どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ゴッドファーザー1・2」の印象的な脇キャラクターをあげてみる

先日最終章を鑑賞したものの、やっぱり1&2が最高すぎたゴッドファーザー

マイケル、フレド、ソニー、トムといった主役/準主役の魅力もさることながら脇役キャラの濃さもピカイチ。

各々の思惑、いつから裏切ってたかなど考えさせられ、サスペンスとしての面白さも1.2は抜群でした。

原作のエピソードも交えつつ改めてみて印象に残ったキャラクターを10人あげてみたいと思います。


◆テッシオ(登場:1、2)

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テッシオがいつから裏切ってたのか、はっきりしませんが、前半はずっと味方で、ドンの座がマイケルに譲られてから明らかに落胆した様子。「独り立ちしたいし強いもんにつくぞ」とそこからバルジーニ側に呑まれたように思えます。

Part2の若き日の回想シーン、ファヌッチにみかじめ料をせびられ「払えばいいだろ」と言うクレメンザに対し、割りに合わないとビトーと同じ考えのテッシオ。

その後ビトーが話をつけてくると言ったときもテッシオは落ち着いてビトーに事を託していて、ドンの偉大さをみる先見があったんだなー、賢かったんだなーとクレメンザとの違いが立ってて面白かったです。

Part2ラスト、ビトーの誕生日回想シーンではケーキを持って登場。
クレメンザ役の人は出演しなかったのに、この役者さんはこんなちょっとの出番だったのに出てくれたんですね。

「仕方がなかった。I always liked him.」

堅気の道行ってたマイケルが好きで認めてたのはホントだったんだろうなあ。

ベテラン管理職のあの人がなぜ転職!?みたいな人で裏切り者だけど大人になるとじーんと沁みるキャラでした。

 

◆カルロ(登場:1)

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妻を紹介してくれた義兄ソニーを平気で売り飛ばし、妊婦にも手を挙げるDV野郎と、度し難いクズなのでラストに粛清されるシーンにはスッキリしてしまいます。

カルロはいつから裏切ってたのか??

原作を読むと結婚前からスパイだったわけではなく、権力者一族に入ったものの重職に就かせてもらえずドンを逆恨み、コニーを殴ることで自分はコルレオーネより上だと優越感に浸る。

しかしソニーにDVがバレてさらなる報復を恐れた&抗争激化で自分の担当の賭博場もなくなり不満が蓄積したので裏切り…そんな流れっぽいです。

シシリア人と北イタリア人のハーフらしく、コルレオーネファミリーを初めから見下してそうな感じ。

胸糞キャラとして光ってました。

 

◆パン屋のエンツォ(登場:1、3)

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強制送還されるところをドン・ビトーに救われたパン屋の義理の息子。「ゴッドファーザーのためならなんでも」と病院に花束持って駆けつけアツい義理人情をみせてくれます。

ピンチ切り抜けたあとブルブル震えた手で煙草持つエンツォに対し、全く震えてないマイケルの胆力、2人の対比が素晴らしいです。

先日みた最終章ではパーティーで豪華なケーキ運んでました。ずっとファミリーと付き合いあったんだなあとほっこりです。

 

◆ルカ・ブラージ(登場:1)

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冒頭結婚式のシーンで何度もお祝いの練習してるのが微笑ましい強面の殺し屋。

まさか登場後あっけなく死んでしまうなんて…衝撃の展開に一気に引き込まれます。

結婚式でのビトーの態度がそっけなく見えますが、原作読むと自分の赤子に手をかけるというかなりヤバい人物だということが判明。

汚れ仕事専門とビトーが距離を置いているのに納得させられました。

 

◆アルベルト・ネリ(登場:1,2,3)

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フレドを射殺した用心棒。1作目後半から既に登場していて、警官姿でバルジーニを射殺、ラストシーンにてケイと隔てる扉を閉めてたのもこのアル。

原作読むとマイケルにとってのルカ・ブラージがこの人だと言われています。優秀な警察官だったけど行きすぎた行動で処分を食らってたのをコルレオーネファミリーが救出してスカウト。

最終章でも裏切り者の大司教殺りにバチカンに潜入って優秀すぎる…!

