どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ドーン・オブ・ザ・デッド」…意外に悪くないリメイクだった

ロメロ版のゾンビを先に観ていたので、リメイクはきっと観るに値しないだろうなーと公開当時期待ゼロで映画館に足を運びました。

匠の一皿なんて期待したらとんでもなく不味いものが出てくるに違いない…身構えていたら出てきたのはハンバーガー。あれ、なんか違う?思ったより旨いやん、そんな感じの映画でした。

2000年代の走るゾンビとしては「28日後」の方が先だったんですね。

ロメロゾンビと全く違う早い動きのゾンビに慣れる間もなく破壊されていく町から逃げるオープニング…冒頭から疾走感がすごかったです。

しかしあっさり他の人たちと合流し、あっさりショッピングモールを発見。

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↑返り血のついた手を噴水で洗うヒロイン。「彼岸島」レベルで感染が心配になるけど何も起こらなかった。

頭を撃てばOKというルールは適応されるようでちょっと一安心。

そして今回は仲間がどんどん増える。女性7人、男性8人。

人数が多い分、人間ドラマはテレビドラマのダイジェストみたいになっちゃってました。

妊娠した妻を庇っていたけど赤ちゃんもゾンビだった…のドラマももっと描写があれば感情移入できそうだけど、すごいサクサク進められちゃうのでグロさだけが際立って悲壮感が全く伝わってこない。

オリジナルにあったような虚無感はゼロ。でも皆んなでDIYしてるところは何だか楽しそうでした。

良キャラの1人は離れた武器屋で籠城するアンディ。

あんな世界で1人ぼっちは嫌だなあ、プラカードだけでも会話できてよかったなあとこの人は顔が映らずともキャラクターの気持ちが伝わってきました。

犬に食事を届けさせたら悲劇が…犬に非はなくむしろ訓練もしてないのによく口笛だけで届けに行ったね、と名犬だったのですが残念です。

そして圧倒的に男前だったのはCJ!!

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最初こそ態度は最悪だったものの根っからの悪党ではなかったようで…突然めっちゃいい人になったように思えるのでもう少し人柄に迫るエピソードがみたかったです。

仲間を見捨てず常にしんがりを務め「エイリアン2」のバスケスのように自爆。生き残ってほしかった。

 

映像は今みるとCGと分かってしまうようなゲーム画面みたいなところも多いし、話も改めてみると粗が多いです。

何で冒頭でのショッピングモールはあんなにガラガラだったんだろう、メル・ギブソンにちょい似な金持ち男の船を何で一瞬で見分けられたんだろう…と腑に落ちない点もちらほら。

突き抜けてボンクラ映画してるわけでもないからチグハグに思えてしまうけど、出てくるゾンビの速さと疾走感で何だか誤魔化されてしまいます。

ガントレット」みたいにバスでゾンビを突破するクライマックスは素晴らしく、絶望感たっぷりの中あの手この手で戦うのにドキドキしました。

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最後の船→孤島は「サンゲリア」を意識してるのでしょうか。(トップレス女性も一瞬映ったことだし)

テレビニュースの映像で、トム・サヴィーニケン・フォリースコット・H・ライニガーが出演しているのは嬉しかったです。

昨年みた「サスペリア」のリメイクは受け入れられなかったのにこっちは良いと思うのはなんでだろう…リスペクトがきちんと感じられるからかな。

人間同士で争ってしまうという基本のドラマを要所要所で取り入れつつ、ゾンビについては中途半端に模倣せず潔く別モノとして見れるようにしてくれたのが良かったのかな、と思います。

オリジナルにあった政治色も哲学も人間ドラマも皆無、ゾンビそのものの出来も比較にならないのですが、総じてみると悪くないリメイク作品でした。