どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

印象的な映画の食事シーンをあげてみる

映画の中で度々描かれる食事シーン。

人物の内面を描写する重要な場面になっていることもあれば、特になんの意味もなく誰かがなんか食べてるだけのシーンもあったりして…

個人的に印象に残っている、映画の中の食事シーンをいくつかあげてみたいと思います。

 

◆「フレンチ・コネクション」の高級料理vs安いピザ

麻薬取引を追跡するドイル。

あったかいレストランでステーキだのエスカルゴだのいいもの食べてる敵さんたちとは対照的に、手がかじかむような寒い中、突っ立ったまま相棒が持って来た差し入れピザに食らいつくドイル。

冷めたコーヒーをじゃーっと捨てる姿も…

執念の尾行を一層応援したくなってしまう名シーン。

 

◆「殺しが静かにやって来る」のチキンを頬張るおっさん

雪景色が舞台の異色マカロニ・ウエスタン。

主人公が訪れる無法地帯の村の酒場で豪快にチキンを頬張る賞金稼ぎのおっさん。

口に飯入れたまま喋るわ、ギットギットの油まみれの手をコートで拭くわ…汚いことこの上ないのですが、ワイルドな食いっぷりになぜか見惚れてしまいます。

 

◆「続・夕陽のガンマン」の豆煮を食べるリー・ヴァン・クリーフ

よそ宅に突然上がり込み一家の飯をスプーンでかき食らうリー・ヴァン・クリーフの迫力。

こんな鋭い眼光の人が来たらビビってすくんでしまいそう…

この男只者じゃないと一気に引き込まれる冒頭、そして確かにこいつは「悪い奴」…!!

 

◆「パルプ・フィクション」のバーガーを食らうサミュエル・L・ジャクソン

ビッグマックはフランス語で何と言うか…冒頭から始まる何の意味もない飯の雑談。

「続夕陽〜」へのリスペクトなのか、突撃したチンピラ宅で相手の買ったハンバーガーを横取りして目の前で食べるジュールス。

「スプライトで胃に流してもいいか?」…これ観るとバーガーが食べたくなっちゃいます。

 

◆「イングロリアス・バスターズ」のランダ大佐といただくシュトルーデル

とにかく飯のシーンが多いタランティーノ

ランダ大佐がミルクを飲む冒頭のシーンも「続夕陽〜」っぽかったですが、大佐とヒロインが邂逅するシーンにもドキドキ。

クリームの載ったシュトルーデルはとっても美味しそうですが、ショシャナは緊張できっと味どころじゃない。

最後によその国の名物料理にタバコ押しつけて去っていく姿が実に憎々しく、紳士な態度とすごいギャップであります。

 

◆「或る夜の出来事」のコーヒーに浸すドーナツ

じゃじゃ馬娘とツンデレ男のラブロマンス!?古い作品だけどこれ系ロマンスの元祖で面白いです。

朝食に出てきたドーナツをコーヒーにびちゃっと浸して食べるヒロイン。

それをみて「浸すのは一瞬だけ、ちょっとだけにしてみろ」と自分の流儀を教える男。

庶民の男とお嬢様にも意外な生活の共通点が…2人の距離が縮まる名シーン。

 

◆「スタンド・バイ・ミー」のパイ食い競争

幼馴染のAちゃんは「スタンド・バイ・ミー、何回見てもパイ食い競争のとこしか覚えてへんねん」と言っていた(笑)。

異質でちょっとホラーテイストな感じもしますが、自分もこのシーン大好き。

アメリカってこういうイベントを異常なテンションでやってそうな勝手なイメージ。

 

◆「フレンジー」のイギリス人妻がつくる激マズ料理

連続殺人事件を追う警部の妻は料理教室に通っているらしく、帰宅すると珍料理ばかりを出してきます。

泥水みたいな魚介のスープ、豚の足丸ごとの美的センスゼロの肉料理…

イギリスのメシマズイメージがますます加速。

ショッキングな殺人シーンと裏腹にこういうユーモラスなシーンを混ぜてきて笑わせてくれます。

 

