どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「蝶の毒 華の鎖」は大正エログロ路線の乙女ゲー!?

昔からゲームには興味が薄く、コントローラーを操作する才能も皆無で、せいぜい人がプレイしているのをみているだけ…というのが多かった私…。

しかし大人になったある日、強烈な現実逃避がしたい…!と乙女ゲーをやってみることに(笑)。

選択肢から選んでシナリオを読むだけのゲームなら才能は関係ない。

どうせならタイムスリップもしてみよう…と手にとったゲームがどストライクでハマってしまったので、今日はそのゲーム「蝶の毒 華の鎖」について語ってみたい。

※大筋を語りつつ、ストーリー詳細についてはあまり言及しない感じで語ろうと思います。

 

蝶の毒 華の鎖~大正艶恋異聞~ - PSVita

蝶の毒 華の鎖~大正艶恋異聞~ - PSVita

 

 

 

「蝶毒」の舞台は大正時代…殺人事件の犯人は誰だ!?

 「蝶の毒 華の鎖」(略して”蝶毒”とよばれる)の舞台は大正時代。主人公は没落貴族の1人娘で、そろそろ結婚話が持ち上がりそうな雰囲気の、若い女性。名前は自由に入力できるが、設定されているお名前は野宮百合子となっている。

 

「乙女ゲーは基本言い寄られて、選びたい放題」などと思っていた私だが、蝶毒はゲーム開始早々に事件が起こる。「これもしかして計画殺人…?」「犯人誰なん!?」「攻略キャラの中にいるんかな!?」とグイグイ引き込まれる展開である。

BGMも、スチルも、どこか薄暗い雰囲気で、ダークで、退廃的な感じがする。

夜中になると、ホラーゲームをやっているような、独特の恐怖感があったのだが、これも自分にはたまらなくツボだった。

 そして攻略キャラ(男性陣)はほとんど変人ばかり!?とにかく濃ゆい、善人・悪人で分けられないような複雑な男たちに囲まれながら、屋敷で不気味な事件が次々と起こる。

「一体誰が味方で、誰が敵なんだ!?」…恋愛のドキドキもさることながら、作品のサスペンス展開に一番胸がときめいてしまったかもしれない。

 

 

ビックリするほどエロい

せっかく2次元で恋愛を楽しむんだもの…現実では味わえないアブナイ恋がしてみたい…!!なーんて…思っていたのも束の間、「ええっ、大丈夫、コレ!?」と乙女ゲー耐性のない自分にはふっ飛びそうな刺激があった。

この蝶毒、2011年にPC版が発売後、2014年にVita版が発売されているのだが、Vita版では、レイティングの都合上、どエロイ濡れ場がカットされている。自分はVita版プレイ後、より評価が高いというPC版に手を出したのだが、「うわあ~」となってしまった。

なんというか、蝶毒のエロは、背徳感のあるエロスなんです…!

決してエロだけが浮いているのではなく、シナリオが面白いからこそ、エロシーンが生きてくる…!人物描写がしっかりしているからこそ、「このキャラクターはこういう性癖」というのが生きている…!

とあるルートでは、なんか新しい扉が開きそうになりました…。「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の主人公たちに「これがアブノーマルよ!」と言って叩きつけてやりたい。

 

 

 短くて完璧なシナリオ&魅力的なバッドエンド

蝶毒のゲームの特徴として、「プレイ時間がかなり短いこと」があるのではないかと思う。ゲーム系の知識皆無な自分がいうのもなんだけど、まる1日プレイして、全ルート巡れるくらい…ってかなり短めなんじゃないでしょうか。

しかし、短いのが逆にいい…!!

余計なシーンが一切なく、短い中に緊張感が続く、ダレないところも、ゲーム初心者の自分には逆に良かった。

また乙女ゲームというものの基礎的な知識が不足していた自分にとっては、「バッドエンドがしっかりと描かれている」ということ自体、新鮮だったが、この蝶毒ときたら、バッドエンドの方が、なんかイイのである。

乙女ゲー=とりあえずイケメンのどれかとくっついて終わり…と思っていた自分には、それ以外の想像がつかないようなルートがいくつも用意されていることが、大変な驚きだった。

攻略制限がかかっていて、条件を満たすと解放されるルートがあるが、このルートに突入する瞬間には、鳥肌がたった。

それまで攻略してきたルートでの伏線が綺麗に回収されるような展開で、収束していく感じがたまらない。

1つ1つのルートがパズルのピースのように埋められ、俯瞰でみたとき、どういう物語だったのか分かる。自分はゲームをしない層だけど、こういうのがゲーム特有の面白さなのかなあ、と思わせてくれた。

「ああ、このキャラはあのときこうだったからこういう行動をとっていたのか~」という振り返りがとても楽しかった。

 

 

女性キャラクターが魅力的という奇跡!?

なんとなく、自分は、乙女ゲームの主人公は、色のない、「何者でもない者」でなければならないというルールがあるのではないかと思っていた。色をつけてしまうと、プレイヤーが自分を投影できないっていうジレンマがあるのではないかと…。

しかし、この蝶毒、主人公の百合子さまが魅力的なのである…!!

自分勝手ではないけれど、自分をもっている。つらい出来事に耐える強さ、健気さ。男たちを翻弄するが、嫌な女になっていない。吊り橋効果もあるのか、恐怖を乗り越える主人公を応援したくなる。

そしてなんといっても、彼女がルートによって、淑女にも、悪女にもなって、色んな顔をみせてくれるのが楽しい。

「人間、ほんの数ミリ状況が違うと、まったく違うところにいっちゃうこともある」というのが、シナリオの説得力をもってキャラクターに生かされているのが蝶毒の魅力ではないかと思う。

 

また蝶毒には、主人公以外にも、もう1人、魅力的な女性キャラが出てきて驚かされた。乙女ゲーの主人公以外の女性キャラといったら、当て馬的なおかざりのキャラクターなのかな、などと思っていたが、なかなか男性陣をも食いかねない強烈なキャラ…!

自分はまったく声優にも詳しくないのだけれど、このキャラクターの声は、国民的アニメ!?でもよく聴く声ですぐに分かり、「すごい迫力…!」と聞きほれてしまった。

いやあ~年上のお姉さまも素敵ですね~。

 

蝶の毒 華の鎖 幻想夜話 公式ビジュアルファンブック ?ombre et de lumiere?

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蝶毒はヒットしたようで、2012年には、「蝶の毒 華の鎖 幻想夜話」というファンディスクも発売されている。(こちらはVitaに移植されていない。)

内容的には、本編の後日談で、かなり短いプレイ時間で攻略することができるのだが、「みたかったものを見せてくれている」感が満載で、グッドエンドの続きだけでなく、バッドエンドの続きも用意されていた。ハマってこっちにまで手を出してしまった…。

 

想像していたロマンティックな歴史ものを遥かに超えてきた、大正エログロサスペンス!?

結局蝶毒にハマったあとは、この1作になんだか満足してしまい、ほかの作品には手を出していない。(プレイした乙女ゲーは蝶毒とその前にプレイしたもう1作だけ…)

蝶毒のメーカーさんはもう新作をつくっていないようで残念だ。自分みたいなゲーム全然やらん人間まで、こんなに楽しめて、本当、大満足の乙女ゲームでした。