どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「処刑教室/クラス・オブ・1984」…不良高校生vs教師、衝撃の全面対決

コマンドー」のマーク・L・レスター監督による高校を舞台とした82年のバイオレンスアクション。

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荒れまくりのアメリカの高校、おっかなさすぎる…!!

同系統の作品としてトム・ベレンジャーの「野獣教師」が思い浮かびますが、あちらほどアクションに振り切っておらず、主人公が強すぎない普通の教師なのがGOOD。

未成年ゆえ生徒がたやすく刑罰を逃れ、教師の方がジリジリと追い詰められていく展開にドキドキ。

スプラッタ映画ばりのクラマックスの〝処刑〟には仄暗いカタルシスも感じてしまいます。

◇◇◇

荒廃したリンカーン高校に赴任してきた音楽教師のノリス。

金属探知機で生徒を検問する朝の登校風景、自衛用に銃を携帯する同僚、麻薬の密売会場と化したトイレ…どこまでリアルに寄せてるのか目を疑う衝撃の教育現場最前線。

ノリスは事なかれ主義の校長たちに同調せず、学びを求める生徒に熱心に授業を実施。クラスをオーケストラのコンクールに導くことに成功します。

しかしそれを面白くない思わない不良グループのリーダー・ステッグマンはノリスの自宅にまで嫌がらせをしにやって来るなどその行為はどんどんエスカレート。

ステッグマンたちの売ったドラッグが原因で事故死する生徒まで現れ、堪忍袋の切れたノリスは彼らと対立を深めていきます…

 

面白いのは不良リーダーのステッグマンが暴力一辺倒の馬鹿では全くないところ。

ピアノも弾けて意外なことに裕福な家庭の育ち。

頭が切れて立ち回りが上手く、未成年という立場を存分に利用して悪さをしてくるのが嫌らしい。

ノリスが家庭訪問すると「うちの子は天才なんだから…!!」などと喚きながら門前払いする母親がモンペでなんだかリアル。

あるよね、こういうオカンが過保護でなんかグレちゃう家庭も…

「この世は苦痛」「一緒にくたばろうぜ」などと呟くステッグマン、破滅願望がありそうです。

どこぞのグレートティーチャーなら彼に寄り添ってくれる展開もあったのかもしれませんが、本作は主人公も中々破天荒、生徒の車ぶっ潰したりやられたらやり返すのが凄い。

不良グループも明らかに度を越していて簡単に更生するような輩にはとてもみえず、生徒を守っても教師のことは一切守ってくれない学校の対応が理不尽。

ハートフル学園ドラマしないまま対決に突入する展開がリアルであります。

 

密売を目撃しつつも怖くて証言できない気弱な生徒役にブレイク前のマイケル・J・フォックス(ちょっとぽっちゃり)。

事なかれ主義で生徒と距離をとっていたけれど、静かに溜めていたストレスが爆発する生物教師役にロディ・マクドウォール

銃を片手に不良生徒どもに口頭テストをしていく場面は緊迫感たっぷり、内心「やったれ!!」と思ったりもして、観ているこちらも暴力に魅入られてしまいます。

 

わらの犬」ような展開を辿っていく怒涛のクライマックス。

妻を凌辱されたノリスは生徒を1人ずつ〝処刑〟していきます。

地獄の門」の電動ドリルさながらのアイテムが登場したり、まるで「サスペリア」な強烈な死に様が待ち受けていたり…ほとばしる暴力描写に絶句。

処刑の間、真面目に先生についてきた生徒たちがコンクールの発表をしていて、それが最後に台無しになってしまうのが悲しいですね…

カタルシスを感じさせつつ、暴力の代償を突きつけられたようなラストですが、「目撃者いなかったのでヨシ!!」となる最後のテロップには閉口(笑)。

アメリカおっかなさすぎます…

 

荒削りなとこもありつつ、守るべき存在の子供から牙を剥かれて追い詰められる大人の姿がなんだかリアル。

スカっとアクションとシリアスドラマが両方しっかりあって良く出来た作品でした。