◆「ゴッドファーザーPart2」、3人で食べる始まりのスパゲッティ

若き日のドンの回想シーン。

みかじめ料を払うかどうか話し合いになり、「俺が話をつけてくる」と語るドン。

ドンの奥さんがつくったミートスパゲッティが運ばれ、それを食べるクレメンザとテッシオ。

強い絆の生まれた瞬間…だけど内1人は裏切るんだよなあ…2人のキャラの違いが明確に描写されているのも面白いです。

1であれだけ大きなファミリーになった出発点はこんな小さな食卓からだったんだ…としみじみ感じさせる名シーン。

 

◆「月の輝く夜に」の母娘で食べるトースト

ブコメだけど、全編食べるシーンと言っていいくらい食事の場面が多い映画。

中でも印象的なのは、シェール演じるヒロインが母親と食べる「パンの真ん中をくり抜いて目玉焼きを入れるトースト」。

手料理を振る舞われたニコラス・ケイジが胃袋を掴まれて突然恋に落ちたり、家族が食卓でケンカしたと思ったら仲直りしたり…食べる=生=性みたいな映画で、観るとなぜか元気が出ます。 

 

◆「バベットの晩餐会」、人生の迷いを全て吹き飛ばす最高の食事

高齢化が進む敬虔なキリスト教徒の村。

フランス人シェフ・バベットの一級の料理が人生の良い思い出だけを蘇らせ、許しと感謝の心をもたらす…

言葉がなくても老人たちの表情で伝わる料理の美味しさ。

料理(芸術)の持つ圧倒的パワーに心が清められたような気持ちになる、至高の食事映画。

 

◆「戦場のピアニスト」の命を繋ぐパンとジャム

飢えの恐怖がひたすら迫ってくるような映画。

なけなしの食料を奪われ泣き叫ぶおばあさんと地面に落ちたそのご飯を犬食いする男…小さなキャラメルを一家で切り分ける切実な姿…次の隠れ家に移動するため一息つく間もなく大急ぎで食べるスープ…

ホーゼンフェルト大尉がくれた新聞紙に包まれたパンを受け取り、ジャムを舐める主人公の恍惚の表情にはこちらも生き返ったような心地に…

細い生命線を辿るような食事シーンに圧倒されてしまいます。

 

◆「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」、突撃する息子と食事する父

無謀な突撃を命令され死地に赴くファラミアたち兵士と、その対比として描かれる父デネソールの食事。

ピピンの歌声が鳴り響く中、食事をとるデネソールの食べ方がワイルドというか原始的というか…

ゾンビ映画のようなグロさが炸裂、悲壮感が際立っています。

 

◆「ヘレディタリー」の地獄の食卓

楽しいはずの一家団欒の食事、家庭によってはギスギスした重苦しい空気に… 

妹の死はお前のせいだと長男を責める母親。 

間に入るオトンも限界、息子が気の毒すぎて絶句。

メンタル病みまくりのオカン、フォークの持ち方がもうおかしいって…

思わずうめき声をあげたくなるような、心に突き刺さる地獄の食事シーン。  

 

◆「クレイマー、クレイマー」、父子でつくるフレンチトースト

バラバラだった父子が見事な連携をみせてつくるフレンチトースト。

その成長と絆の強さに目を見張りますが、別れが近づいていて同時に哀しさも込み上げます。

アイスクリームダメ!!のシーンも、ジャスティン坊やが可愛くて心に残る名シーン。

 

◆「カーリー・スー」の宅配ピザとポップコーン

ホームレスの父娘が主人公のコメディ。

基本毎日お腹を空かせているので食べるシーンがやたら多かった記憶。

裕福なお姉さんが注文してくれた宅配ピザにかぶりつくシーン、女の子の食べっぷりが素晴らしい。

この他にも、映画館で隣の人のポップコーンとコーラを勝手に拝借してタダ食いするシーンがあり、めちゃくちゃだけど緩いテキトーさに爆笑。

 

◆「風来坊/花と夕日とライフルと…」、豪快に豆煮を食らうガンマン

とにかく飯をうまそうに食らうガンマン、テレンス・ヒル

画面越しに臭ってきそうなくらい汚い服に身を包み颯爽と登場。

石かと思うくらい硬そうなパンを引きちぎり、フライパンごと豆煮を豪快に食らう姿に皆唖然となるも、こんなに美味そうに完食してくれたら作った方も嬉しいかも(笑)。

 

◆「マッドマックス2」、ワイルドな世紀末の食事

荒廃した未来では人間もドッグフードを食らう…!!

