子供の頃この映画好きだったなあ、思い出補正かなあ、なんて思いつつ、充分再鑑賞できる面白さだった「張り込み」。英題はSTAKEOUT。もうタイトルがいいですね。
1987年製作のジョン・バダム監督作品。今の空気感とはまったく異なるゆるーい80年代を楽しむかのような作品でした。
脱獄した凶悪犯を捕まえるため、この恋人の家の”張り込み”を命じられた刑事クリスとビル。
年長者のクリスは、ジョーズの海洋学者・リチャード・ドレイファスで、相棒の若造はチャーリー・シーン兄・エミリオ・エステベス。
有能コンビかと思いきや、冒頭からダルダル。仲はいいけど、トンマをやらかして犯人逃したり、優秀な感じからはほど遠い2人。
張り込み捜査もやる気なかったけど、監視対象が、まさかのマデリーン・ストウという大当たりの美女だったので、いきなりハイテンションに。
「刑事が張り込み先の犯人の恋人に惚れる」
その主人公がなんと、若いエミリオじゃなくて、リチャード・ドレイファスの方…!
しかもリチャード・ドレイファスが潜入みたいなのを勝手にやって、少しずつ美女とお近づきになり、向こうがどんどんこのおじさんを好きになってくる…という夢のような展開。
そうしているうちに、脱獄犯の恋人が帰ってきて、最後にひとアクション…という、疲れた日にみるにはうってつけの、おバカ映画。
作品の見所としては2つあると思う。
1つは、「裏窓」を思わせるようなシチュエーションで、望遠レンズからマデリーン・ストウを追っていく…という場面。覗き見ってなぜ本能的に見入ってしまうのでしょう…。しかもそこに、監視役だったはずの刑事がズカズカ入っていって、目線をバンバン相棒に投げてくるという展開がまたおかしい。
もう1つはもう、アホな刑事の遣り取り。
ピザやらドーナッツやらありったけ持ち込んで、映画クイズとかしちゃって、やる気あんのかい!?といいたくなるような、勤務態度。
ドレイファス&エミリオは夜番で、昼番の刑事がもう一組いるんだけど、こっちはこっちで愛犬家で毎回ワンちゃん連れてくるという、フリーダムさ。
終盤の木材工場!?でのアクションは、「ああ、こういう画、最近みてなかったなあ」…なにか場面に一工夫入れたくて、予算内に納まりそうな違うロケーションとりあえずもってくる…という80年代、90年代の安いアクション映画にありがちなシーン、すごく懐かしく思ってしまいました。
ジョン・バダム、硬派なアクション監督のイメージがあったけど、「ハードウェイ」とか「バードオンワイヤー」とか、キャリア後半は、コメディあり癒し系アクションの人だったのかな。でも全部好きだったなー。
それにしても、マデリーン・ストウが綺麗…!実質本作がデビュー作で29歳だったそう。お人形さんのように整った容姿にどこかエキゾチックな雰囲気と、とても好きな女優さんでした。
自分はみてなかったけど、何年か前のテレビドラマ・「リベンジ」での映像、とても50代とは思えなくて、「昔と変わってなさすぎ!!」とビックリ…!!
時代を感じるB級アクションコメディ。でも、そんなタイムスリップした気分も幸せな1作でした。