンバーにももう少し見せ場や掛け合いがあってもよかったのかなと思いましたが、言葉少ない中にもメンバーの連帯感がしっかり伝わってきました。

 

そしてウォリアーズの後をつけてくる女性が1人…オーファンズの縄張りでたむろしていた女性・マーシー

「何で付いてくんの?」って言われてたけどホントにそれ(笑)。

無理やり入れられた紅一点かと思いきや、現実主義な一面が明らかに…

「近所のおかみさんはお腹に5人目を妊娠中、食器棚にはゴキブリ。こんな人生は嫌よ」…あぶれ者同士で刹那的に燃え上がる何か、甘ったるい恋愛とは一味違うムードがいいです。

最後に乗った地下鉄で卒業パーティー帰りの裕福そうな若者たちと遭遇し、みすぼらしい自分の身なりを恥じて髪の毛を整えようとするものの、それをスワンが制止するシーン。

夢から醒めたような気持ちにさせて、心掴まれる名場面でした。

 

気付けば夜が明けていて、コニーアイランドの街に戻ってきたウォリアーズたち。

どこか寒々しく妙に物寂しい、オールの飲み会した後の明け方ってこんな空気。

「徹夜で戦って戻るほどの町だったのか」…広い世界に触れていつもと同じ景色が全く違うように見えてくる、現実を知った若者の青春ストーリーの一面もあってほろ苦い余韻。

 

海辺近くまで進むと事件の真犯人・ルーサーとそのグループが待ち受けていました。

ビール瓶をカチカチさせながら妙に甲高い歌声で宣戦布告するルーサー、狂気感と小物感とが両方出ていていい悪役(笑)。

銃を取り出したルーサーをスワンがナイフで制して西部劇的決闘はあっさりと決着。

そして一部始終をみていたギャング団”グラマシーリフス”が突然背後から登場。「君らはいい奴らだ」…ラストはそれでいいんかい!!とちょっと拍子抜け(笑)。

DJの女性が「これまでのニュースは間違い、詫びるわ」って軽すぎやろと思いますが、毎回メッセージを歌で運ぶ演出がオシャレ。

太陽の光が差し込み海辺をメンバーたちが去っていくラストには開放感と温かみがあって、実に美しいエンドロールでした。

 

ディレクターズ・カット版はウォルター・ヒル監督が当時持っていた思いやビジョンを表現したものに仕上がっているとのこと。

ギリシア文学が元ネタにあるということでそれにちなんだ説明が冒頭に追加、コミックブック的世界観の作品なので場面転換やラストでコミックの挿絵が挿入される…など所々違っていましたが、内容は変わらず。

コミック調の場面転換は勢いを削いでしまっていて、最初に見た劇場公開版の方がスムーズで感情移入しやすいように自分は感じました。

ガチンコ喧嘩アクションは「摩天楼ブルース」、不良大集合の景色は「狂い咲きサンダーロード」など、今年みたいくつかの作品と印象の重なる部分もありつつ、無駄のないシンプルストーリーであっという間の92分。いつみても面白い。

真夜中の都会を一緒に疾走した気分になる至高の青春アクションでした。