犬缶を頬張るメル・ギブソンがなんともワイルドで格好よく、美味しそうにみえてくるから不思議。

中身はコンビーフにみえますが…

上下関係をしっかり分かっているワンちゃんが賢くて可愛いらしく、その名演技に魅了されます。

 

◆「アルカトラズからの脱出」の変な白いパスタ

トレイに載った不味そうな刑務所メシ。

千切れたうどんにしか見えないけど、向かいの囚人が「パスタは好きかね?」と聞いているので多分パスタ。

ペットのネズミにご飯を分ける囚人と、長い麺を大口あけて啜るホモの「これからお前を犯る」のサイン…アメリカの刑務所ものあるあるが濃縮されたような印象的なシーン。

 

◆「いとこのビニー」、南部のコーングリッツ

ニューヨークから南部にやって来たポンコツイタリア系弁護士がモーテルのダイナーでいただく朝ごはん。

メニューが「朝食 昼食 夕食」とアバウトすぎる(笑)。目玉焼きとベーコンをとんでもない量のラードで焼くのにもびっくり。

ところがここで初めて口にした”グリッツ”が弁護の行末を変える突破口に。

アメリカって地域によって食文化も何もかも違うのかな…そのカルチャーギャップに驚くシーン。 

 

 

◆「脱出」、束の間のあたたかい食卓

田舎で楽しむレジャー休暇が一転して地獄のサバイバルに…

どえらい目にあって帰還した主人公たちを迎える地元の人たちの食卓。

心温かく迎え入れられ、ほんのいっとき全てが洗い落とされたような気持ちになります。

 

最後にグロ系ホラーを3つ。
↓↓↓ 

◆「ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛」、解体直後に食事する強者メイド

死体を愛する坊っちゃまと彼に付き従う年上のメイド。

死体をバラバラに解体して溶かした直後、着ていたエプロンもそのままに煮物を豪快にかき食らうメイドのおばちゃんが強烈(笑)。

メイドを見てオゲーッとリバースする坊ちゃん、それをニタニタ笑ってみるメイド…一体なんのプレイやねん、と困惑するもなぜか記憶に残る名(迷)シーン。  

 

◆「スクワーム」のスパゲッティ

子供の頃、レンタルビデオ店でグロいジャケ写を発見。「これ観ながらカップラーメン食べれるかやってみようや!」などと言いながら友達とはしゃいでいた記憶…(結局そのときは観なかった…)

凶暴化したゴカイが大量発生し異常を訴えるも、仕事をしない保安官はデートでミートスパゲッティを食べてる最中。

否が応でもミミズを連想させて何とも嫌らしい(笑)。

食欲をなくすような映画なのに飯関連のシーンが印象に残る1本であります。

 

◆「食人族」、食人族の飯を口にする教授

ジャコウネズミを切り裂くシーン、生きた亀をそのまま解体するシーン…目を背けたくなるような残酷なシーンが多いですが、自分が毎日食べている肉魚も命をいただいているものなのだと改めて実感させられます。

現地の調査にやって来た教授は地元の人たちから差し出された人肉を拒まず口に入れる…

違う文化の人たちを見下さず郷にいては郷に従えを実践した教授と蛮行に走った学生たちの対比…

ゲテモノ映画のようでいて、道徳の授業のような大切なことを教えてくれる作品。

 

◇◇◇

食事シーンのある映画、思い起こすとたくさんあって印象に残る場面が多い気がします。

食欲をそそられるもの、人間ドラマを感じさせるもの…それぞれ味わい深いです☆彡