どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

ドル3部作「続・夕陽のガンマン」4K復元版を観てきました

♫アアアアアー

自分の人生のベストの1本、「続・夕陽のガンマン」4K復元版を劇場で観てきました。

大音量で響く黄金のエクスタシー、三角決闘の圧巻の景色…何もかも最高でありました!!

 

自分が「続夕陽」を初めてみたのは大学生の頃。

TSUTAYAで借りてきたのを小さなテレビで再生。バイトが終わったあと夜中1時頃から観始めて「眠くなったらそのまま寝よう」なんてぞんざいな態度で観始めたのにところがどっこい、とんでもない面白さで…

トゥーコが墓を走り回って探すところからはアーチ・スタントンの墓ホンマにあるんかー!!?と大興奮で座ってみていられませんでした。

映画をみていて「何だこれは!?」と打ちのめされる作品との出会いが度々あって、自分にとっては「ゾンビ」や「サスペリアPart2」、近年観たのだとフリードキンの「恐怖の報酬」などがそれに当たりますが、「続夕陽」も今までこれを観ずに映画好きって言っててごめんなさいー!!と叫びたくなるような面白さでありました。

 

自分がこのとき初めて観たのが162分の国際版というやつで、その後「夕陽コレクターズBOX」が出た時に観たのが178分の完全版。

完全版は長く感じて短い奴の方が好き…と思っていたのですが、今回3時間、劇場で観るとあっという間でした。

次から次へと見せ場が来て飽きさせない…!!

人物のやり取りがコミカルでとにかく楽しい…!!

 

やはり今作の主役はトゥーコ。

汚ねえ奴というか、あの読み上げられている罪状からしてめっちゃ悪い奴なんですが、なんか憎めなくて愛らしい。

劇場でもトゥーコの面白シーンで度々笑いが起きていて、墓の名前を知ったブロンディを手のひらクルーで必死に介抱するところ、南軍と北軍を見間違えて将軍バンザイ言っちゃうところ…何度観ても笑ってしまいます。

完全版はトゥーコの孤独な心の内を描いた場面がより増していた印象ですが、お互い思うところがあっても決して消えない兄弟愛、よそ様の前では家族を悪く言わない気高いところ…

獣のような男が持つ人間らしい一面のギャップ。

強がりで寂しそうにも映るけどどこか健気で、逞しく荒野を1人で生き抜こうとする姿には愛おしさが込み上げてきます。

ブロンディを罵る言葉が自分が言われてきて嫌だったことなのかもと思うと切ないですね…

めちゃくちゃ根に持つタイプでもありますが、ブロンディを追跡するシーン、捨てた煙草の火加減で距離の縮まりをみせるの、カッチョよかったです。

射撃の腕は一級。銃器店で良いものを嗅ぎ分けてカスタマイズ銃を組み上げていくところなど改めて観てもカッコよく、実に魅力溢れる主人公でした。

 

そして〝いい奴〟とは思えない、結構冷血漢なイーストウッド

なんだかんだトゥーコに分前を残すところや、兵士を静かに看取るところなど、3人の中では善玉だと自分は思うのですが…

the goodのテロップが出るタイミングはなぜか仲間を置き去りにする場面(笑)。こういう乾いたユーモアにニヤッとさせられます。

灼熱の砂漠を歩かされるシーンは大画面でみると余計に痛々しく、トイレを心配して水分を控えて劇場鑑賞に臨んだだめ、喉の渇きを一緒に体感しているような心地になりました(笑)。

終盤ではポンチョを拾っておなじみの姿に…

夕陽BOXのブックレットでも「ドル3部作」は実は時系列が逆…という説が語られていましたが、「続夕陽」から「荒野」に向かって観直すとまた面白そうですね。

 

リー・ヴァン師匠は3人の中でダントツで出番が少ないけど、冒頭の豆煮食らうシーンがやはり鮮烈。

前作と全く異なる悪のオーラを放っているのが凄い…!!相変わらず素晴らしい存在感でした。

 

途中で戦争の悲惨さが描かれ、無頼漢たちにも迫ってくる非情な現実。戦場という狂った場所では逸脱した人間の方がまともに見えてしまう皮肉。

作品のトーンが変わるのでこの辺り好みが分かれるところかもしれませんが、ストーリーの軸はずっと主人公たちのまま、重苦しくはなっておらず、エンタメと荘厳な大作感が見事に混在。

橋爆破シーンでは静かなカタルシスに沈み込みました。

 

そして「黄金のエクスタシー」が流れるなか映し出される墓場の圧巻の景色…!!

「世の中には2種類の人間が…」も何かにつけて真似したくなる名台詞。

三角決闘のシーンは大画面で観るとやはり大迫力…!!

ああいう三すくみのシーン、他のアクション映画で山ほど観ているはずなのに、あんなに長いタメで見せられると新鮮で、どうなるんだろう!?と初見はドキドキが止まりませんでした。

人物のアップが魅力的というか、観てるだけで吸い込まれるような役者の顔が凄い…!!

大音量でかかるモリコーネのThe Trio、もう堪りませんでした。

 

バディものというには素っ気ないトゥーコとブロンディの関係ですが、悪玉を倒すのに相容れない2人がほんのいっとき協力関係に…このドライさがかえって胸熱。

ブロンディがどこまでも荒野を駆けていくラストを見守りながら、映画が終わってしまうことが名残惜しく思われる位、最高の時間でした。

 

新聞広告ポストカード、今回もいただけて無事3作コンプリートできました。

前売り3作品購入でいただけた復刻プレスシート、「続夕陽のガンマン」分。

物語の終わり部分、「2人はまたコンビを組んだのだった」…って書いてあるけどホンマでっか(笑)。


もう1度観に行きたいけど、上映スケジュール的に自分は複数回鑑賞は厳しそう…1週ごと1作品の鑑賞になりましたが、無事完走できて感無量です。

ホラー映画ファンは一定数いそうだけど、マカロニ観る人って本当に少なそう…と思っていましたが、劇場かなり賑わっていて嬉しかったです。

また定期的に再上映してくれないかなあ…と密かに期待。

最高の映画を劇場体験できて感謝感激です。