自分が子供の頃、トイレの花子さんや口裂け女といった怪談話が一大ブームとなっていました。
3番目のトイレには花子さんがいる…1番目と2番目にも誰かいるらしい…じゃあどこに入ったらいいんだよって位塞がっていました(笑)。
自分はトイレに1人で行けなくなるようなことはなかったけど、通っていた小学校の校舎がとても古かったので、人気のない校舎の不気味さ…放課後の見回り当番のときなどは怪談話がふと頭をよぎって怖かった憶えがあります。
有名な怪談エピソードの中で自分が1番不気味に思っていたのは「メリーさん」でした。
電話が突然何度もかかってきて、それとともにメリーさんとやらが殺人鬼の如く少しずつ近づいてくる…。
「スクリーム」や「暗闇にベルが鳴る」の類型にも思える怪談ですが、家に1人でいるときに掛かってくる電話ってそれだけで不安感があったから、これも上手く作られたお話だなあと思います。
誰かが意図的に作った創作なのか、出所がわからないというところも怪談の不気味さだったのかもしれませんが、こんな独特の挿絵のついた緑色の表紙の本もクラス内ですごく流行っていました。
短編集の如く、怖い話がたくさん載っていた本。
人面犬などファンタジックな話が多かった中、不思議なエピソードが1つ、うろ覚えながら心に残っています。
耳にピアスをあけた女の子の耳が突然痛くなって、耳を触ると突然白い糸が引けてきた。なんとそれは神経の糸で、女の子は耳が聞こえなくなってしまう…。
大きくなって思い返すと「神経が出てくるってどういうことよ!?」と笑ってしまうし、「勝手にピアスあけたら危険だと大人が都合よく作った教訓話的エピソードだったのかもしれない。」なんて思ったりするのですが…
子供の頃はそんなことがあり得るのかもと信じてしまう、ヒヤッとする怖さがありました。
一大ブームの中で多方にメディアミックス展開されていたのか、「学校の怪談」は映画にもなっていました。
友達の家でビデオで観たのですが、子供の頃からあまり邦画を観ていなかった自分にも刺さって、意外なくらいすっごく面白かったです。
恐怖度でいえば、ネタ元の怪談話の方がずっと怖いというレベルでかなりマイルドにつくられたホラー。
でも雰囲気的には「イット」や「グーニーズ」っぽいというか、子供たちが力を合わせて怪談に立ち向かうジュブナイルもので、観ていてすごく楽しかったです。
夏休みを翌日に控えた小学校。立入禁止の旧校舎に偶然入ってしまった5人の生徒が、怪異に襲われながらも必死に脱出を試みる…。
たったそれだけのお話だけど、子供たちがザ・子役してなくて、美形が揃ってるわけでもない。すごく自然体な演技で今みても素晴らしいです。
親が留守がちで家のことを任されている長女のお姉ちゃんは、そのストレスから時々妹に辛く当たってしまうことを悩んでいる…。
子供の心を丁寧に見つめたキャラクターがいたりしてお話も上手い。
上級生に敬語で話しかける礼儀正しい下級生キャラ、ついついケンカ腰で話しちゃう男子と女子…小学生あるある/子供の世界が見事に再現されています。
一応途中から大人も登場するのですが、先生がものすごく頼りない人で絶妙にイライラさせてくれるところも含めてオモロイです。
登場する〝怪談〟は、メリーさん、花子さん、口裂け女といったメジャーどころもあるけど出番はごく僅かで、知らない怪談の方が目をひきました。
3回怒らせるとバケモノに変身してしまう用務員のおじさん。
洋画のホラーの方がずっとリアルで怖いと思っていたけど、「物体X」っぽく変身するのにはドキドキ。
そして1番面白かったのは、教室の天地が逆転して、テケテケという霊が上から机とかを落としにくるところ。
嫌な攻撃だなあ、上下反対の画が面白いなあとワクワクしました。
久石譲にジェリー・ゴールドスミスをちょっと足したような音楽も素晴らしい…!
CGは総じてしょぼいのですが、その稚拙さも含めて子供らしいファンタジックな世界観として楽しめてしまいます。
ラストは”お別れ”と子供たちの真摯さにほろっ…。
小学生のときの友達…何も考えずつるんで遊んでた瞬間って本当特別な時間だよなーと「スタンド・バイ・ミー」のような切なさが込み上げてきます。
怪談話を真面目に怖がれるのはある種の純粋さがあるからこそで、自分はそういう系統のホラーを楽しむ気持ちをすっかり失くしてしまってるなあと思うのですが…
「学校の怪談」はある種の童心に一瞬返してくれる映画として、大人になって観ても充分楽しめる作品じゃないかと思いました。
なんとシリーズ4作あったんですね…!!2は観た記憶があって、よりコメディっぽかった印象があります。3と4もそれぞれ評価が高いようで気になるなあ…。
子供の頃に出会った、怖さという点で強烈な印象を残したホラーというのは別にあるけど、この「学校の怪談」は心洗われるような貴重な思い出作品です。