コロナ禍で引き合いに出されることも多く、タイトルだけは知っていたのですが、ずっと未見だった作品を午前十時の映画祭で初鑑賞してきました。
パンデミックものかと思いきや後半は怒涛のアクション。まさに1粒で2度美味しい作品。
最後の橋のシーンは夏に観た「ミッションインポッシブル7」よりも迫力があって思わず声が出てしまいました。
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ジェリー・ゴールドスミスの音楽が鳴り響く中、一切のセリフなくスタートする冒頭。
救急車の担架を上から追ったカメラアングルなど緊迫感があって一気に惹きつけられます。
細菌類に感染したテロリストが逃亡し国際列車に逃げ込むというシンプルなストーリー。
ワンちゃんのお皿から水飲むわ、調理室で咳を撒き散らすわ、やったらアカンことばっかりしててイライラ(笑)。
発見されたあとの隔離は衝立もマスクもないわ、外科医が内科の診察をするわ…めちゃくちゃに思えてきますが、もう絶対感染してますやん…と初っ端から絶望一直線なのが新鮮でした。
とにかくキャストが豪華でびっくりでしたが、凄腕神経外科医のリチャード・ハリスとソフィア・ローレンは別れたりくっ付いたりを繰り返しているカップル。
2人の恋愛ストーリーにはイマイチ乗れずでしたが、中年が主人公なのは味があっていいですね。
ソフィア・ローレン綺麗だけど叶恭子さんに似てるなあ…と迫力あるお顔に圧倒されて観てしまいました。
1番気の毒だったのは収容所に送られた過去のトラウマが蘇るお爺さん。
リー・ストラスバーグ、「ゴッドファーザー2」の敵役のイメージが強かったけど、こちらでも凄い存在感。
どうみても神父にみえないOJシンプソンのキャラクターも子供とのドラマがあってなんだかんだで見せ場あり。
脇役でアリダ・ヴァリが出演しているのにも驚きました。
けれど1番魅力的だったのはエヴァ・ガードナー演じる富豪のおばちゃんとそのジゴロやってるマーティン・シーンのカップル…!!
犬を溺愛する性欲強そうなマダムとパッとしない長髪の登山家…結構な歳の差だけど、マダムが坊やを包み込む感じなのがいいですね。
一大危機に対処すべく難役を引き受ける恋人に「私のためならいいのよ」とマダムが声をかけるも「別にあんたのためじゃないんだからね…!!」とツンデレ対応なマーティン・シーン(笑)。
ミッション・インポッシブルな活躍を見せるかと思いきやあっけなく散ってしまう…安易なハッピーエンドにならないのが70年代らしく趣を感じました。
ビックリだったのは病死する人がごく僅かで、病原体云々の恐怖は少なかったこと。
情報を知らされず隔離される怖さ、制圧しようとする軍人との対立など人間同士の争いの方に重きを置いていてロメロ作品のような味わい。
窓にバリケードが貼られていくところが無情で1番怖かったです。
めっちゃ銃撃ちまくるリチャード・ハリスにあんたホンマに医者でっか…とツッコミつつ、ラストのカサンドラクロス橋の攻防にハラハラ。
模型を使っていると分かるところもあったけれど、鉄棒が列車を貫通したり、車両がサンドして潰れたり、死の恐怖が感じられる迫力ある画が素晴らしかったです。
「前の車両を切り離せば後の車両が助かるし、重みが減って前が助かる可能性もあがる」…合理的に判断を下すところは医者らしい。
憎まれ役はバート・ランカスター演じる軍人ですが、ラストにはそんな彼にも監視がついていることが発覚。
仄暗いエンドがまた70年代らしく、余韻が残りました。
午前十時の映画祭も年末年始にこの作品をぶつけて来るなんてよっぽど人気の映画なのかな…と思ったのですが、ちょうど76年の年末に公開された作品だったそうで、さぞかし興奮のお正月映画だったことでしょう。
今年はリバイバル上映を幾つか観たけれど、いつもよりお客さんの平均年齢がやや高めに感じました。
相変わらず旧作の鑑賞に偏りがちな1年でしたが、年の終わりにいい映画を観れて感謝!!
面白い大作映画を観た満足感が残りました。