高校生版ダイ・ハードな、1991年公開の青春アクション映画。
キャストは地味だし、お金もそんなに掛かってない気がするけど、起承転結に一切のよどみがなく、今観ても充分面白い!!
脚本はのちに「ミッション・インポッシブル」「スパイダーマン」などを手掛けたデヴィッド・コープ。
監督は「ビバリーヒルズコップ」「ターナー&フーチ」のシナリオ担当としても知られるダニエル・ペトリ・Jr.。
舞台は自然に囲まれた全寮制の男子校。
上品なお坊ちゃん学校かと思いきや、実は転校を繰り返す問題児を受け入れる〝最後の砦〟のような学校でした。
その中でも主人公ビリーは、筋金入りの問題児。
でもイジメや暴力をするわけじゃなくて、アイデア商品なお酒を密造したり、アダルト・チャンネルを夜中に皆んなでこっそり聴いたり…大半可愛げのあるいたずらとしてみれます。
ツッパリの精神みたいなのは理解できないけど、〝エネルギー有り余った男子校〟の雰囲気が、観ててすごく楽しい。
教師陣もまたいい人で、教頭先生(ルイス・ゴセット・Jr.)の抜群の包容力…!!生徒の反骨精神を認めながらも規律の大切さを教える…なかなかいなさそうないい先生。
こういうアメリカのティーエイジもの観てると、「あんたホンマに高校生でっか?」みたいな見た目の学生が結構多い気がするけど(笑)、この「トイ・ソルジャー」のキャストは、みんな少年らしいというか、〝子役〟が揃ってるなーという感じ。
そして刑期中の仲間を釈放するようにと政府に要求するテロリストたちがこの学校にやって来るのですが…
テロリストは全部で10数人くらいなのかな、この人数で92人の全校生徒を管理するのはなかなか大変そうで、有力者の息子20人くらいに絞って囲った方がよくない??と冷静にみると思ったりして。
その上自由時間までつくってくれて、決まった時間に点呼するだけとか、めっちゃ甘々ルール(笑)。
このあたり実にボンクラ映画なのですが、テロリストvs生徒の構図が、看守vs囚人にもみえてきて、自由を求めてのコツコツした隠密行動…これが冒頭の先生に隠れてのイタズラの応用みたいな感じで生かされていくのが上手い。
主人公ビリーはなんとなくマックイーン意識したのかな、なんて思ってしまいますね。
そして、ここからはネタバレになりますが…
仲間の1人が死んでしまうのが意外な展開…!
マフィアの息子ジョーイ(「スタンド・バイ・ミー」のゴーディ)、自分の親の仕事が嫌いって、若い頃のマイケル・コルレオーネみたいですが、すごい真面目そうな子…。
自分だけ親のドス黒いコネで助かるのは嫌って疎外感も分かるけど、お父さんが息子の命なんとしても助けたいっていう気持ちも分かる。
ジョーイが抗って撃たれるシーンは、悲しいけど「青春!」って感じがします。
その後のマフィアによる粛清の展開は手が早過ぎてびっくり。
さすがロイ・シャイダーを地球の反対側まで追い詰めるような集団…!!身内殺されたら絶対やり返すマフィア、テロリスト陣に負けず怖いですね。
クライマックスは畳み掛けるような疾走感で、センチメンタルに寄せず、硬派な80年代アクションの仕上がりに…でも先生と生徒の信じ合う絆でまとめたところが爽やかな後味。
子供の頃ビデオかテレビでみて、すごく記憶に残る作品でしたが、なかなかこの手のアクションの中では光り続ける良作な気がします。