「このゲームをやると青春がやり直しできるんですよ。」…以前勤めていた職場の後輩がそんな気になる言葉で薦めてくれて…
ドラクエにもFFにも手をつけたことがない位、普段ゲームをしない人間なのですが、〝青春やり直し〟という言葉に強く惹かれてしまい、アラサーで人生初のRPGにチャレンジしたのがコレでした。
結果、物凄くハマってしまって、プレステ2でやってから、その後にはVITA版もプレイして、と夢中になった作品です。
17歳の高校生主人公になって、田舎で殺人事件を追いかけ、仲間を連れて大冒険…ワクワクしながらも、終盤の展開にはなかなか胸に突き刺さるものがありました。
今日は大好きだったゲーム、「ペルソナ4」を軽く振り返ってみたいと思います。
◆強くなるには対人関係を磨かなければならない
まず「ペルソナ4」というタイトルのとおり、”ペルソナ”と呼ばれるシリーズの4作目でありますが、4からプレイしても全く問題のないつくりになっています。
舞台は2011年。都会育ちの高校生の主人公は、両親の転勤を機に、田舎にいる親戚の家に預けられることになります。
しかしその小さな町で連続殺人事件が発生。
「犯人は誰だ!?」、仲間とともに真相を追いかける…というミステリ仕立てなストーリーです。
ゲームの特徴としては、ダンジョンみたいなところに潜入するRPGパートと、日常生活を楽しむパート。2つが交互に展開していきます。
RPG目当ての人の中には日常パートがかったるいという人もいるのかもしれませんが、自分はこの日常パートもすごく新鮮で面白かった。
・昔ながらの雰囲気の商店街でコロッケを食べる
・夜に虫捕りする
・河川敷で魚釣り
地方都市でのアクティブライフをバーチャルで楽しめるという要素。
季節のイベントが折々入るのも、日本の四季を満喫しているような爽やかな気持ちになりました。
そして、この日常パートで、街の人と知り合いになって、コミュニティを築くと、そのコミュ力(=人との絆の強さ)がRPGパートで大いに有利になるというゲームのシステム。
なんと、ぼっちじゃイカンというのですね。
居候先の家族、クラスメイト、部活のメンバー…交流相手はたくさんいるのですが、学校以外の場所でも、バイトやボランティアのようなものを通じて、経験値を積んでいくところもまた面白いです。
勉強は当然のようにできた方がいいという前提になっているけれど、それ以外の経験も人間成長の要である…と。
現実にはあり得ない、楽しい仲間に囲まれてのハッピーな青春を味わせつつも、その一方根幹では、努力を訴えかける、真っ当でいて厳しいメッセージを持った作品のようにも感じました。
相手との会話の中でレスポンスの選択肢が何回もでてきて、それによってときに好感度が変わるというシステムは、まるで恋愛シュミレーションゲームです。
好感度を上げたいがため、いかにも相手がこれを言えば喜びそうだ…という選択肢を当然選んでいくと、時々「えっ?こっちの選択肢の方がいいの?」という意外な結果もあったりして、それも面白かった。
山のように出てくる”選ばせる”という行為、自由度の高さこそが、主体性を育む”青春”というテーマとリンクしているような作りにも思えました。
↓↓↓ここから先、重大なネタバレ、犯人について語っています。
なんと言っても事件の犯人。
ちょっとアヤしいとは思っていたけれど、この事件の犯人像というのが、実に痛々しくて、でもなんか分かる!!とちょっと肩入れしてみたくもなったりして…自分の中ではすごい名悪役でした。
◆勉強だけやってきた人間の敗北
足立は主人公と対照的に、勉強だけをやって来た人間、言われたことだけをやってきたという人間、そんな感じのするキャラクターです。
(おそらく)東大を出て警察官のエリートになったくらいだから、地頭はいいんだろうし、努力もしてきただろうし…
でもそんな人間が社会に出て、つまずいて、虚無感を感じて、偶然手に入れた力で悪事を働いてしまう…
27歳の社会人が17歳の主人公に対して、「お前にもそのうち分かるよ、現実はつまらなくてしんどいんだよ」ってすごい怨念のこもった愚痴をぶちまけてくる。
でもプレイヤーはリア充の主人公を操作して、非リア充の権化みたいな足立を倒さなくちゃいけない。
こっちはゲームで現実逃避したいのに、なんて残酷な展開を持ってくるんだ!!…と天を仰ぎみたい気持ちにもなったりして(笑)。