冷徹な気質がマイケルとぴったり合ったのか3作全部に登場という通してみると作中1の忠臣でした。

 

ロッコ・ランポーネ(登場:1,2)

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出番が非常に少なく顔も覚えにくいですが興味深い言動で気になるキャラクターです。

1作目ではクレメンザと組んでポーリーを車の背後から絞め殺す、女とベッドに入ってたフィリップ・タッタリアを射殺と、汚れ仕事をテキパキこなしていました。

最大の見せ場はPart2終盤、ハイマン・ロスを空港で射殺するシーン。

殺ったが最後、自分も帰って来れないのは必然だろうにそれでも行ったのはやはりかつてのボス・クレメンザの仇をとるためだったのでしょうか。

同じく2の冒頭、ロスの部下・ジョニーがマイケルに謁見する際には意味深にオレンジを手渡し人払いされてもなかなかその場を離れませんでした。

「クレメンザは心臓麻痺じゃなくてコイツらに殺された」とボスのマイケルに怒りを訴えていたように見えます。地味にみえて徹底した仕事してる渋キャラの印象。

 

◆パット・ギアリー上院議員(登場:2)

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こんな政治家いそうやな、と思わせる素晴らしいクズキャラでした。

「君たちのような人種は好かん」と堂々差別してたのにコルレオーネに弱み握られてからの公聴会、「イタリア系はアメリカの大地の塩」とか人権擁護の演説を堂々と宣うのが滑稽すぎて笑えます。

とんだ保身野郎ですが敵のままにしとけばネチネチ責めてきそうなので味方にしといてきっと大正解。

SMプレイしてたら女性が血まみれに…身寄りのない売春婦は消されてもなにも残らない…。実際にこういうトラップがありそうだと思わせる恐いシーンでした。ここみるとマフィアあかんわーと一気に正気に戻ります。

コッポラのオーディオコメンタリーによると「ポマード頭などの台詞は役者さんのアドリブだった」と言ってて、この人もかなり上手な俳優さんだったのではないかと思いました。

 

◆ハイマン・ロス(登場:2)

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マネーロンダリングの構造を発明したといわれる実在の知性派ギャング、メイヤー・ランスキーをモデルにしたキャラクター。

フランクをわざと生かしてFBIの証人にさせるという巧妙な策略が恐ろしい。

キューバの利権分割を象徴したケーキカットのシーンも印象的ですが、本人は「小さいピースでいい」と一言。

マイケルには巨額出資(賄賂)を用意させておきながら実はロスも革命を読んでいて自分は大損しないように手を打ってたりして…

マイケルがゲリラ兵士のことを「金のために戦ってない」と言ってましたが、一見2人の覇権争いにみえつつモー・グリーンを失った復讐劇も抱えている…お互いどこまで読んでいたのか複雑で観るたび考えさせられます。

殺し屋が向かった際、タイミングよくゲリラ軍が勝利したため政府の軍がそれを知らせにロスの下へ…間一髪で死を逃れる〝運の強さ〟も強敵感に満ちていました。

演じるリー・ストラスバーグアメリカきっての有名俳優養成所の先生。パチーノやデ・ニーロの師匠がボス役やってるというのも胸熱で圧倒的な迫力でした。

 

◆フランキー/フランク・ペンタンジェリ(登場:2)

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クレメンザ役の役者さんが脚本の内容に口出しして出演しなかったため代わりに登場したキャラクター。

クレメンザ不在は残念ですが、この役者さん、かなり上手で不足を充分補っていたのではないかと思います。

冒頭のパーティーからアメリカ人に帰化してたまるか!のイタリア頑固親父っぷりを見せてくれ、合法アメリカ人を目指すマイケルと対照的。崩れ去るPart1の男の世界を体現してくれてるようでした。

公聴会のシーンは兄が人質にされたからブルって発言撤回したのだと思ってましたが、あの兄の登場でロスの策略だったと全て悟ったような節がありそれだけ信用できる兄貴だったということでしょうか。

兄を殺すマイケルが兄弟の絆を利用するのも何だか皮肉に思えます。

金網越しにトムとローマ帝国の話をする場面。自殺を強要している恐ろしい場面ですが、遠まわしな会話ですべてを理解し家族は守られると納得するフランクが切ない…

マイケルにとってはさぞ扱いにくい部下だったでしょうが、抗争に翻弄される姿がどこか哀れでした。


◆アポロニア(登場:1)

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彼女の死は2、3にまで続くマイケルの悲劇だったなーと通してみると1番悲壮な死だったように思います。

親父さんに許可もらってのデート、道歩いてて躓いちゃう不器用さが可愛い〜と思ってたら、原作読むとマイケルに近づくためにわざとやってたことが分かりその強かさにびっくりです(笑)。

生きていれば逞しい母となりコルレオーネ家を支えただろうなー、皆に可愛がられただろうなーと想像してしまう。マイケルもフレド殺さなかったんじゃないだろうかとその死がいつまでも悔やまれます。

最終章、なぜ彼女のダンスシーンをカットしてしまったし。

 

久々に原作本も読み返してみましたが、1作目全部と2のビトー回想シーンを網羅、映画では出番の少ない歌手・ジョニーのエピソードが掘り下げられていて面白いです。

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1つのキャラクターとっても多角的に話を解釈できるのがゴッドファーザーのすごいところだと思います。また定期的にみかえしたい。