スチュアート・ゴードン監督の作品で観てないうちの1本だったのですが、おもちゃ箱みたいなSFの世界、心休まる深夜アニメのようなあったかさでした。
人類がすっかり宇宙進出している2094年。銀河を駆ける一匹狼のトラック運転手・ジョン(デニス・ホッパー)は新米トラッカー・マイクと愛するウエイトレス・シンディを連れて謎の荷物の輸送を引き受けることに…
その中身はなんと殺人兵士ロボットだった…!!
「イージーライダー」ではバイクで駆けてたデニス・ホッパーがトラック野郎というキャスティングが粋。
若い女が大好き&若者をライバル視とめんどくさいオッチャンですがここぞという時には先陣切って表に立ちベテランのプライドをみせる。憎めないカッコいい親父がハマってました。
SFとしての世界観はとことんふざけていて、列車のようにコンテナを連結したトラック、宇宙に浮かぶチープなデザインの広告…
宇宙ステーションにはザ・アメリカンダイナーがあってカントリー調の音楽がかかっている…とアメリカの田舎町がまんま宇宙に移転したようなおかしな世界。
要のトラックは朝8時の戦隊モノのようなカラーリングですが、デザインを手掛けたのが日本人らしく納得。
座席部分のシートがローカル遊園地のアトラクションみたいなバーだったり、冷却装置が壊れて服を脱ぎはじめるなどバカバカしさにほっこりします。
しかし所々にホラーな描写も…
冒頭出てくる輸送品、四角豚は遺伝子組み換えってレベルじゃねえぞ!な加工食品っぷりでディストピア感が漂ってます。
トイレに逃げ込んでバッタリ鉢合わせたバーサンが何とアンドロイド、口がぐわーーっと開いて機械仕掛けの中身が剥き出しになるシーンもどこかフェティシュさを感じさせました。
そして何といっても半身改造人間の宇宙海賊船のマカヌード船長が最高です。
↑「ゴールデンチャイルド」「ラストアクションヒーロー」で悪役やってたチャールズ・ダンス、迫力あるお顔で好き。
開発していたロボットに返り討ちにあって半身を失うも自家製脳味噌を発明。
股間には渾身の一作、電気仕掛けのおチ◯チ◯が…使ってないから錆びつくだなんて、なんて悲しいんでしょう…
小学生で精神年齢止まったような下ネタに爆笑してしまいます。
積荷の殺人ロボットと遭遇するシーンは「エイリアン2」のような雰囲気でした。
ロボットのデザインも独特でザ・機械しておらず着ぐるみ着た人間が中に入っているようで、くっきりしたボディーラインが目につきます。
ここも特撮モノっぽいですが、このデザインを手がけているのも世界的に知られる日本人アーティスト空山基だそうで…(自分はこの分野に全く詳しくないけどAIBOのデザイナーと知ってへえ〜)
アームにはナイフ装着、その上なんか触手っぽいワイヤーが出てきた…!!うーん、これはメイドインジャパン!!
立て続けに撃たれるビーム砲もカッチョいいのですが、リモコンボタンでピタッと止まるとことかまた馬鹿げてて笑ってしまいます。
こんな危険なロボを地球に連れて行けるか!!と大気圏突入でロボを処分しようとするホッパー親父、若者に席を譲って自分が残る姿はまるで「アルマゲドン」。
地球に無事帰ってくるところはなぜだかじーんと感動してしまいました。
特にストーリーがあるわけでもなくボーッとみるのに最適な映画ですが、ゴードン作品常連さんの顔がチラホラみえるのも楽しいところ。
宇宙海賊船の暴れん坊乗組員はヴァーノン・ウェルズ…!!(「フォートレス」にも出てたよね)
宇宙ダイナーにいる落ち着いた女トラッカーは監督の奥さん…!?(いつも神出鬼没)
そして地球で眠りについていたウエイトレス・シンディのお母さんはバーバラ・クランプトン…!!
ゴールドスリープしてたから若いままの姿で出てきて大喜びするホッパー親父。
他の作品だと碌な目にあってないけど今作ではイイとこ取りした感じのゲスト出演で嬉しいサプライズ。
96年の作品なのでCGも使っているけどとことんチープな出来栄え。それが返って手づくり部分の良さを際立たせているようで、重力無視した円形のステーションの床が坂になってるとことかよく作られてるなーとみてて楽しかったです。
好きなモノ作ったった感が伝わってきて幸せな気持ちなれるゴードン作品でした。