足立のやったことは許されるものではないのですが、この人はこの人でこうなってしまう背景があったのかなあ、と、あの怨念のスピーチから切実に伝わってくるものがありました。
2014年のアニメ版は、皆んなが持っていた〝ゲーム版の足立のイメージ〟を補完してくれた内容だったのかなあと思うのですが…
仕事を終えて家に帰ってきて、ビールを飲んで寝るしかない。誰とも話さない。自分の人生も世の中のことも、良いものと思えない。
こういう疲れた大人像に、相槌を打ってしまいたい気持ちもあるなあと。
受け身の教育では優秀だった人が、大人になって脆かったというのも、日本人らしい弱点というか、ありふれた弱さのように感じます。
一方、主人公がコミュを築いた他の仲間は、皆若くても、当然のように存在している他人の悪意を受けとめたり、自分ではどうしようもできない家庭環境や己自身の性格と向き合って、「自分で自分のことを決める」というドラマをみせてくれていました。
この対比、シナリオがすごく良く出来ているなーと、ものすごく引き込まれました。
一見ごく普通の人間に見えた足立が、裏では人を傷つけてそれで退屈しのぎをしていた、というのは、振り返って考えてもなかなか怖いところです。
2011年が舞台の「ペルソナ4」では、主人公が持っている携帯はガラケーで、SNSは台頭していないという世界観だけれど、嘘情報を流して人を撹乱させたり、ネット越しに誹謗中傷したり、それが快感になってしまう…手に入れた〝力〟を悪い方向に使ってしまう。
足立みたいなごく普通の人間がそういうことをしてしまう、誰もがそうなり得る…というのは、リアリティがあって怖いものでした。
堂島家でほんの少し垣間見せていた優しさなんかには、あーあ、悪い人じゃなさそうなのに、なんでこうなっちゃったのかなあ、と思ったりもして…。
顔は笑っていたとしてもまったく心の中では笑っていないという、リアルにいたら、関わりたくたいようなめんどくさい人なんですが、もうちょっとどうにかならなかったのかなーと、なんとも不思議な愛おしみみたいなのが湧いてくるキャラクターでした。
◆RPGとしての面白さ
4をプレイしたあと、順序が逆ですが、「ペルソナ3」もプレイ…!
「仲間がみんな冷たい!!」と最初は全く違う雰囲気に慣れずビックリしてしまいましたが、共通の目的を果たすために集まった仲間という、仕事人感。その中での絆。
4みたいな皆ずっと仲良しこよし!!という雰囲気より、ある意味リアルで大人だなあと、最後にはこちらはこちらでいいなあと、好きになれました。
ただゲームの操作性が悪すぎて、仲間の攻撃にイライラが止まらない(笑)。(ペルソナ1や2をやってきた人からしたら、この位で弱音吐くなと言われそうですが…)
その点4は、仲間のターンも自分で操作できて、技の命中率も高いと、RPG初心者にも優しいつくりになっているのかな、と思いました。
3の音楽のカッコよさにも痺れましたが、4のあの戦闘曲の爽快感に勝るものはない…Reach out to the truth、延々ときいてられるBGMです。
ペルソナと呼ばれる、神話などの存在を従えて戦うシステムは、昨今のソーシャルゲームにまで絶大な影響を与えているのでしょうか。
いかに弱点をつくらず、無効、反射、吸収を継承させれるか…ペルソナづくり楽しかったですねー。
プレイしたRPGがアトラスのものばかりで、比較がなんともですが、その後、もう1つ手を伸ばしてみたデビルサマナーのシリーズのゲームは、悪魔との会話という要素があり、悪魔合体のシステムはより綿密でもっともっと面白かったです……
が、全体的に4のまとまりというか、とっつきやすさ、シナリオとの連携…最初にプレイしたのが「ペルソナ4」でよかったなあ、”青春やり直し”させてもらえたかなあと、本当に楽しいゲームでした。
5はずっとやりたいと思いながら、なかなかまとまった時間がとれずに、未プレイ。
コロナで引きこもって、暗いニュースばかりに心が痛む毎日ですが、あまりストレスを溜めてはいかんと、ゲームも気分転換の1つの選択肢なのかなーと思っています。
昨年発売された「十三機兵防衛圏」もアトラスさんのゲームで、ものすごい評価が高いみたいですね。なかなか手を伸ばせませんが、気になっています。