どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「デスマシーン」…(エイリアン+ターミネーター+ロボコップ)÷100

ブレイド」のスティーヴン・ノリントン監督による1994年公開SFアクション。

デスマシーン [DVD]

デスマシーン [DVD]

  • 発売日: 2000/11/22
  • メディア: DVD
 

低予算B級映画感が漂っていますが、出てくる殺人ロボの出来栄えが秀逸、オマージュという言葉には収まりきらない露骨なリスペクトにニンマリ。

これ系の映画が好きな人間にはたまらない1本になっています。

 

舞台は近未来。武器製造会社チャンクは秘密裏に違法な兵器開発を進めていたことが明るみになり世間から非難を受けていました。

新しく代表に就任した女社長ケイルは計画を中止させようとしますが社内で孤立。前社長も不審死を遂げていることが判明します。

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ブレードランナー」を意識した未来世界は90年代にしこたま作られたものかと思いますが、出てくるキャラクターの名前がスコット・リドリー。ここまで来るともう開いた口が塞がりません。

さらにチャンク社には性格は暴力的であるものの天賦の才能を持つというエンジニア、ジャック・ダンテ(笑)がおり、彼もまた秘密裏にロボを開発していました。

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↑長髪でゴスな雰囲気のブラッド・ドゥーリフ

危険すぎるロボの存在を知ったケイルはダンテをクビにしようとしますが、保管庫からデスマシーンなる殺人ロボットを出して反対派の人間を駆逐しようとするダンテ。

一方チャンク社に反感を持つ自称人道主義者のグループが社の倉庫を爆破しようと潜入を開始していました。

グループのメンバー、サム・ライミとユタニもダンテの反乱に巻き込まれデスマシーンの魔の手から逃げ惑うことに…(キャラの名前もうちょっとどうにかならんかったんかい)

 

映画的にはストーリーもカメラワークも何もかも凡庸です。

チャンク社がどういう組織なのか、軍事ロボはなぜ作られたのかなど背景が一切語られず、「会社ビルという密室の中で襲われる」せっかくのシチュエーションも、なぜ警察や警備が来ないのか話の詰めが甘く緊迫感ゼロになっているのは非常に残念です。

しかし何といっても素晴らしいのは殺人ロボ「デスマシーン」の造形。

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↑メカエイリアン!?っぽい頭部に恐竜を思わせる動き。

かなりの高速で動くためその全貌はなかなか目に映らず、鋼鉄の牙が噛み合わさる不穏な金属音、鉄の壁も容易に掘削する鉤爪と迫力満点です。

恐怖という人のフェロモンを追跡するらしく、時折映るメカ視点の画面は古いゲーム画面みたいだけどこれもまた味気があって良し。

銃弾をものともせずひたすらターゲットを追う姿はまさにターミネーター!!

 

デスマシーンに追い詰められたケイルたちは中止されていたはずの兵器開発プロジェクトを起動し対抗しようとします。

ハードマン計画と呼ばれるそれは「負傷した兵士から記憶と恐怖を取り除き強化人間に仕立て上げる」というまるでロボコップな悪魔の装置でした。

デスマシーンと戦うため、頭にディスクを取り付けボディスーツを着用し立ち向かうサム・ライミ…!!

デスマシーンの方に予算を使い過ぎてしまったのか、こっちはやたら軽い仕様なのが気になります。もっと鋼鉄感が欲しいような…

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けれどロケットランチャーがついたようなアームはカッコいいですし、「ディスクが入れば一瞬で戦闘の知識がダウンロード」ってところは「マトリックス」みたいでワクワクします。

 

全体的に機械的な社内のセットは80年代SFの雰囲気満点。

PSYCHO-PASS」のドミネーターのような造形の銃、簡易的に時間設定できる小型時限爆弾、同時に10本吸えるタバコ!?など小道具がとにかく素晴らしいです。

役者さんもブラッド・ドゥーリフはハマり役だし、ヒロインはジェームズ・キャメロン作品に出てきそうな硬派で力強い容姿でとても良いのですが、キャラクターのドラマが薄く盛り上がりに欠けるのが残念。

イカれエンジニアのダンテは女社長に惚れているというんだけど、これが取ってつけたような設定で何も活きてこない。

2人は以前付き合ってて元カレにストーカーされるとかドロドロの男女関係があった方が盛り上がったんじゃないでしょうか…(←インビジブルでも観とけよ)

スーツ着たライミのキャラクターがあまり立ってないのも残念で、どうせなら「眠ってた戦士を起動させる」方が面白かったんじゃないかなー。

やっぱり最後にはヒロイン自身がスーツを身につけてデスマシーンとタイマン勝負してほしかったような気もしますね。

スーツももっとガッシリした剥き出しのパワードスーツみたいなやつで…(←じゃあもうエイリアン2観とけよ)

海外では長いバージョンが収録されたBlu-rayが出てるみたいで、もうちょっと日の目をみてほしい作品のように思われます。

80年代傑作ムービーに恋焦がれた愛すべき90年代ポンコツ映画です。